片耳ピアス。
ねぇ。どこにいるの? どうしてあたしを呼んでくれないの? なんで急にいなくなるの?________________________
「ぁぉ〜!!」
香織がぁたしを呼ぶ。『何?!』
「何ぢゃなぃょ!!早く体育行くよ?!」
香織はあたしの友達。明るくて、ちょっとおせっかいだけど優しいこ。
「ぁぉ進路調査表だした?」
『ぅぅん〜?早ぃねぇ〜もぅそんな時期なんだ』
「…明日までに出さないと木村に怒られるよ〜」
『やばいぢゃん』
「ァハハわかってんぢゃん」
進路なんて考えてなぃ。
高校卒業したら‥大学でしょ。
適当に入れる所入るみたいな。
てかあたしの青春時代って何なんだろ でも‥明日の事もわかんないのに未来の事なんてわかるハズがなぃ。
俊樹がいなくなって、あたしの生活は変わった。
変わった?何も変わってないかも。
でもいつも隣にいた俊樹は どこを探してもどこにもいない。
メェルを送っても返してくれなぃ。
淋しいのに頭なでてくれない。
顔がみたいのに… 俊樹は1年前にバイクの事故で死んだ。
あたしの事を迎えにくる途中で。
ずっとまってたのに、それから俊樹の顔をみることはなかった。
どうせなら、一緒に…俊樹の裏で死ねればよかった。
俊樹にぶつかった恐いおやじはピンピンしてる。
自分が悪いくせに、俊樹のせいにして。
頭ぐちゃぐちゃにしてやりたかった。
なんで若い俊樹が死ななきゃいけないの?こんなオヤジが死んだって誰も困んないのに。
俊樹のお母さんは、私のせいにした
「あんたなんかいなければ」
って泣き崩れた。
あたしはなんて言えばいいのかわかんなかった。
あたしだって、俊樹の代わりにあたしが死ねばよかったって思う。
それは1年前も今も変わらない。
「ぁぉ?」
『ん??』
「何ボーっとしてんの」
『ゴメン ゴメン』
「一緒の大学いこぉょ?」
『ぇ…?』
「やだ??あたし、ずっとぁぉと一緒がィィなぁ〜って前から思ってたの」
『だって香織の彼氏 東京行っちゃうから香織も行きたいっていってたじゃん』
「…でも東京行ったらぁぉと会えなくなるし‥」
『あたしは大丈夫だから、東京いきなよっ』 『香織‥?』
「私いない方がィィの?」
『違う。ゴメン。きつく言っちゃったね。』
「ぁぉ置いていけないよ」
香織はいつもあたしの傍にいてくれる。
俊樹が死んでから誰とも話そうとしなかったあたしにいつもついてきた。
香織がいなかったら、今笑ったりしてる自分はいなぃ。
でも香織には幸せになってほしい。
あたしの一番大切な友達だから後悔してほしくなぃ。
「河井。ちょっと」
「進路調査表だしてないのお前だけだぞ。…海野が亡くなってから、お前の成績も下がってるし、ショックだと思うがお前の人生はお前だけしか決められない。1年以上たつんだし、もっと良く考えてみろ。」
先生が言う事は正しい。
今生きてる私にはこれからの未来がある。
自分の事は自分で決めなきゃいけない。
ケドどうしても未来には 俊樹がぃなぃ。
考えると悲しくなって人生なんて考えられない。
〔もう一年〕あたしだって時間が経てば変わると思ってた。
けど、時間なんて、あっとぃぅまに過ぎてく。
俊樹の事を思い出さなくなる人もいる。
ただそれがあたしにはできない。
何回寝ても俊樹はあたしに忘れさせてくれない。
あの日、 俊樹のお父さんは、あたしにバイクの鍵をくれた。
二人でお揃いのキーホルダーがついてる、少しまがった鍵。
俊樹のお母さんはだまってそれをみてた。
キーホルダーだけはとてもキレイに残っていて、余計に淋しくなった。
涙があふれてうずくまったら、俊樹のお父さんは、
「もう忘れてやってくれ」
って言った。
その声も震えていて、 俊樹のお母さんの声はもっと大きくなった。___
「暑―っまぢやってらんねぇょ!!」
「ぁぉ〜それちょっとちょぅだぃ」
『ぁぃょ〜』香織のおかげで笑ぇるょぅになってから、あたしにもつるむ位の友達はできて、楽しぃと思える時間はあった。
けどどこかみんな気をつかってくれてて、本音は聞けなかったし言えなかった。
「ぁぉは大学行くの?」
「ぁぉは香織と一緒に行くの!!」
「そうなの?俺も一緒に行っちゃおっかな♪」
「健はいいし〜」
