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30001人に殺された娘  作者: 絶対完結させるマン


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狂う5

 最初はクラスの一部しか知らなかったお母さんのアカウントが、いつの間にかクラスメイト全員に知れ渡っていた。


 男子の一人が、クラスラインで流したのだ。面白半分だったと思う。


 私はクラスラインに入っていなかった。クラス内で私だけスマホを持っていなかった。お母さんが「小学生にスマホは早いでしょ」と時代遅れのことを言うから。


 「あいつの親ヤバくね?」

 「てか投稿頻度エグいよね。暇人じゃん」

 「よく学校来れるよね」


 ヒソヒソ声で授業中でも私のことを話している。


 クラス中の笑いものにされている気がした。


 友達と話していても、この子もお母さんのアカウントを見たのかな、とそれしか考えられなくなる。


 トイレトレーニングも、小三になるまでおねしょしてたことも、好きな男子にこっそりバレンタインチョコを作って渡したことも、初めてブラを買った日のことも、初潮が来た日のことも。


 全部全部知っているんだろうか。私の失敗を。知られたら恥ずかしいこと、全部バレているんだろうか。


 「姫美? ねえどうしたの——うわっ!」


 さっきまで話していた友達が、うずくまった私の肩に手をかけた瞬間、私は吐いた。


 友達の上ばきに吐いたものがかかる。教室中にどよめきが広がる。


 「なになに?」

 「姫美ちゃんが吐いた」

 「ええっ!?」


 ゲロ女、と言われた気がした。


 ゲロ女。おねしょマン。水玉ブラ。


 様々なあだ名が教室を飛び交い、私の脳に鳴り響いた——幻聴だったかもしれない。でも、どれも一度言われたことがある言葉だ。


 翌日。学校に行きたくないとお母さんに伝えたら、当然理由を尋ねられた。


 お母さんのせいだよって言ったら、この前と同じ反応されるんだろうな。


 ——酷いことする子もいるものね。


 クラスメイトにそう怒って終わりだ。そんなことを揶揄ってくる子が悪い、と怒って私に寄り添った気になって終わり。きっとそうだ。


 お母さんに昨日あったことを教えたら、それもSNSに書かれるかも——。


 『昨日姫美が教室で吐いちゃったんですよ〜』


 自分で想像した文章の嫌悪感に、また吐き気が込み上げてきた。


 私の顔色が視界に入っているはずのお母さんは言い放つ。


 「ズル休みはダメよ」


 私は今ではもう好きな色じゃなくなったランドセルを背負って、教室に向かった。


 友達は昨日のことなんかなかったように、いつも通り接してくれた。でも内心何を思ってるんだろうと考えると、ちっとも安心できなかった。


 今朝からお腹が痛いのも相まって、みんなに「顔色悪いよ」と言われるほど、酷い顔つきになってしまった。


 「保健室行った方がいいんじゃない?」


 そうした方がいいよ、とみんなが言うので、私は席を立って保健室に行こうとした。


 しかし、立ち上がった瞬間襲ってきた猛烈な腹痛に、お腹を抱えてうずくまる。


 「うぅ……」

 「えっ、なに!?」

 「ちょっと大丈夫!?」


 なんだなんだ、と他の子たちも私の様子を見に近づいてくる。


 その時、ドロリとしたものが股から流れてくるのがわかった。


 なんで。


 「血だ!!」


 声の大きな男子が叫んだことで、クラス中が騒然とする。


 女子の何人かは察して気の毒そうな顔をした。

 男子は血を見ただけではすぐには結びつかないらしく、私がどこか怪我したのかと騒いでいた。


 なんで。


 予定では二週間後に来るはずだったのに。なんでこんなに早く来たの。なんでなんでなんで。


 お願い止まって! と願っても、一度始まったそれは逆に勢いがついてきたのか次々に股から流れ落ちていって、私の服を皆の前で真っ赤に染め、教室の床にポタポタと雫を垂らしていった。

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