０７話：帰宅して妹と一緒に飯を食べていく
その日の夕方。
「ただいまー」
「あ、お兄ちゃん、おかえりー！」
家に帰るとリビングから妹の真唯の声が聞こえてきた。なので俺は自分の部屋に戻る前にリビングの方に向かって行った。
リビングに入っていくと真唯はソファにちょこんと座りながらテレビを眺めていた。どうやら録画していたアニメ番組を見ている所のようだ。
「帰るの遅くなってごめんな。もしかして結構待ってたか？」
「ううん、大丈夫だよー。私もさっき帰ってきた所だしさ」
俺は真唯に向かってそう謝っていくと真唯は全然大丈夫だと返事を返してきてくれた。
という事で改めてこの女の子の名前は山田真唯という。年齢は七歳で小学一年生の妹だ。
性格は結構大人しい子なんだけど、でも時々甘えてきてくれたりもするので兄としては非常に可愛い妹だと思っている。
「でもお兄ちゃん、私お腹空いちゃったよー」
「あぁ、わかったよ。それじゃあ今日はもうすぐに晩御飯を食べちゃおうか？」
「うん！ 食べよう食べよう！」
俺がそう言うと真唯はとても嬉しそうな顔をしていったので、とりあえず俺は手洗いとうがいを済ましてからすぐにキッチンにある冷蔵庫を開けていった。すると……。
「おっ！ 今日は真唯の好きなオムライスだぞー！」
「えっ、本当に！？ やったー！」
冷蔵庫を開けていくと、中にはお皿に乗ったオムライスが二個入っていた。これは俺達の母親が仕事前に作っていってくれた今日の晩御飯だ。
という事で俺は母親に感謝しながらそのお皿に乗ったオムライスを取り出していった。するとそのお皿には付箋が付けられていた。どうやら母親からのメモ書きのようだ。
“サランラップをしたまま２分くらいレンジでチンしてから食べてね”
「ふむふむ、２分くらいの加熱でオッケーか。 真唯ー、今からレンジで温めてくからあと少しだけ待っててなー」
「うん、わかったー！ それじゃあ私はテーブルを拭いておくねー！」
「あぁ、ありがとうー」
リビングで待っている真唯にそう伝えていくと、真唯は進んでテーブルを拭いていくと言ってきてくれた。本当に祐奈は優しい子に育っているよな。
俺はそんな妹の優しさに嬉しみを感じつつ、母親からの指示に従ってサランラップをしたまま電子レンジに入れて２分加熱する事にした。
「これで良しと。ふぅ、それにしても母さんも父さんも毎日仕事で大変だなぁ」
俺は電子レンジの加熱工程をじーっと眺めながら、両親の事を頭に思い浮かべていった。
父親は今は海外に出張中でずっと家に不在だし、母親は看護師として最近はずっと夜勤をしているので顔を合わす頻度はかなり少ない状況だった。
まぁそんな感じで俺達の両親はどちらも仕事でかなり忙しい人達だった。
だから俺と真唯の晩御飯はいつも母親が作り置きしてくれたご飯を温め直して食べるか、コンビニとかスーパーで買ってきたごお弁当を食べるかの二択だった。
まぁやっぱりそんな状況なのはちょっと寂しい気持ちもあるけど、でも両親の仕事が大変なのも理解してるから、しょうがない事だと思っている。
―― チンッ！
「お、出来た出来た！」
そんな忙しい両親の事を考えているとちょうど２分が経過し電子レンジから加熱終了の音が鳴った。
なので俺は電子レンジから温められたオムライスを取り出してすぐにリビングのテーブルに運んで行った。
「お待たせ！ よし、それじゃあさっさと食べちゃおうぜー」
「ありがとう、お兄ちゃん！ うん、それじゃあ……いただきます！」
「うん、いただきます！」
俺と真唯は一緒にテーブルに座りっていき、しっかりと手を合わせてから晩御飯を食べ始めていった。
という事で早速真唯は大好きなオムライスを嬉しそうな表情をしながら口の中に頬張っていっていた。
「もぐもぐ……うん、やっぱりオムライスは美味しいよねー！」
「あはは、それなら良かった。母さんの料理はいつも美味しいからなー。あ、でもそういえば、真唯はいつの間にか嫌いだったピーマンも食べられるようになったんだな？」
「え……って、えっ！？ こ、このオムライスの中にピーマン入ってるの！？」
「あぁ、めっちゃ細かく刻まれて入ってるぞ？」
「え、えぇっ！？ う、うそ……私、全然気が付かなかったよ……」
「なんだ、気づいてなかっただけか。でもピーマン入りのオムライスなのに、真唯は美味しいって言ってたぞ？」
「う、うん、すっごく美味しいよ……や、やるね、お母さん！」
俺がピーマン入りのオムライスだという事を伝えると、真唯はビックリとしつつも母親の事を全力で褒めていっていた。
「あはは、真唯はいつから料理評論家になったんだよ？ でも真唯がピーマン食べられるようになったって知ったら母さんも喜ぶだろうなー」
「えっ！？ だ、駄目だよ！！ そ、そんな事を言っちゃ絶対に駄目だからね！？ も、もしお母さんにバレたらこれから毎日ピーマン料理にされちゃうから……！」
「あはは、わかったよ。それじゃあ母さんには秘密にしておくよ」
「う、うん！ 絶対に約束だからね！」
「あぁ、約束だよ」
という事でこの後も俺は真唯と一緒に他愛無い話をしながら楽しく晩御飯を食べて過ごしていった。
