閑話②
ーーイサークとラナが戦っている場所にリアナが現れる少し前。
「ラナとリアナは大丈夫なのでしょうか」
ユーハイムの屋敷を観察していたアーシャが不安そうに漏らす。現在彼女の義理の姉妹であるラナはあの屋敷にエリナ・ユーハイムと一緒に潜り込んでアルバイン王国の国王に反旗を翻す計画を立てた者
達を取り押さえるために行動している。
「大丈夫よ、ラナがやられると思う?」
落ち着かない様子のアーシャにリアナが声をかける。
「そんなことあるわけないじゃないですか。ただなにか嫌な予感がするんですよね」
「ん? なんだ、あれは」
屋敷を観察していたヨハンが声を上げる。少し困惑しているようだ。
「どうしたんですか、兄さん」
「いや、屋敷のほうが急に騒がしくなってね……あ!」
ヨハンが驚くと共に屋敷の窓が割れてなにかが外に出てきた。様子を観察していたヨハン達はその飛んできたものを確認する。
「これは……魔族!!」
「なんで魔族がこんなところにいるのですか……」
「屋敷に突入しましょう。中でなにが起きたか確認すればこの魔族がどうしてここにいるのかも分かるわ」
リアナの一言にヨハンとアーシャは頷く。三人が屋敷の中に入り、魔族の飛んできた部屋へ向かって進んでいると何人かがこちらに向かって走ってきていた。
「ちょっといいかしら」
リアナがこちらに向かってきた人間の1人に尋ねる。尋ねられた男は殺気だった目でこちらを見てきた。
「邪魔をするんじゃない! 俺は死にたくない!」
リアナを怒鳴ってその男は走り去っていった。
「一体何があったの……」
嫌な胸騒ぎがしてリアナは魔族が飛んできた部屋へと急ぐ。部屋に近づけば近づくほど人の混乱した声が聞こえてきた。
「これは……」
リアナは部屋の様子を確認し、絶句する。そこには数体の魔族がいたからだ。
「リアナ殿下!」
名前を呼ばれて声のしたほうを確認する。そこにはエリナがいた。彼女はリアナの方へ駆け寄ってくる。
「はあ、はあ……よかった、来てくださって……他の方達は……」
「今追って来てるところ。それよりこれはどういうこと? なんで魔族がこんなところにいるのかしら?そしてラナはどこに行ったの?」
「魔族はイサーク殿下が呼び寄せられました。ラナさんはイサーク殿下を追ってあの渦の中へ飛び込まれました」
エリナが指差している方向には黒い渦のようなものがあった。あれは転移の入り口……。
「まさかあの馬鹿兄貴……あの男と手を組んで……いいえ、いろいろ考えるのは後にしましょう」
リアナは現実に頭を抱えるもすぐに切り替える。
「リアナ、これは一体どういう状況なのですか……!」
遅れて来たアーシャが部屋の様子を見て驚く。
「詳しくことはエリナが説明してくれるわ。エリナ、私はあの馬鹿兄貴を追うからアーシャとヨハン兄さんに状況の説明をお願いね」
リアナはそういうと黒い渦に向かって駆け出す。
「ええ!? リアナ殿下待ってください!」
「リ、リアナ! また勝手なことを……」
後ろから2人の抗議の声が聞こえてきたがリアナは無視して渦に飛び込んだ。
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