イサーク・アルバイン②
「ふん、リアナめ。わざわざ私に会いに来てなにをいうのかと思えば」
自分の妹との面会を終えて他の誰もいない執務室でイサークは吐き捨てた。
「魔物対策であの魔剣を使いたいか。まったくよく調べてきたものだ。伝承だけとなっていた魔剣がこの剣のことと気づくとはな。私でさえ知るまではこの魔剣に興味さえなかったというのに」
自分の妹の優秀さに舌を巻くイサーク。この宮廷庁が管理しているものは王家の所有物なのでなにを管理しているかは王族以外には非公開だ。なので普通は伝承だけがまことしやかに伝わっている二振りの魔剣がここにあるとは気づけない。妹は自分に使える権限を使って魔剣について調べあげ、ここまで辿り着いた。大したものだとイサークは思う。
「が、この剣は王家の所有物だ。お前の好きには出来んよ」
にやりと口元を歪ませて笑うイサーク。先程のリアナとの面会とはうって変わった表情だ。
「この剣の力はお前が考えているように本物さ、だがお前が使うのには相応しくない。この二振りの剣に相応しいのは俺のほうだ」
くっくっくと低い笑い声を漏らすイサーク。広い部屋に彼の笑い声が響く。
「もう少しだ。もう少しでリアナ、忌々しいお前を消すことが出来る」
ずっと嫌いなのだ、私より優れていて優秀なあの妹が。父からも兄からも認められているリアナのことが心底憎い。妹は民からも人気が高い、貴族層の間でも能力的に次の王に一番相応しいのは彼女だと言う声は多い。後は兄を支持する声も当然多い。
ふざけるなとイサークは心の中で吐き捨てる。どいつもこいつも私のことをないがしろにして妹や兄ばかりを褒めそやす。
自分が影でなんと言われているかなど知っていた。優秀ではあるが兄と妹に劣る、それがイサークに対する周囲の結果だ。特にリアナが傑物であることとイサークと彼女の性別もあって馬鹿にされることも多かった。
だがもう少しでその忌々しい原因である者達を消すことが出来る。
「ああ、楽しみだよ。俺の心をわずらわせるもの達を殺せる時が」
1人きりの部屋の中で呪詛のように恨みの言葉を吐き出すイサーク。その姿は不気味としかいいようがない。
「随分と上機嫌なのだな、イサーク殿。しかし大の大人が1人で笑っているのはいささか気味が悪いと思うが」
イサーク以外誰もいない部屋なのに突如別人の声が響く。
「貴殿か、なにをしにここに来た」
イサークは声のしたほうをわずらわしそうに見る。そこにはクレイが立っていた。
「いやなに、協力者の顔を見ておきたいと思っただけさ。我々は同志だからね」
「ふん」
心にも思っていないことを臆面もなくいう協力者に僕は顔をしかめる。とはいえ彼の協力て今考えている計画も実行に移せそうなのは事実だ。協力には感謝するが油断できない、こいつも利用するだけ利用して始末してやる。
「再三確認して申し訳ないが、貴殿には本当に我らが行動を起こした時に協力してくれるのだろうな」
「もちろんだとも。私は君のことを認めているんだ。友が困っていたら手を貸すのが普通だろう」
「……まあいい。その時が来たら貴殿にもきちんと協力してもらうぞ」
「安心して欲しい。君のことは必ず支援するとも」
クレイは笑顔を浮かべながらイサークの言葉に答える。
その笑顔を気持ち悪いと思いながら、すべてを利用して自分の望みを叶えることをイサークは改めて決意した。
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