『ぁはは』 香織と健は幼なじみらしくて、性格も似てる。
健の友達の隼人は無口でクールだけど、実は優しぃちょっと抜けてる人。
隼人と健は俊樹と仲が良かったから、あたしの事は前からしってるみたいだった。
みんな優しくて、こんなに良くしてもらっていいのかちょっと戸惑った。___キーンコーン…
「ぉぃっ!」
『ぇっ』
「今帰るの?」
『ぅん。香織と健委員会なんだって。隼人は?』
「今帰るとこ。途中まで一緒に帰ろ」
隼人は最初の頃何にもしゃべんないで、なんで明るい性格の俊樹とつきあってたんだろぅって思ってた。
でも話してみるとけっこうボケてたり激しぃツッコミを入れたりする人で不器用な人だってことがわかった。
隼人はもてるけど女の子が苦手らしい。
『ぁたし俊樹以外の男と二人でバス乗るの初めてだ』
「‥」
『いっつも気をつかってくれてありがとぅ』
「別につかってねぇよ」
なんでか、ちょっと泣きそぅになった。
『まだ忘れられないんだ。みんな早く忘れろって言うけど』
「忘れなくてぃぃぢゃん」
そう言った隼人は、あたしを犬みたいにぐしゃぐしゃに撫でた。『も〜っぐしゃぐしゃだょぉ』
「ハハッ」
初めて、忘れなくていいって言われた。すごいうれしかった。聞きたかった言葉。___
「愛乙―電話ょ。」
‥ 『電話…?』それは、 俊樹のお母さんからの電話だった。
呼ばれて行ったのは懐かしい古い家。俊樹の部屋はそのままだった。
「部屋の物は片付けられなくて、そのままにしてあるの」
『キレイですね。』
「…前に、掃除しててみつけた物があるの。」
俊樹のお母さんは小さい箱をとりだした。
「ゴメンなさい‥。ずっと渡せなくて。」
中には小さなピアスが入っていた。キラキラしてて丸いピアス。
「俊樹はこれを家に忘れて、あなたの所に向かったの。それで思い出して、折り返した時に事故に遭ったの…見つけた時すぐにわかったんだけどなかなか言いだせなくて‥」
ピアスはとてもキレイに輝いていた。
そう、あの日はあたしの誕生日で、待たされてたあたしは、何も知らないでただ怒ってた。
夜おそくに電話してきたのは俊樹のお父さんで、あたしはよくわからないまま病院に行った。
遺体はぐちゃぐちゃだったらしくてみることはできなかった。
「ゴメンさなぃ…」
泣きながら謝る俊樹のお母さんは、前より少し老けて見えた。
あたしはただ涙があふれてきて、動けずにいた。
… ピアスは去年のあたしの誕生日から何も変わらないであって、俊樹が確かにあたしを好きでいてくれた証だった。
『俊樹…俊‥』涙がとまらなかった。
その日久しぶりに声をだして泣いた。俊樹のお母さんは震えた声で、
「ゴメンなさぃ」
って言った。
ピアスが耳に冷たくあたった。
高校生らしくない、高そうなピアス。
きっと俊樹が何時間もかけて一人で選んでくれた物。
俊樹のお母さんは、ゆっくり立つと、 私を抱き締めた。
びっくりしたけど、細くて震えてる体はあったかかった。
きっと、あたしに色々いった事を後悔していたんだと思う。
「あなたはちゃんと今を生きて。もう大丈夫。俊樹はずっとあなたの笑った顔を見ていたいと思うの」
久しぶりに、笑った俊樹のお母さんの顔をみた。
私は片方のピアスをお母さんに差し出した。
そして笑って『ありがとう』って言った。
それから、俊樹のお母さんとお墓に行った。
好きだったお菓子と、花を持って。
その時初めて、俊樹はもぅいないんだとわかった。
やっぱり、俊樹のお母さんもあたしも泣いてしまったけど、俊樹は喜んでる気がした。
遠くで笑ってるような。
そんな気がした。
その時から笑う事が重たくなくなった。
次の日あたしの笑った顔をみた香織は、なぜか泣きだした。
あたしもまた一緒に泣いた。
今度は悲しくてじゃなくて、嬉しくて。『ありがとう。もう大丈夫だょっ』
「よかった〜」
それをみてた健も泣いて、隼人は笑っていた。
それから隼人は毎日あたしを送ってくれた。
時々泣きたくなる日は、優しく頭をなでてくれた。
俊樹がくれたピアスはずっと、あたしの左耳で光ってる。
どこか遠くで、笑ってる。そんな気がする。
初めてでなんかうまくかけませんでした(。>д<。)ケド一生懸命かきました。最後まで呼んでくださった方がいたらありがとうございました!!