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逢瀬②

 ロゼと一緒に僕はよく利用しているカフェまで来ていた。ここは学生時代からよく利用していてお店の人達とも顔なじみになっている。アーシャやリアナもこの店がお気に入りで学生時代はよく一緒に来ていたな。


「こんにちはー」


 僕が挨拶をしながらお店に入店すると僕に築いた店主が声をかけてくる。


「おお、ラナちゃんこんにちは。久しぶりに君の顔を見たなあ。いつぶりかな?」

「僕が学院を卒業して以来です」


「そうか、まったく卒業してから顔も見せやしないんだからこっちも心配したんだぞ」


「あはは、すいません。心配してくれてありがとうございます」


「おう、ラナちゃんはライアム家の養子に正式になったと聞いたし、これからは堂々としていけるんだからもっと顔をだしてくれよ」


「はい」


 しばらく会っていなかったのに僕に優しい言葉をかけてくれる店主に感謝する。


「ところでアーシャちゃん、その女の子は誰なんだい?」


「ああ。えーと……事情は説明し辛いんだけど僕の話を聞きたいってせがまれて一緒に……」


「初めまして、ロゼといいます。ラナさんは有名な方なのでいろいろとお話を聞きたいって私がお願いしたんです」


 ロゼは礼儀正しく挨拶をして頭をさげる。


「こんにちは。随分礼儀正しい子だね」


「ありがとうございます、褒めてもらえて嬉しいです」


「しかしラナちゃんもモテモテだねえ」


「やめてくださいよ。僕はそんな凄い人間じゃないんですから」


 からかってくる店主を軽くあしらって僕はロゼを連れて席につく。ロゼも僕に続いて席についた。


(本当に所作に品があるというか……年齢離れした子だよね)


 見た目は10歳くらいの少女なのだが振る舞いが落ちついていてとてもその年齢の子とは思えない。


(まあ、大きく気にすることではないんだけど)


「ロゼちゃん、なにを頼む?」


「おすすめはありますか?」


「このチョコレートケーキとコーヒーのセットがいいよ」


「じゃあ私もそれでお願いします」


 僕のおすすめに従って、ロゼちゃんも僕と同じものを注文する。店員に内容を伝えて僕はロゼちゃんと向き合った。


「ロゼちゃん、僕のお話を聞きたいって言ってたけどどんな話を聞きたいの?」


「そうですねえ……出来ればどうやってあの古竜を討伐できるくらい強くなれたのかとかですかね。あと差し支えない範囲でいろいろとプライベートなことを聞けたら嬉しいです。古竜以外にもなにかと戦っていたらそう言った話が聞きたいな」


「んー、成程。それじゃまずは……」


 それから僕はロゼに自分のことを話した。古竜を討伐できるくらい強くなれたのは日頃の訓練とか誤魔化したりもしたけど。自分のことについては幼い頃にライアム家に拾われて今に至るまでのことを伝えた。まあ、話せないことも多くあるんだけどね。

 ロゼは僕の話を楽しそうに聞いていた。じっと僕のほうを見て話に耳を傾けてくる。そんなに僕の話は面白いのかと思ったけど、相手が真剣に聞いてくれているので僕も悪い気はしない。途中で店員が持ってきたケーキとコーヒーを楽しみながら思っていたよりも楽しい時間が過ぎていった。


「ふふ、ラナ様の話はやっぱり面白いですね」


「そう? そんなにいいものでもないと思うけど」


「いいえ。やっぱりあなたの話は退屈しません。いろいろな話が聞けてとても満足です」


 ロゼは言葉通りに機嫌がよさそうだった。ケーキをフォークで切り分けて優雅に口に運んで味わう。


「それにこのケーキとコーヒーも気に入りました。とても美味しいです」


「気に入ってもらえて嬉しい。僕もこのお店はお気に入りでさ。学生時代もアーシ

ャや友人とよく来ていてさ。皆ここの常連なんだよね」


「……」


 ロゼは僕の話を静かに聞いている。だがなぜかその纏う雰囲気が少し剣呑なものになった気がした。なにか気に障ることを言ったかな。そういえば僕の話を聞いている時も時々機嫌が悪いように見える時があったかも。


「ロゼちゃん、どうかした? 僕の話を聞いている時に時々機嫌が悪いみたいだけど?」


「あ!? いえ、別になんでもありません。ラナ様がいうように確かにこのお店は何度も来たくなる雰囲気がありますね」


 僕の質問に答えたロゼからはさっき感じた剣呑な雰囲気は消えていた。やっぱり僕の気のせいだったのかな?


「でしょう。ロゼちゃんもよかったらまた来てあげてね。店主も喜ぶからさ」


「はい。機会を見てまた来たいと思います」


 どうやら彼女にもこの店は満足してもらえたらしい。気に入ってもらえたようでなによりだ。

 ロゼちゃんの身の上についても少し尋ねてみた。彼女はある人と世界を巡って商売をしているらしい。今日はどこかに行っているらしく、彼女はその間に僕に会いに来たという。


「そ、それはその人が心配するんじゃ……」


「いいんです。この王都の中で危険なんてあまりないだろうし、あの人はちょっと過保護なところもありますから」


 コーヒーを飲みながら澄ました顔で答えるロゼちゃん。こ、行動力のある子だなあ……この子の世話をしている人は大変そうだ。


「あ、もうこんな時間か」


 店の時計を見ると大分時間が過ぎていた。そろそろ図書館に戻って調べ物を再開しないと。


「ごめんね、ロゼちゃん。そろそろ王宮図書館に戻って調べ物を再開しないといけないや」


 ロゼちゃんは少し寂しそうな顔をしたが僕のほうを見て頷いた。


「分かりました。では図書館までの道のりはご一緒してもいいですか?」


「うん、それは構わないよ。それじゃ行こうか」


 僕は席を立ち上がると自分とロゼちゃんの分のお金を払ってお店を後にした。 

 ここまで読んで頂きありがとうございます! 


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