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30001人に殺された娘  作者: 絶対完結させるマン


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狂う4

 それからは、お母さんのアカウントをチェックすることが日課になっていった。


 『最近姫美ちゃんはどうしてますか?』


 たそたぬき、というフォロワーからの質問に、お母さんはこう答えていた。


 『実は姫美にこのアカウントがバレてしまって……ただの子持ち主婦のアカウントなんて、同じ境遇の人くらいしか見てないんだから、そんなに神経質になる必要ないよ、って言ったんですけど……これも思春期ってやつなんですかね。私のことこれ以上晒すならSNSやめて、って言われちゃったので、しばらく姫美のことは書きません』


 こんなこと、わざわざ説明しなくていいのに。やっぱり何もわかっていないお母さんにイライラした。


 お母さんのフォロワーのプロフィールを調べてみると、確かに主婦世代ばかりだった。


 『たそたぬき』というフォロワーのアイコンをタップしてみると、案の定こんなプロフィールが表示される。


 『専業主婦。二児の母です。子どももようやく大きくなってくれたので、最近は少し余裕が出てきました(笑)。子持ちのママさんたちとお喋りするのが孤独な毎日の癒しになってます!』


 他のフォロワーも、似たようなプロフィール文だった。私と同世代くらいのフォロワーはいなそうだ。


 でも、お母さんのアカウントには鍵なんてかかってない。誰でも見られる状態になっている。私のプライベートは全世界に発信されている。


 だからこそ、クラスのみんなが私のつけてるブラや初潮のことを知ることができたのだ。


 母親というのは意外と似た境遇の仲間を求めるらしく、つまらない投稿内容ばかりの子育てアカウントにも、結構なフォロワーがついていた。


 自分のことを伝えるのでは誰にも反応してもらえないから、娘である私のことばかり呟いていたんだ。


 お母さんは"育児"というものが持つ共感性で、フォロワーを釣っていたんだ。私はそれに利用された。


 お母さんのつまらない承認欲求のために私は——。


 またトイレに駆け込んだ。お母さんが不審そうに窺っている気配がリビングからしてくる。


 元の親子関係に戻れるの?


 ふとそんな疑問が浮かんでくる。


 戻りたい。戻らなきゃ、と思う。


 この件はこれで終幕。何もかも元通りになってくれることを、私は一途に願っていた。


 でも、私に突き刺さる視線は日に日に多くなっていった。

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