魔剣の行方
朝食を終えた僕はリアナの元へと向かった。彼女は普段王城の自分の部屋にいるのでそこに行く。
「ああ、これはラナ様。リアナ様があなたをお待ちです、どうぞこちらへ」
彼女の部屋の前に辿り着くと侍女が僕を部屋の中へと案内する。部屋の中ではリアナがすでに待っていた。
「ああ、ラナ。来てくれてありがとう、忙しいのに申し訳ないわね。さっ、座って頂戴」
ラナに促された僕は椅子に腰掛ける。
「それで今日は僕を呼び出してどうしたのさ。またあの男の件?」
「いいえ、あなたから頼まれていた魔剣の件よ。だからあなただけを呼んだの」
「魔剣の件って……!?」
前世で僕が使っていた二本の剣は今の時代に伝承として伝わるのみとなっていた。それでリアナにその二本の剣の場所を調べて欲しいって頼んでたんだけど……。
「ええ、保存されている場所が分かったわ。場所を知った時、灯台下暗しって感じだったけど」
「どこにあるの?」
リアナも以前話した時は調べ始めたばかりだったのもあってまだ場所は分からないと言っていた。いったいどこにあったのだろう? でも見つかったなら有り難い。
「古い文献を調べさせると同時に王家の所有物を記録した書類も確認させたの。そしたらそれらしいものが見つかったわ。私個人で調べていたから少し時間がかかってしまってごめんなさい」
「あやまることはないよ。僕は感謝しないといけない立場だ。無理なお願いを聞いてくれてありがとう」
「これくらいどうということはないわよ。言ったでしょう、私はあなたに助けられてきたんだからもっと頼っていいのよ」
「うん、今回はその好意をありがたく受け取るよ」
いずれにせよ魔剣が見つかったのは今後の戦いにプラスになるからとてもいい知らせだ。ただ、
「でも王家の所有物だとしたら簡単には使用できないんじゃない?」
「そうね、しかもその管理をしているのは宮廷庁なんだけど……」
宮廷庁とはこの国の行政機関の一つ、主に王家が持っている財産や所有物の管理を行っているところだ。
「そのトップの許可が少なくともいるわね。借りるにふさわしい理由とか求められるかも」
「今の宮廷庁のトップって確か……」
「ええ、あの人よ」
「ああー……」
僕もその人を知っている。ただあの人は酷く僕らのことを毛嫌いしていたはずだ。
「そうか、リアナの兄弟の……」
「ええ」
この国には現在三人の王位継承者候補がいる。要するにリアナの兄弟だ、宮廷庁の長官はこの三人の内の一人だ。そしてリアナと凄く仲が悪い。
「確か二番目のお兄さんだっけ?」
「ええ。ごりごりの伝統主義者で私やお父様のような改革に反対している人達のトップでもあるわ。お父様も頭を抱えているわよ、最近じゃ実力のある貴族達と一緒に行動してお父様がやろうとすることに反対意見を出したりするんだから」
リアナはとても嫌そうに吐き捨てる。リアナは考え方の違いもあってそのお兄さんとはあまり仲が良くない。今回の魔剣の剣は苦労しそうだ。
「はあ……あの人とはあまり話したくはないのよね。あまりに堅物で話していて気疲れしてしまうもの」
「まあ、向こうには向こうの考え方があるから仕方がないよ」
そうは言ったものの僕も彼のことは苦手だ。学年は違ったものの学院時代には僕が活躍するのを心良く思っていなかったのか、なにかと嫌がらせをしてきたから。その度にリアナがお兄さんと喧嘩していていたたまれない気持ちになったんだよね、今日は喧嘩にならないようにしよう。
「気乗りはしないけど……まずはきちんと話をしにいきましょう。苦手な人と言ってもそういうことを軽んじてはいけないわ」
「そうだね、きちんとしておかないと後々面倒だしね」
僕とリアナはとりあえず話をしようと宮廷庁に向かうことにした。
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