7月9日 14:00 自室にて
空想科学祭習作です。
『パルサーです。お部屋に入ってよろしいでしょうか』
『失礼いたします。清掃の途中でこの部屋を偶然通りかかりましたので、改めてご挨拶に。
この度は私をこのお城にお招き頂き誠にありがとうございます。
あなた様にいくつかお話しておきたいことがございます』
『まず、ブライト様からお話は全て伺いました。あの方ではなくあなた様がこの城のご当主であられることを知り、私は大変驚きました。それがまず一点です。
次に、ブライト様も私と同じく、アンドロイドであるということを聞き、これまた私は驚きました。今までのお仕事で執事型アンドロイドと私は何度もご一緒させて頂きましたが、あれほど人間味豊かなお方とは今まで出会ったことなかったもので、出会えたことに大変感謝しております。その点においては、あなた様にも感謝の意をお伝えしておくべきかと思い、こうして御礼の言葉をお伝えするために参りました。
最後に、あなた様が病弱であり、ここ最近は一日のほとんどをベッドの中で過ごすということを聞きまして、これも何かのご縁かと思います。いつまであなた様のお世話を出来るかわかりませんが、どうそこれからもよろしくお願いします。
お互い仲良く致しましょうね、ご当主様。
という三点をお伝えしまして、これで失礼させて頂きます。清掃の続きがございますので。もし何かあれば、ぜひ私にお申し付け下さい。真摯にお受けいたします。
それと、もし気が変わって私を販売元に返すということになったら、ありえませんけどね。そうなる前に一言よろしくお願いします。最後の晩餐は覚悟と共に皆で楽しみたいのです。此処を捨てられたら、私の次の行き先はスクラップ場だと思いますので、そうならぬように精一杯お仕えさせて頂きます。これが私の今の気持ちです』




