vsアリス⑤
「ふふふ、次はどんな手で来るのかしら?」
高揚した様子で楽しそうなアリス様、僕はじっとそれには取りあわず両手に握った二振りの魔剣を構える。
そんな僕の様子を見てアリス様は少し不満そうな表情をした。
「つまらないわ、あなたからこないなら私から行かせてもらうわね」
アリス様は両手に血剣を生み出す。そして僕とまったく同じように構えた。
「アリス様……」
「忘れたとは言わせないわよ。私だってあなたの剣に助言したんだから二刀流くらい扱えるわ。まあ剣に限って言えば最終的にあなたのほうが強くなってしまったけれど」
「……そうでしたね」
「これなら少しは楽しめそうでしょう。今度はお互いの純粋な剣技を競いましょう」
アリス様が血を蹴る。一瞬で僕の目の前まで移動したアリス様は右手の血剣を横薙ぎに振るう。僕はそれを受け止め、返す刀で斬り返す。 そのまま僕はアリス様を攻め立てる。アリス様はそれをすべて華麗な剣さばきで捌いていく。まるで2人で美しいダンスを踊っているようだった。
「ふふ、やっぱりあなたとの戦いは楽しいわ。相変わらず素晴らしい腕ね」
「剣にばかり目が言って他への注意がおろそかになっていますよ」
僕はアリス様を囲むように雷の槍を配置して彼女へ向かって放つ。激しい爆発のせいで土埃が舞い、アリス様の姿は見えない。
「う~ん、これで倒せると思ったの?」
まったく傷を負っていないアリス様が土埃の中から現れる。さっきの攻撃はまったく効いていないようだ。
「これじゃ盛り上がらないからもっと頑張ってね。えい」
お返しと言わんばかりにアリス様は僕の周囲に血の槍を生み出しで放つ。僕はそれをすべてたたき落としてアリス様へと再び斬りかかった。
「あはは!そう、もっとよ!」
楽しそうに嗤うアリス様。振るう血剣の冴えはここに来てまた増している。
「っ……!」
アリス様の振るう血剣が僕の頬をかすめる。赤い雫が頬を伝って血に墜ちた。
「どうしたの? 私の剣に追いつけない?」
不敵に笑って問いかけてくるアリス様。
「……そんな訳ないでしょう」
僕は大きく踏み込んで両手の魔剣を振るう。激しい剣戟が繰り広げられ僕とアリス様の剣を振るう速度はどんどん上昇する。
「あああああああああああああ!」
右手の紅禍を精一杯の力で振るう。その一撃を受け止めた血剣の一本が砕けた。
「砕いても無駄よ。すぐに……」
「遅い!」
アリス様が血剣を生み出す前に僕は魔力操作で肉体を強化、一気に踏み込んで腕の一本を斬り落とす。
「……っ!」
「剣の勝負はこれで終わりです……! アリス様」
左手の銀桜に魔力を集める。集めた魔力はアリス様に向かって放たれ虹色の光が彼女の肉体を包んだ。