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36話:放課後に友達と一緒に帰っていると(早紀視点)

 とある日の放課後。


「いやー、今日も部活練習大変だったねー!」

「そうね。それに最近はまた暑くなってきたし、ちょっとしんどくなってきたわよね」

「そうそう、本当にそれ! もう季節的には秋なのに三十度越えの日がまた増え始めてきたって絶対におかしいよねー!」


 私はバレー部の更衣室で着替えをしながら同じくバレー部の友達である望月楓(もちづきかえで)とそんな話をしていっていた。


「うん、それに何だか年々と暑い時期が長くなっているような気がするわよね。部活中に汗を沢山かいちゃうから早く涼しくなって欲しいわ……」

「うんうん、本当にそうだよね。もう少し気温も涼しくなってくれた方が部活をしてる身としてはありがたいよねー。って、まぁでもそんな部活の事ばっかり考えてるんじゃなくて、せっかく高校生なんだしもっと色々と遊びたいよねー。部活ばっかりで疲れちゃうよー」

「あー、まぁ確かにそうね」

「あはは、やっぱり早紀もそう思うよね。あーあ、私も春香みたいに彼氏を作って青春とかしてみたいなー……って、あ、そうだ! でもそういえば早紀ってさー、いつの間にか山田君と凄く仲良くなっているよね?」

「え……あ、えっ? そ、そうかな?」


 唐突に楓にそんな事を言われて私はキョトンとした表情を浮かべていった。


「うんうん、絶対にそうでしょー。だって最近の早紀って山田君と一緒に行動する事多いでしょ? 教室で山田君と一緒に仲良さそうに話してる所とかもよく見かけるよー?」

「え……あぁ、うん。まぁ最近は一緒にいる事が多いかな? お昼を食べたりとか、勉強したりとか……まぁ最近は一緒にいる事が多いかもね」

「へぇ、そうなんだ! 山田君と一緒にお昼を食べてるって物凄く仲良しさんなんだね! あ、それじゃあもしかして……実は二人って付き合ってるのかな?」

「え……って、は、はぁっ!?」


 私はそんな事を言われるとは全く思ってもいなかったので、思わずビックリとしてしまい大きな声をだしてしまった。


「い、いや、なっ!? そ、そ、それは……ち、違うわよ! べ、別に私と山田は付き合って何かいないわよ……!」

「ふぅん、そうなんだ? でもそう言う割には早紀の顔さー……ふふ、物凄く真っ赤になっちゃってるよ?」

「え!? う、うそ!? って、熱っ!?」


 私はそう言われて思わず自分の頬を手で触ってみた。すると思っていた以上に顔が熱くなってしまっていた。


「あはは、何やってんのよー? でもそんな顔を真っ赤にしてる様子を見ると、早紀も満更じゃない感じなんでしょ?」

「い、いや、だから……べ、別にそんなんじゃないんだって! ただ、その……いつも一緒にご飯を食べたりとか勉強をしたりとかしてるだけなんだって! ただの友達よ友達! きっと山田もそう思ってるはずよ!」


 私は恥ずかしくなりながらも楓にそう言っていった。ま、全くもう……楓はすぐにそういう恋バナに持っていこうとするんだから……。


「うーん、私はそんな事はないと思うけどなー。だって山田君もさ、早紀と話している時っていつも凄く楽しそうにしてるんだよ?」

「え? そ、そうなの……かな?」

「うん、そうだよー。だから同じクラスにいる女子達は結構噂してるよ? もしかしてあの二人ってそういう仲なんじゃないのか……ってさ」

「う……だ、だから私たちはそういう仲じゃないんだって。ま、まぁでもさ……私に関しては幾らでも噂していいけどさ……でも山田に対してはあんまりそういう噂は立てないであげてよ。もしも山田に好きな女の子とかがいるようだったら、その……そういう噂が出ちゃうと迷惑になっちゃうからさ……」


 という事で私は山田の事を思ってそう言っていった。


―― ちくっ……


(……あれ?)


 でもその時……急に胸の奥の方がチクチクと痛みだしていった。


 それと何故かわからないけど……でも山田に好きな女の子がいたらって口に出した瞬間に何だかちょっとだけ嫌な気持ちにもなった。


 でもこの気持ちは一体……?


「ふぅん、そっかー。まぁ早紀達が付き合ってないってのはわかったよ。でも私は二人の事は凄くお似合いだと思うけどね?」

「え……うっ……そ、それは……」

「ふふ、でも実際の所さー……早紀は山田君の事はどう思ってるの?」

「え? そ、それはまぁ……話しやすくて良い男子だなーとは思ってるわよ。それに結構真面目で優しいしね……」

「ふふ、そっかそっかー。それじゃあさ……早紀としては山田君と付き合いたいとかは考えたりした事はないの?」

「え……って、えっ!? い、いや、それはその……」


 友達にそう言われて私は焦ってしまった。そして私は焦りながらこんな事を口走っていってしまった。


「い、いや、それはその……ま、まだよくわからないというか……だってその……私って……今まで誰かと付き合ったりとかした事もないし……それに私って……」


(私って……女の子としての魅力が全然無いからなぁ……)


 私は自分でそんな事を思いながらどんどんと自己嫌悪に陥っていった。


 だって私は別に可愛い顔をしてるわけじゃないし、身体だってほっそりとしたスレンダー体型じゃない。


 というかそもそもバレー部で毎日運動をしてるからどちらかといえばガタイは良い方だ。太ももとかムッチリしてるし……。


 それに私はあんまり可愛い性格もしてないって事は自覚している。結構すっぱりと裏表なく言ってしまう。だからこういうの性格が苦手だっていう人だっているだろう。


 もちろん山田がこんな私の事をどう思っているのかなんてわからないけど……でも、客観的に見たら私みたいなタイプの女の子なんて好きにはならないだろうなぁ……。


「……? どうしたの?」

「え……えっ!? あ、あぁ、いや、何でもないわよ!」


 私が急に黙り込んでしまったせいで楓は心配そうに私の事を見つめてきていた。なので私は慌てて何でもないと言っていった。


 そして私はそのまま話題を何とか無理矢理変えていき、その後は楓と他愛無い話をしながら一緒に帰宅していったのであった。


 でもまさか……クラスの女子達にそんな噂が立っていたなんてね……山田に何て言おうかしら……。

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