vsクレイ②
「クレイ!!」
僕はかつての友へ向かって駆け出す。彼を突破出来なければアリス様を倒すなんてことも出来ないだろう。
「グレン! 俺は貴様をここで葬る! 一切の加減はしない」
そうだろうね、君は僕を殺すために一切の手加減をしないだろうね。
なら、僕も全力で答えるまでだ。
僕は雷と風の魔力を操作してクレイの元へと全力疾走する。ここであまり時間をかけてはいられないから短期決戦だ。
「ふん! 簡単に俺を突破できると思ったか! 見くびられたものだな!」
苛立ちを含んだ言葉と共に僕に風の刃が襲いかかる。クレイの魔力操作によるものだ。
僕はそれをかわしてクレイのもとへひたすら駆ける。これくらいかわすなんて訳のないことだ。
「こんなもので終わるはずがないだろう」
僕の周囲から闇の魔力が立ち上る、クレイが操ったものだ。その魔力は一斉に僕目がけて襲いかかる。
「させません!」
僕に襲いかかる闇の魔力をアーシャが光属性の魔力を操って止める。クレイの魔力操作に負けずにしっかり闇属性の魔力を相殺している自分の主に僕は感心してしまう。
「ありがとう、アーシャ!」
「ラナ! 行ってください! 闇属性の魔力は私がなんとかしますから!」
アーシャの言葉に背中を押され、僕はクレイのほうへと歩みを進める。
「ちっ! 忌々しい娘だ!」
クレイはアーシャの妨害にも負けず僕を攻撃しようとしてくるがアーシャはその妨害をすべて防ぐ。
「クレイ!」
遂に僕はクレイの元へと辿りついた。憎しみの籠もった視線が僕へと向けられる。
「グレン……!」
「悪いけれどここは通させてもらうよ!」
「通すものか! お前をアリス様の元へは行かせない!」
僕はクレイに至近距離から拳を叩き込む。クレイはそれをかわし、蹴りを繰り出してくる。
(そう簡単には倒れてくれないよね……!)
クレイと魔力操作や肉弾戦を含めた一進一退の攻防が続く、お互いに傷を負いながらも相手を倒すような決め手に欠けていて決着がつかない状態だ。
「あああああああああああああああ!」
僕は雷剣を生み出し、クレイに向かって投げつける。クレイはそれをかわすが、
「隙あり!」
クレイが攻撃をかわした先に僕は先回りする。攻撃を回避したクレイに思い切り拳を叩き込むつもりで右手を繰り出した。
「当たるものか、馬鹿め!」
クレイの姿が黒い渦に飲み込まれ消える、転移の術だ。
「倒れるのはお前のほうだ、グレン!」
背後に現れたクレイは風の魔力で生み出した刃を僕目がけて思い切り放った、これで決着をつけるつもりなのだろう。
が、その刃は僕に届かない。
「なに!?」
グレンの驚いた声が響く。彼の放った風の刃は光の魔力で生み出された盾に防がれていた。アーシャが作ったものだ。
「……あの女ぁ……!!」
「僕1人に気を取られすぎだよ、そしてそんなふうにアーシャを侮ったから君は今回負けるんだ」
その言葉と共に僕はクレイを思い切り殴り飛ばした。
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