vsアリス⑥
土埃が舞い、アリス様の姿は見えない。僕は油断なく魔剣を構えて様子を伺う。
「ああ、痛いわ、グレン。私の腕を斬り落とすなんて酷いことをしてくれるじゃない」
土埃の中から現れるアリス様、先程斬り落とした腕はもう再生しており、今の攻撃で受けた傷も再生しかけている。
(これでも駄目か。今更だけど吸血鬼と竜ってのは本当に厄介だね)
僕は相手の力を見て内心毒を吐く、魔族の中でも最強の種族の力を取り込んでいるなんてやっぱり反則だと思った。
「痛かったからお返しね」
アリス様の周囲に邪竜の炎が生み出される。それは生物のようにうねり、僕へと襲いかかってきた。
「ふっ!」
僕は紅禍を振るい、その炎をかき消していく。そのままアリス様へと向かって突き進んだ。
「真っ向勝負ね、ふふ」
楽しそうに笑ったアリス様は猛烈な勢いで攻勢をかけてきた。大量の血の槍が生み出されそのすべてが僕目がけて打ち出される。
「これはかわしきれるかしら!」
挑発するようなアリス様の言葉に僕は結果で返答する。僕は銀桜を振るって虹色の刃を飛ばし、飛んできた血の槍をすべて破壊する。
「はあ!」
そのまま銀桜を振るい、虹色の刃をアリス様目がけて飛ばすがアリス様もそれを邪竜の炎をぶつけて相殺してしまう。
「次はこれよ」
言葉と同時に地面から血棘が現れ、僕へと迫る。しかしその棘が僕を串刺しにすることはなかった。
「!?」
僕の目の前には光属性の魔力で出来た障壁が現れていた。そしてそれを生み出したのは……。
「ありがとう、アーシャ」
「これくらいなんてことないです」
頼れる僕の主、アーシャ・ライアムだ。
「僕がアリス様へと近づくのを援護してくれる?」
「大丈夫です、あなたが近づくための援護くらいこなしてみせますから」
「頼もしいね」
「アーシャ・ライアム……!」
僕とアーシャのやりとりを阻む激昂した声、アリス様のものだ。
「忌々しい女! 私のものであるグレンを返しなさい!」
アリス様が怒りのままに炎をアーシャに向けて放つ。僕はその炎を紅禍で斬り払い、そのままアリス様の元へと駆け出す。
(今度こそ……終わらせる!)
次の攻撃でこの戦いを終わらせるべく僕は足を止めない。アリス様は次々と強烈な攻撃を放ってくるが僕はアーシャの援護を受けてすべて防ぎ、そして彼女の間近に迫る。
「ちっ……!」
アリス様は僕を迎え撃とうと両手に血剣を作りだした。そのまま僕とアリス様は何合か打ち合う。そしてアリス様が右手の血剣を僕目がけて振り下ろそうとした。
「!?」
振り下ろされようとした血剣の動きが止まり、アリス様の動きが止まる。彼女の腕には光属性の魔力で作られた鎖が絡まっていた。
「あの女か……!」
「これで終わりですよ、アリス様」
動きを止めたアリス様に僕は二振りの魔剣の一振りを振るい、彼女の体を袈裟切りに斬り裂き、もう一振りの魔剣で彼女の体を貫いた。
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