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17話:それから数日後のお昼休み

 それから数日後のお昼休み。


「はい、これ。今日のお弁当」

「ありがとう!」


 今日もいつも通り俺は佐々木さんと一緒に屋上にやってきていた。もうここ最近は毎日佐々木さんと二人きりでお昼ご飯を食べるのが習慣となっていた。


 そんなわけで俺は佐々木さんからお弁当を受け取っていき、そのままお弁当の蓋を開けていってみた。


「おぉっ! 今日も色鮮やかなで凄く美味しそうなお弁当だね!」

「い、いやそんな色鮮やかとか……べ、別にいつもと変わらないわよ。だからそんなジロジロとお弁当の中身を見てないでさっさと食べなさいよね。お昼休みにも限りがあるんだからさ」

「うん、そうだね。それじゃあ早速……いただきます!」

「うん、いただきます」


 そう言って俺達はしっかりと手を合わせてからご飯を食べ始めていった。


「うん、今日のお弁当も凄く美味しいよ! こんなにも美味しくて綺麗なお弁当をいつも作ってくれて本当にありがとう!」

「ううん、別に良いわよ。それに私の方こそ最近はアンタに勉強を教えて貰ってるしね。だから私もいつもありがとね」


 俺が佐々木さんに感謝の言葉を伝えていくと、佐々木さんもそう言いながら俺に頭を下げてきてくれた。


「いやいや、そんなの全然気にしなくて良いよ。でも佐々木さんの役に立てているようで本当に良かったよ」

「うん、とっても助かってるわよ。だって悪い点数を取って補習が入ったら部活に行けなくなっちゃうしね」

「あぁ、そっか。運動系の部活だと補習が入ったら絶対に大変だもんね。確か赤点を取っちゃうと部活停止とかになるんだっけ?」

「そうそう、そうなのよ。しかも来月には他校との練習試合が沢山入ってるし、その後には都大会も始まるから絶対に部活停止になるわけにはいかないのよ。だから山田には凄く感謝してるわよ」

「へぇ、他校との練習試合に大会もあるのかぁ……うん、それは確かに部活も勉強もどっちも全力で頑張らないとだね! 俺も応援してるよ!」

「うん、ありがと」


 どうやらもうすぐ女子バレー部は他校との練習試合やら大会など超重要な部活の予定が沢山入っているらしい。


 だから佐々木さんはそのためにも全力で勉強や練習を頑張らなきゃって思っているんだろうな。


(うーん、でもそんな佐々木さんのために何か勉強以外で手伝える事とかはないかな?)


 その時、俺はふとそんな事を考え始めていった。


 やっぱり佐々木さんには色々と恩があるし、俺としては勉強以外にも何か手伝える事があれば良いなって思うんだけど……。


「うーん……って、あ、そうだ!」

「ん? どうしたのよ?」

「そういえば佐々木さんってバレー部の備品購入とかも積極的にやってるんでしょ?」

「え? うん。まぁね。……って、何でそんな事をアンタが知ってるのよ?」

「あぁ、いや実はちょっと前にバレー部の瀬川さんからそんな話を聞いたんだよ」

「えっ? って、あぁ、そっか。そういえばちょっと前に香澄と会ってたわね。なるほどね、あの時に山田は香澄とそんな話をしてたのね」

「そうそう。そうなんだ」


 あの時は女子バレー部員の瀬川さんから佐々木さんのカッコ良いエピソードを色々と教えて貰ったんだ。


 そしてその話の中で佐々木さんがスポーツショップに行ってバレー部の備品とかを色々と率先して買いに行っているという話も聞いていた。


 いやまぁ備品購入自体はどの部活でもやっている事だからそれ自体は別に珍しい話とかではないとは思うんだ。だけど……。


(でも普通に考えたら女子バレー部だから……男子部員って一人もいないよな)


 だから重い荷物とかも女子達だけで持たなきゃいけないので、そういう時は佐々木さんが率先して重い荷物を持っているんだろうな。という事で俺は……。


「……それで? 私が備品購入とかしてるのがどうしたのよ?」

「あぁ、うん。えっとさ、もし今後もそういうのがあるようだったら俺も手伝おうか?」

「え? 山田が?」

「うん。女子部員だけだと大変な作業とかもあったりするでしょ? 重い物の運搬とか大変な作業とかあったら全然手伝うよ?」


 という事で俺はそんな提案をしていってみた。まぁ佐々木さんの役に立てれば良いなという思いでそんな提案をしてみたんだ。でも……。


「うーん、山田がそう言ってくれるのは嬉しいけど……でも別にそこまで大変な作業とかはないから大丈夫よ。まぁ備品購入とかもそんなに頻度は多くないしね」


 でも佐々木さんはそう言ってやんわりと俺の提案を断ってきた。


(ま、そうだよな。佐々木さんってそういう女の子だもんな)


 今まで交流をしてきてわかったんだけど、佐々木さんってあまり他の人に迷惑をかけたくないって思うタイプの女の子なんだよな。だからこそ俺が勉強会を提案した時も最初は躊躇っていたわけだしさ。


 そしてあの時は俺にも勉強会をするメリットがあるという事をちゃんと説明したからこそ、佐々木さんは俺の提案に乗ってくれたんだけど……でも今回の件は俺にとって何のメリットも無いのが明白だから、佐々木さんはやんわりと断ってきたんだろうな。


(ま、仕方ないよな。これはちゃんと佐々木さんの意思を尊重しないとだな)


「うん、わかったよ。佐々木さんが大丈夫って言うんならそれを信じる事にするよ」

「うん、大丈夫よ。だから気持ちだけ貰っておく事にするわね。でもそう言ってくれてありがとね、山田」


 俺がそう言うと佐々木さんは笑みを浮かべながらまた感謝の言葉を俺に向けて述べてきた。


「ううん、全然大丈夫だよ。あ、でもさ、もしも何か大変な事とかあったらいつでも俺の事を頼って良いからね! 俺は佐々木さんのお願いなら絶対に何でも聞くからさ!」

「え……? う、うん。わかったわ」


 でも俺は最後に改めてそんな事をもう一度伝えていった。困った事があればいつでも頼ってくれと言っていった。


 まぁ実際に役に立つかどうかはわからないけど……でも何かあった時に頼る事が出来るヤツが一人でもいるって事を覚えておいてくれたら嬉しいかな。

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