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王都炎上

「これは一体……」

 

 王都の今の光景を見て僕は絶句する。一体この魔族達はどこから湧いてきたんだ?厳重な警備の王都にこれだけの魔族が入り込むなんて。


「ラナ!」


 自分の名前を呼んで叱咤する声で僕は我に返る。


「なにをぼんやりしているのですか! 細かいことを考えるのは後です! 今はこの魔族達を退けないと!」


 そうだ、アーシャの言う通りだ。僕には魔族と戦うことの出来る力だあるのだから行動しないと。


「ごめん、アーシャ。君の言うとおりいろいろと考えるのは後だ。今はこの魔族達を出来るだけ退けて、王都の人達を守らないと。一緒に戦ってくれる?」


 僕の言葉に幼なじみの少女は力強く頷く。


「もちろんです。あなた一人を見捨てるなんてことをするはずがないでしょう」


 きっぱりと言いきるアーシャ、本当に頼もしいな。


「ありがとう、それじゃ行こうか」


「はい」


 僕とアーシャはライアム邸のバルコニーから庭へと飛び降りる。ライアム邸の中にも魔族が入り込んでおり、屋敷を護衛している兵士達が戦っていた。


「皆!」


 アーシャが光属性の魔力で槍を生成し、魔族達に放つ。兵士と戦っていた魔族達はその攻撃を受けて一撃で絶命していった。魔族を追い払ったラナは兵士達をまとめている隊長に駆け寄る。長年この王都のライアム邸を警護してきた人だ。


「アーシャ様、助かりました」


「お礼は結構です、皆怪我はありませんか?」


「はい。幸いアーシャ様が素早く加勢してくださったため、重傷を負ったものはいません」


「よかったです。それならば皆に伝えるべきことがあります。屋敷の地下に緊急用の脱出経路があるのはあなたは知っていますね。あなたはここにいる兵士の皆さんや侍女の皆を連れて王都を脱出してください」


「待ってください。アーシャ様はどうなさるのですか……」


「私はラナと一緒に王都の魔族を撃退しながら住民の避難を行います。王族の方々の安否も気がかりですのでそちらも探しながら」


「危険です。我々と一緒にお逃げください」


「大丈夫です」


 隊長の申し出を断ったアーシャは僕のほうを見ながら微笑んだ。


「私にはラナが付いていますから。彼女はなにがあっても私を守ってくれるでしょう。あなたは彼女の実力が信じられませんか?」


 ラナの問いかけに隊長は首を振る。そして僕のほうを見て頭を下げた。


「ラナ殿、どうかアーシャ様をお守りください。あなた様にならアーシャ様を任せられます」


「うん、必ずアーシャは守るよ。だからあなたは皆のことをよろしくお願い」


 隊長は頷くと他の兵士達に号令をかけ、屋敷から撤退を始めた。それを確認した僕とアーシャは屋敷の外へと向かう。

 王都はあちこちで悲鳴が上がり、戦闘の音が響いていた。とても先程まで建国祭が行われていた場所とは思えない。


「ラナ」


「うん。行こう、アーシャ」


 まずは王都の住民を助けながら王族の人達を探す。リアナが簡単にやられるとは思えないけれど。

 それには行く手を阻む魔族達が邪魔だった。


「僕が道を開くよ。アーシャ」


 雷の魔力で僕は何本もの剣を空中に生み出し、魔族に向かって射出する。魔族に当たった雷の剣はその場で破裂し、さらに魔族達を殲滅していった。


「さあ、行こう」


 障害が取り除かれた道を僕とアーシャは全力で駆け抜けた。

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