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白と黒と赤  作者: 白木院 初
第一章 黒と赤の物語
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1話 『脱出』

私の計画、それは「脱出」すること。

この塔に隔離されてから3年。1度も外に出たことがない。

いや、小学1年から約11年、満足に出たことはないだろう。

私はもう17の大人というべき年頃なのだ。学ぶ知識以外持ち合わせていない私にとって感情も世界観も狭いものに過ぎない。

「脱出開始」と言ってもこの高い塔の上だ。完璧というほど制御コントロールされた所から、どうやって出ようものか?

この問題の解決法は、そろそろ訪れる来客が「カギ」である。


予知夢の効果で今日、私のところに男が来る。

そいつを利用して脱出を試みる。

さぁ、「準備」を始めよう。

夢で見た、男になりすますため髪を染め、ウィックをかぶれば髪は完璧だ。

黒く染める。始めの説明で言ったが、髪にまで「感覚神経」がある私にとって染めることは少し息を止めることに等しい。息を止めるというよりも息苦しい感じがする。人間の皮膚が暑さで汗を出すように私の髪も皮膚と同じ感じ。いや、一個の生物に属するとでも言うべきか。

表現がややこしいくらい私の髪は他の者とは「違うのだ」

私は、そのことを考え、違和感を感じながら『黒色』の髪染めを始めた。

染めた髪を洗い流し、ドライヤーで乾かし、・・・ウィックをかぶる。


<ピンポーン>

ジャストタイムで鳴ったインターホンは私の「夢」どおり。

さぁ、入ってきた瞬間この棒で気絶させる。棒を握り、少しのどきどきと共にドアの近くに行った。


誠「どうぞ。来客様。」

?「失礼する」


<ガチャ>

開けたとき、棒を大きく振りかぶり、入ってきた男の首をめがけて振り落とした。


?「!!!ぐはっっっ」


ゆっくりと男の身が床に落ちていく。

倒れたと確認したと同時に、男を中に入れ、ドアを閉めた。


誠「失礼は承知の上。来客。無礼を知って協力してくれ。」

?「・・・っ予知夢か・・・そ・・の・・顔。・・・覚えた・・・。」


男は少し意識を保っていたようだが気絶した。


誠「っびっくりした・・・。ふぅ~。では、始めるか」

私は男の服をはぎ、着用した。

少しでかいがこの格好をすれば気づかれないだろう。


男を隠し、外を出た。

ドアを出ると、白い壁にコンクリートの階段が下へと続いていた。ここから落ちれば確実な死が待っているに違いない。

不安感とわくわく感で私は足どりを早めた。

何千もの階段が続いている。聞こえるのは私の足音だけ。


ゲートが見えた。

そこを出ると2人の門番がいた。


男1「お客様。謁見の間で学院長がお待ちです。」


私は首を縦に振った。

2人の門番を後にし、外の入り口へと目指した。身長や無言で、もしかしたら怪しまれたかもしれない。

門番の姿が見えなくなったあたりで私は急いで走り出した。


誠「はぁ、はぁ・・・」


ガラスの扉。暖かい太陽の光。

・・・外だ!!


女「お客様。カード番号か学院長のサインをお見せください。それから、ここをお通り下さいませ。」

誠「!!」


突然の台詞に心臓が高鳴った。

さて、どうしようか?気づかれたら、守りがもっと強化されて、二度と出れないだろう。


ドクドクドク・・・


学院長「君。その方はいいんだよ。」


学園長!?なぜ、ここにッ!

女「しっ失礼しました。」

学園長「マティアス殿下。なぜ、私の元にこなかったのですかな。」

誠「・・・」

学園長「ん~。あなたはそういう方でしたね。能力者が嫌いならなぜ、アーサー嬢にお会いになられたのか・・・いいです。お帰りになりなさい。君、通してあげないさい。」


女「はい」

<ウィ―――ン・・・>


ガラスの扉が開く。


誠「っ!外!!!」

おもいっきり走った。


女「がっ学園長!!あの方は!???」

学園長「なっ赤堀会長ではないかっ!まちなさぁぁぁぁい!!!!!!!」

私に気づいた学園長は、しまる扉に挟まれそうになり外に出ることは出来なかった。


誠「やったっ!私は自由だ!」

私はダッシュで学院の横通りをすり抜けた。


『自由』

その時の「彼等」は目を大きく見開き暗闇が差し込んでいた。



私は母と2人の秘密の家に帰った。学院とは近くにあるが神社で隠されており見つかりにくい場所だ。


誠「懐かしいな。母さまが亡くなってからは来ることはあまりなくなったけど・・・」


自分の部屋に向かう。ここには何かあったらと言うことで母さまがたくさん必要な物を残してくれた。

ウィックをはずし髪を眺める。


誠「違和感をおぼえるが、この色はこのままにしておいたほうがよさそうだ。でも、服は変えたほうが・・いいか。」


桜蘭赤女学院の制服を身に着ける。紺色のセーラーに紅いリボン。

これが我が学院の制服だ。

生徒会長ながらこの制服を着るのは入学式以来だ。

着慣れないがこれで、あたりをうろついても学院のものだと思うだろう。

そして・・・


誠「この髪もばれるな・・・」


髪に神経があるとなかなか切れず、足先まで伸びていた。

私は引き出しのはさみをとった。

腰ぐらいまでなら・・・・いけるか?

毛先を掴みはさみを向ける。


誠「ふぅー。!」


<ザクッ>


誠「っ!!!!!!!」


言葉も出ないまま一瞬で体中に激痛が走る。

血は出ないが・・・・意識が痛みに耐え切れずとんでしまった。


<バタッ>



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