7月13日 07:00 城門前にて
「御主人様、こんなところにおられたのですか。
おはようございます。お部屋にお見えになれなかったもので、どこに行かれたかと探してしまいましたよ。
普段より体調が良さそうで何よりです。お庭を見て何を思われていたのでしょうか」
「そうですか。でもパルサーさんのことですから、あなた様が想像しているものよりももっとすごい御庭を造られると思いますよ。生垣の他にあったものといえばほとんどがジャガイモでしたから。庭というより畑でしたね。
そういえばリスリルさんの要望で、池か泉を作ってほしいとのことでした。それを造ってくれれば文句はないと頬を膨らませて言っておりました」
「パルサーさんが疲れたと仰ってたのですか?
はあ、そうかもしれません。昨夜遅くにこちらへ御戻りになられたとき、どうも顔色が優れない気も致しましたが、アンドロイドが疲れるとは思えませんし、もしかしたらどこか部分的に故障が発生したのかもしれません。
ですが、今朝は元気でしたので特に問題はないかと思います。なにかあれば、その時は皆で解決策を考えましょう」
「この城の秘密を知られたかもですと?
その可能性はないかと思いますが。村で根拠の無い噂を聞いたところで、ここに住んでいるパルサーさんでしたらその真偽もすぐに分かるでしょう。
吸血鬼やウンディーネがこの城にいると村で聞いてしまわれたならば大問題ですが、それがばれているのなら徒党を組んだ大人数の人が攻め込んでくるに違いありません。もし、そう言った不穏な空気があればすぐに伝えるようにと申しつけておきましたが、彼女の口からは素晴らしい村だったとしか聞いておりません。もちろん、吸血鬼やウンディーネの話も口から出てきませんでした。
何か口止めされているとか、そういった様子は見えませんが……。
この話を続けるのならばお部屋に戻りませんか? パルサーさんに聞かれると話がこじれてしまう可能性もありますので」
「そうですね。あまり彼女を疑いたくはないのは私も一緒です。
朝食はもうそろそろ出来上がりますので、出来たらお呼びいたしますね。
今日は全て召し上がられることを期待しております。
私はパルサーさんと共に食堂にいますので、何かあればお申し付け下さい。
では、失礼します。」