表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ラジオに、想いを乗せて。

作者: 沖田 楽十

「ペンネーム、“これ以上、勘違かんちがいさせないでよ”さんからのお便たよりです!【僕には、好きな人がいます。ですが、自分の気持ちに正直になって、もしそれで、今迄いままできずいてきた関係がこわれてしまったら…と思うと、こわくて想いをつたえられずにいます。如何どうしたらイイですか?】」



 ランダムに取り出した一通のお便りをげたラジオパーソナリティ・ラジオは、一呼吸ひとこきゅう置くと、自分の考えをくちにした。



「“これ以上、勘違いさせないでよ”さんと好きなかたが、どんな関係性かはわかりませんが、私は自分の気持ちに正直になったほうがイイと思います!失敗したとしても、後悔こうかいひたったあとは、ちゃんと前をいて歩いていけると思うからです。それに案外あんがい、想いをつたえてみたら、相手も…なんて……きゃっ♡“これ以上、勘違いさせないでよ”さんの、想いが成就じょうじゅする事を、ラジオも応援しています!!では、次のお便たよりを読みます!ペンネームーー」



 数日後。“これ以上、勘違いさせないでよ”というペンネームのものから、またお便りが届いた。如何どうやら、告白の結果なようで、成功せいこうしたとのこと

 それに、ラジオは嬉しい感情を押さえ込んだ柔らかい声音こわねで、祝福の言葉を口にした。同時に、なにかを得る為には、みずから行動しなくてはならないのだな、と、改めて考えさせられる出来事だと感激していた。


 一ヶ月後、とあるニュースが、世間を騒がせた。

 男が、ストーカーしていた女性を、自分のモノにならないからという身勝手な理由だけで、殺害に及んだという、殺人事件だ。その男は、ラジオのリスナーだったらしく、彼女の応援に背中を押されたから、ちゃんと想いを伝えたが、フラれたとの事。それで、犯行に及んだらしい。

 ラジオが告白を薦めなければ、こんな事件は起こさなかった!自分は被害者だ!!!と、喚き散らしていたらしい。

 このショッキングな出来事をキッカケに、ラジオは自分の発言一つで、また同じ様な事件に繋がるかもしれない…という恐怖から、其の儘仕事を引退しようかと考えた。

 が、放送外からやってきたラジオへのお便りの中に、【あの事件は悲しいものだったけど、ラジオさんのアドバイスは、リスナーに寄り添ったゆえの回答だったから、私みたいなファンの為にも、番組は続けててほしい】という応援メッセージだった。それに、ラジオは引退する考えをヤメて、仕事に対して、もっと真摯しんしに向き合おうと、胸に誓った。


 今回の事件で、一部のリスナーは離れてしまったが、自分の事を応援する者が一人でもいるなら、そのファンを大事にしたいから、本日もラジオは番組を盛り上げる為に、自分の考えや気持ちを、言葉に乗せる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