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13話:よく考えたら佐々木さんに沢山の恩を貰っているんだよな……

 それからしばらく経過した頃。


「ふぁあ……ふぅ。なぁ、ちょっと疲れたし休憩にしないか?」

「あぁ、もちろん良いよ。それじゃあ外の自販機で何か買ってからベンチに座って休憩でもするか?」

「おー、良いなそれ。よし、それじゃあ早速自販機に行こうぜ!」

「了解」


 という事で俺達は図書室から出ていき、そのまま外にある自販機で飲み物を買っていった。


 そしてその近くにあるベンチに座りながら俺達は休憩を始めていった。


「ごくごく……ぷはぁ! んー、生き返るなー!」

「あぁ、確かに生き返るなー。やっぱり疲れた時は炭酸飲料が最高だよな」

「はは、そうだなー! って、あ、そうだ。そういえばさ……俺からも和樹にちょっと聞きたい事があんだけどさ」

「んー? どうしたよ?」


 ベンチに座ってジュースを飲みながらぼーっとしていると、唐突に夏江が俺に向かって何やら聞きたい事があると言ってきた。


 俺はなんの事だろうと思いながら夏江の方に顔を向けていってみた。


「いやなんか最近さー……和樹の顔色めっちゃ良くなってないか?」

「俺の顔色? いや俺は全然いつも通り普通だと思うんだけど……そもそも顔色の違いなんて目に見えてわかるもんなのか?」

「あぁ、めっちゃわかるよ。だって前までの和樹って午後の授業とかめっちゃ気だるそうな感じで受けてただろ? それなのに最近はそんな様子も全然ないし、むしろ今は凄く集中して授業を受けているような感じがするんだよなー」

「え? あ、確かにそう言われてみれば……」


 確かにそう言われてみればここ最近は体調とか凄く良い気がするな。


 昔は気だるい感じとかも結構あったんだけど最近はそういう感じは全然なくなっていた。だからここ最近は凄く集中して授業を受けられてる気がするんだよな。


「そうだろ? なんだ、やっぱり和樹も自覚してんじゃん。でもどうしたんだよ? もしかして健康のために早寝早起きでも始めたとか?」

「いやいや、そんな事は全然してないよ。むしろ妹の真唯と一緒に夜遅くまでゲームをしてる事の方が多いしさ」

「あはは、相変わらず和樹と真唯ちゃんの仲はめっちゃ良いんだなー。でもそれじゃあ睡眠時間が増えたから体調が良くなっていってるわけじゃないんだな」


 俺がそう言っていくと夏江は笑いながらそう言ってきた。夏江は俺の家に何度も遊びに来てるので当然真唯の事も知っている。


「でもそうなると……それじゃあ和樹は他に何か変えた事でもあるのか?」

「えっ? う、うーん、何か変えた事って言われても……あっ」


 夏江にそう言われたので何か変化した事があったか少し考えてみたんだけど、でも俺はすぐに思いついた。


 そういえばここ最近は毎日お昼に美味しい手作りのお弁当を食べさせて貰っているんだよな。


「どうしたよ? もしかして何か変えた事でも思い出したか?」

「あ、あぁ、そういえばさ、ここ最近はお昼に菓子パンとかゼリーとかじゃなくて……もっとちゃんと美味しいお昼ご飯を毎日食べるようになってるんだ」

「え……って、えぇっ!? ま、マジかよ!?」


 俺がそう言っていくと夏江はとても驚いたような表情で俺の顔を見てきた。


「そ、それじゃあ和樹は昼飯はコンビニ生活はやめたのか!?」

「う、うん。まぁな……」


 俺はちょっと前までの昼食はいつもコンビニで買ってきた菓子パンとかゼリーとかクッキーみたいな物ばかりを食べていたんだ。手軽にすぐ食べれて美味しいからいつもそういうのを好んで食べていたんだ。


 そしてそんな食生活をしていたのは当然夏江も知っていたので、俺がコンビニでそういうのを買うのをやめたと知って夏江はかなり驚いたというわけだ。


「へぇ、なるほどな! それじゃあ和樹は今は学食で昼飯を食うようになったって事か?」

「えっ? あ、え、えぇっと……」

「ん? どうしたよ?」


 夏江にそう言われて俺は少し言い淀んでしまった。


 まぁ素直に佐々木さんと二人きりで屋上でお弁当を食べていると言っても良かったんだけど……でもそういう事を言ってしまうと夏江に変な誤解を与えてしまうかもしれないよな。


 そしてそうなったら佐々木さんに迷惑をかける場合もあると思ったので、俺はその部分は敢て誤魔化す事にしていった。


「え、えっと、いや、その……あぁ、まぁそんな所だよ」

「へぇ、そうなんだな! うんうん、なるほどなー! 学食の飯って美味いし栄養バランスもしっかりとしてるから、和樹の顔色が良くなっている理由はきっとそれなんだろうな!」

「あ、あぁ、そうかもな。でも今までの事を改めてちゃんと考えてみると……そりゃあ菓子パンはめっちゃ美味しかったけどさ、でも毎日同じモノをずっと食べ続けてたから栄養バランスとかはかなり偏ってたんだろうなぁ……」


 もしかしたらそれが毎日気だるそうな感じで午後の授業を受けていた理由の一つかもしれないよな。


 でも今は佐々木さんのおかげで毎日栄養バランスの良いお弁当を食べさせて貰っているから、ここ最近は体調面もすこぶる良くなってきたんだと思う。


 でもさ、そう考えてみると……。


(何だか佐々木さんにはとてつもなく大きな恩が出来ちゃってる気がするよな……)


 もちろん佐々木さんには毎日ちゃんと食費を払ってはいるんだけど、でもそれだけではこの恩を返すのには全然に足りてないよな……。


(うーん、佐々木さんから貰っているこの大きな恩を少しでもいいから返せるような事があればいいんだけど……)


 という事で俺は改めてそんな事をしっかりと考えていってみる事にした。


 やっぱり俺にとって佐々木さんは大切な友達だし、そんな大切な友達から貰ったこの大きな恩をしっかりと返したいと思うのは当然の気持ちだと思うからさ。

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