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異変

「懐かしいですね」


 華やかなパレードを見ながらアーシャが呟く。唐突に言い出したので僕はなんのことか分からず困惑した。


「どうしたの?」


「ああ、ごめんなさい。私とラナが会った時のことを思い出していて懐かしいなと思って」


 アーシャが僕のほうを見ながらくすりと笑う。


「急にどうしたのさ」


「さっきのあなたの言葉を聞いたせいでしょうね。ほら、僕はこの命を君のために使うっていう」


「……!?」


 嘘偽りのない言葉だけれど、他人から言われるととても恥ずかしい台詞を吐いたなと自分でも自覚してしまう。しかもその対象の人間から言われるとなおさら。


「うう……面と向かって言われると恥ずかしいからやめて……死にたくなってきた」


「ふふ、自分で言っておいてそんなふうになるなら言わなければいいじゃないですか」


 からかうような態度のアーシャ。なんというか今日は彼女のペースに乗せられてるなあ。


「今日はいつになく饒舌だね」


「楽しいですから」


 心の底からそう思っているのが伝わってくるような口調。僕も苦笑いしてしまう。


「まったく。ほらもう少しでパレードが近くまで来るよ。せっかくなんだし見ることに集中しないと」


 これ以上アーシャと話していると手玉にとられてしまいそうだ。そう思った僕はパレードのほうへと意識を向ける。


「あ、私に手玉にとられるのが嫌で話題を変えましたね。まあ、いいでしょう」


 にこにこしながらアーシャも近くまで来ていたパレードのほうへと意識を向ける。よし、なんとか気をそらすことには成功した。

 派手な音楽の演奏と共にこちらへ向かってくる一団。その中心にはリアナやヨハン様の姿も見えた。国王陛下の姿も見える、王族の人達は聴衆に向かって手を振っていた。


「リアナの姿も見えますね」


「うん」


 聴衆に向かって手を振るリアナに対して歓声があがる。彼女は民からの人気も高いため、リアナに対する声は一際大きかった。


「相変わらず凄く人気だね、リアナは」


 まあ気持ちは分かるけど。親しみやすい人柄と溢れる行動力があるんだから人気が出ないわけがない。


「ええ、本当にそうですね。彼女が将来この国の中枢を担っていくことになったらきっといい方向に進むと思います」


「本当なんだかんだ言って彼女のことを信頼してるよね」


「……」


 僕の指摘にふいっと顔を背けるアーシャ。素直に認めないのも本当に変わらない。

 そんなやりとりをしている内にパレードの一団がライアム邸の前を通り過ぎていった。


「楽しみにしていたけどあっという間だったね」


「そうですね、本当にこの楽しい時間がいつまでも続けばいいのに」


「そういうことはあっという間に終わるものだよ。さてパレードも見終わったしそろそろ中に戻ろうか」


「はい」


 そう言って僕とアーシャが屋敷の中に戻ろうとした時、どこかでなにかが爆発するような音が響いた。


「……!? 一体なにが……」


「ラナ、これは……」


 再び外へ出て僕らが見たのは王都を魔族が襲撃している光景だった。

 ここまで読んで頂きありがとうございます! 


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