4話 『友は恋音を鳴らす』後編
誠「・・・」
それは、昼の時だった。体育から帰ってきた私の机の上の制服がなくなったのだ。
その事態まではあまり深くまで考えなかったが、窓から顔を出しプールを見つめると何かが浮かんでいた。そう、【制服】だ。
この時察した。今までなかったからびっくりしたが---
誠「嫌がらせか。」
ノア「・・・酷いね。」
ノアも傍にいてくれて心強かったが、なによりも傷ついたのが・・・
ティア「・・・」
ティアの制服までもがそして、ノアの制服までもが捨てられていたことだった。
ノア「ねぇ、誠の【で】出来ないの?犯人見つけるの?」
誠「いや・・・出来ない。占いなどは相手がいないと・・・」
ティア「まず、【それ】を使ったりでもしたらまた、【赤】に戻ってしまうわ。」
毛先がほんのり紫がかった髪。もう一度使えば今度こそ赤く【痛む】だろう。
口数が少ないなんて初めてのことだった。
私たちは【足音】を鳴らしながらプールに向かった。
---プール---
ノア「あのねっ誠・・・申し訳ないけど、私たち泳げないのよね・・ははっ。」
誠「わかった、私が取ってこよう。」
ティア「ありがとう。誠・・」
私は、靴を脱ぎ半そで半ズボンになった。
足からそっと【水】に浸かる。まだ、夏には早い季節の水は冷たかった。
歩み寄ると足に違和感を覚えた。
誠「!?わっあっ!」
ひっ引っ張られてる!!!
制服を目の前にして私は水面を見上げた。
息がだんだん苦しくなってきた。
死ぬ死ぬ・・・・私は苦しみながら死んでしまうのだろうか??
いや、ノアとティアが誰かを助けによんでくれるに違いない。
もし、遅れたら?
大丈夫だって。
死ぬって・・・窒息死でカナ?
だんだん私の思考回路は善と悪を繰り返していた。
??『アーサーはここです。』
すると、はっきりと響いた声が聞こえた。
目の前に光り輝く【エルフ】のような生き物が飛び回る。
なっ!なんだこれ?夢でもみちゃってるのか???
【エルフ】は私の周りを【走り回る】と温かい光が私の息を軽くした。
誠「あれ・・」
でも、話すと空気の泡が私の口から漏れる。
一様水の中のようだ。でも、夢だったら?
そうか夢なのかもしれない。
だって、水面上から人が飛び込んでくるはずがない・・・
目の前に泡があふれ出す・・・無音の世界は、はっきりと【彼】を写し取った。
誠「千歳!!!」
千歳は口をパクパクさせこっちに泳いでくる。
千歳は【足】を見た瞬間、私の【それを】めがけて泳ぐ姿はまるで【人ではない】ようで
--- そうか、彼は【龍の子】だったな。
千歳が足に手を添えると今まであった、重さがなくなった。
私の肩をギュッと抱きしめる強い手。
光の強さがだんだん増してきた。
誠「・・・」
千歳「あぁはぁっ!はぁはぁ・・・おい!大丈夫か!!!」
誠「・・・」
千歳「誠!」
誠「お・・おう。」
千歳「お前は何でそうなんだよ!恐いなら泣け!恐くてたまらないなら俺がいるから!」
誠「・・・うっう!千歳!」
こみ上げた涙と共に千歳に抱きついた。
涙なんて感情が高まったときに出る液に過ぎないと思っていたのに、
・・・人間と言う奴はここまでもこの液で少し気持ちがすっきりする。
安心する。
誠「死ぬかと思ったぁぁ。」
ノア「誠~~!!!」
誠「ノアァァァァ」
ティアは私を見てかすかに笑った。
ティア「・・・よ・・かった・・・。」
誠「ティア」
震える手がおさまっていく。
ティア「保健の先生呼んでくるから!」
ノア「じゃあ、着替えとタオル持ってくる私!!!」
ノアとティアは大急ぎで駆け行った。
千歳は私の傍にいてくれて・・・
誠「っ!」
千歳「どうした?」
服が・・・透けてる・・・これじゃ下着が丸見えだ。
手と膝で透けたところを精一杯隠した。
千歳「ぁ・・そういうこと・・気にしなくていいぜ?俺、興味ないから。」
誠「そうか!」
誠はばっと隠していた手を解いた。
千歳「・・・・っ・・俺にそんなに食われたいの?」
両手を束縛し、押し倒してくる。
誠「なっなんだ。気にはとめんとさっき言ったではないか・・」
千歳「・・・な奴にそんなことされたら男だったら我慢効かないと思うけど?」
誠「は?ちょ・・んんっ」
そして、吐息がかかり離れていく唇。
千歳「・・もう、忘れたとは言わせない・・・幼稚園のときから俺はお前が【好きだった】んだからな・・」
また、軽くキスをする。
誠「じゃあ、殺せない理由って・・・私のことが好きだからか?」
今度は唇をなんども角度を変えながらついばんでくる。
誠「まっんん!千歳っやめろ!!!」
千歳「わっっ!」
<スッドーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!>
千歳の身体が浮かびプール際へと吹き飛んでいく。
誠「へ・・?」
千歳「いててて・・・誰だっ!」
??「あたしたちの前でそんなことをしたら、主が泣くぞ!」
??「ほんとーに。きっと泣いてるねぇ。」
プールの上から話しかける・・・
誠「えっエルフ?」
小さいエルフ(妖精)が2匹こちらを見ている。
ティンカー「そう。エルフ。あたしの名前はティンカー。よろしくアーサー嬢!」
ヴェブ「僕はヴェブ。よろしくアーサー嬢!!」
誠「また【アーサー】?」
ティンカー「あれ?知らないんですか??貴女のまたの名を【アーサー・シャルトリック・ガーネスレッド】」
ヴェブ「そいつ、【マティアス・フィン・ブラッドレット】と。まぁ、同業者だよ?」
2人「そんなことも知らないの????おかしいなぁ~?」
ティンカー「というか、こういう状況ということは主とまだあっていないなんて・・・」
ヴェブ「まぁいい。まだ【貴女は】気にしなくてもいいかもしれませんね。」
2人「じゃっかえろーかぁ~」
そう、2人だけの会話で終わった。
誠「・・・いったいなんだったんだ・・?」
千歳「【アルフレート】がそのうちやってくるのか・・」
腕を押さえながらそう【彼は】つぶやく。
私は千歳の傍まで近寄る。
誠「大丈夫か?痛むか」
千歳「あ?」
上目使いの顔に私は・・・
トキメキを覚えた??
誠「っつ!」
やばい。なんか余計に唇が気になる・・・
千歳「まこ・・」
ノア「誠ー!!!!持ってきたよ!さぁ、保健室に行こう!!!」
千歳「・・・・はぁ・・・やっぱいい」
誠「そうか??あぁ今行く。」
そうして、私たちは保健室に向かった。
なんかすごいことも聞いた様で、大変な【思い】にも気づいたようだった。