5話 『その王、同業者を狙う』前編
次の日、私は何かしら彼【黒沼千歳】を避けるようになっていた。
移動教室のとき。
千歳「おい、誠。」
誠「おっすまぬな!職員室に行かなくては。」
と、こんな感じに避けている。というか、逃げているのかもしれない。
自分の気持ちがよくわからない、わからないから恐いのだ。占いをしようにも自分だから出来ない。
ホームルーム中のこと。
先生「では、今日は転入生を紹介します。」
AAに入ってくるとはなかなかすごい奴だということがここでもう証明される。
静かに扉を開けて入ってくるのは、金髪で濁った目をした覚えのある姿。
そう、【黒沼千歳】に雰囲気が似ていた。
入ってきた彼は淡々と自分の名前を黒板に書いた。
AAといってもやはり女子もいて女子たちは少しざわついていた。
「【白島吏一】っていいます。どうぞ、よろしくお願いします。」
丁寧な言葉遣いだった。
ノア「うっわぁ・・。すごいあったま良さそーだね。」
ティア「御曹司的な雰囲気を醸し出していますね。」
誠「あぁ。」
少し嫌気がさしていた。
それどころではなかった。
目に入るのはやはり窓を見つめる千歳の横顔・・・。
私のことを何年も思い続けていたなんて、少し肩がこりそうだ。
そうこうすればホームルームは終わっている。
斜めの席にハンサムボーイ。
こいつもなんだってこんな金髪なのかわからない。
千歳もなぜに金髪の鬘なんてかぶっているのか・・。
吏一「はじめまして、白島っていいます。あなたは?」
話しかけてきたハンサムボーイに口が開く。
即座にティアとノアがこの空間に割り込んでくる。
ティア「話しかけないで下さる?」
ノア「他の子と話したほうがよっぽど楽しいよ。」
他人にはある意味目がないこの双子。
契約された『ホワイトモンドレット』彼女らは2人で1個の存在。
吏一「やだな。近い席同士なんだし、名前くらい教えてよ?っな。」
千歳「そうだ。こいつに話しかけんな。」
誠「ちっ千歳?」
千歳はぐっとハンサムボーイを睨みつける。
千歳「ちょっと来い。誠。」
冷たい手に引っ張られていく。
机にぶつかりながら千歳は振り向くことなく前を歩んだ。
ティアとノアもそれについていこうと立ち上がると
吏一「あの方は誠さんって言うんですか?」
ティア「だから、なんなのです?」
吏一「いえ・・。かわいらしい名前だと思いまして、少し僕とお話しませんか。ノアさん、ティアさん。」
ノア「なんで私たちのなっ
吏一「そんなのパンフに書いてあったからに違いないでしょう?ねっ・・?話しましょう?」
ティアノア「・・えぇ。」
吏一「・・・すみません。」
吏一は【何かに】謝った。
---屋上---
誠「ちょっ千歳、離せ!痛いぞ!」
彼は乱暴に手を離す。
背中を向けたままの彼にどうしたと問う。
千歳「奴には近づくな・・」
誠「奴ってあのハンサムボーイか?」
そういうとこっちを振り向いた。
濁った目から悲しみが感じられた。
千歳「あいつからはなにも感じない。あいつがもし【アルフレート】なら・・。」
【アルフレート】また、この名が出た。
千歳の敵。
なぜ敵なのかは知らないが倒さなくてはならない相手。
「あいつが本当ならきっとお前に近づいて、お前を・・。」
・・・僕の名前は吏一、ですよ?」
この空間に突然あらわらた。
ハンサムボーイ・・
吏一「久方ぶりです。誠ちゃん、千歳君。僕をおぼえていますか?」
突然言い出す謎のハンサムボーイ。
吏一「忘れていても仕方ありません。幼稚園いらいですから。」
千歳「!!・・思い出した・・こいつ、白島グループの御曹司じゃねぇか。」
誠「ん、あいつかっ!」
ご紹介しよう。
コイツ、この世界で有名な白島グループの一人息子。白島吏一である。
幼稚園のころは身体が弱くてなかなか来なかったが女子からの人気が高かった。
吏一「そうです。覚えていてくださり光栄ですよ。それも、【キー】と【王】の位置にある君たちに覚えていてくれるなんて。」
------私たちの、【同業者同士】の戦いがこの言葉で始まろうとした。いや、始まったのかもしれない・・・・。