建国祭②
支度をした僕らは建国祭が行われている王都を見て回っていた。あちこちに出店が並び、王都中が華やかに飾られている。
行き交う人々の数もいつもより多い。普段は見かけないような人達も今日はお祭りにやってきていた。
僕は建国祭の雰囲気に飲まれそうになっていた、久しぶりにこういう場に参加したからなあ。
「ラナ、大丈夫ですか?」
僕が雰囲気に飲まれそうになっていたのを察してかアーシャが声をかけてくる。
「うん、大丈夫だよ。こういったお祭りに参加するのが久しぶりでちょっと雰囲気に酔っちゃった」
「ふふ」
僕の言葉を聞いてアーシャがくすりと笑いをもらす。
「アルバイン王国最強の剣士が人混みなんかで酔うなんて……他の人が聞いたら大笑いするでしょうね」
よほどおかしかったのかアーシャはまだ笑っていた。少し恥ずかしいんだけど。
「仕方ないじゃないか。ライアム領にずっといたんだしこんなに人が多いと思っていなかったんだ」
「学生の時も建国祭の時は屋敷に籠もっていましたもんね……」
アーシャが僕の学生時代を思い返したのか溜息をつきながら呟く。あの時は本当に避けてたからなあ。
「でももうあの時とは違います。今日はめいいっぱい楽しみましょう!」
アーシャは上機嫌でそういうと僕の手を掴み、引っ張ってかけだしていく。僕は成されるがままに黙ってそれに従った。
*
「ねえ、ラナ。あれを見てください」
アーシャが指し示したほうをみると一人の少女がいた。周りには人だかりが出来ている。彼女の周りにはいろいろな道具が置いてあった。
「なにか芸をやる人みたいだね」
「せっかくだから少し見ていきませんか? まだまだ時間には余裕がありますし」
「うん、いいよ」
アーシャの提案に僕は頷き、僕達は少女の側へと歩いていく。ちょうどその時、少女は道具として用意していた剣を一本掴んだ。そして掴んだそれを自分の口へと飲み込んだのだ。
見ていた観衆からどよめきがあがる。彼女は飲み込んでいた剣を取り出し観客へ頭を下げる。
「うう……」
「どうしたの?」
「凄いとは思いましたけどあれって痛くないんでしょうか。どういうふうに飲み込んでいるのかは気になりますけど……」
どうやらアーシャにとって剣呑みは痛々しいものに写ったらしい、可愛らしいな。
「向こうもプロだろうし、そういったことへの対策はしているんだろうけどね」
アーシャの様子を楽しんでいる間に少女は別の芸を披露しようとしていた。彼女は道具を使って火をつけてそれを用意していた棒の先端に近づける。火を近づけた棒は先端部分が燃えだした。少女はそれを何本も作りだして空中に投げ、器用に投げたり取ったりを繰り返す。見ていた観客からは拍手が巻き起こった。
「凄く器用ですね、あの少女」
「ずっと鍛えてきたんだろうね。あの年齢であそこまで芸が出来るなんて大したものだよ」
偶然通りかかっただけだけどとても面白いものが見れてよかった、アーシャに感謝しないと。
その後も少女は芸を披露して僕とアーシャは大いに楽しんだ。
「ふふ、面白そうと思って興味本位で見てみましたけど本当に楽しかったですね」
「うん」
こういったことに遭遇するのもお祭りの面白さだろうか。普段は王都の街中でこういったことは絶対に行われないからね。
「さて次はどこにいきましょうか」
アーシャは次の目的地を早くも考え出し始めていた、とてもはしゃいでいる。どうやら今日はずっとこの調子の彼女に付き合うことになりそうだ、まあ悪い気分はしないんだけどね。
「あら、アーシャ様にラナ様。こんなところでなにをされているのですか?」
どこに行くかを考えている僕達に声がかけられる。この声は聞き覚えがあるなと思いながら声のしたほうを僕達は見た。そこに立っていたのは一人の少女ーーエリナ・ユーハイムだった。
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