死闘⑥
「やああ!」
私――アーシャ・ライアムは目の前の男に光属性の魔力を編み上げて生み出した光の剣を振り下ろします。
「ちっ」
相手の男――クレイ・トワイライトは舌打ちをして私の攻撃をかわします。彼が扱える闇属性の魔力は私の光属性と相性が悪いのです。
私に対して攻撃する時も彼は闇属性を使わず、もう一つの風属性の魔力を操って攻撃してきます。
「やはり光属性は厄介だな。俺の攻撃がほとんど封じられてしまう」
私が彼に対してある程度戦えているのもこの光属性への適正のおかげです。でもこの優位があっても彼は強い。
(早く決着をつけて皆を助けにいかないと……!)
離れたところではリアナと大公様があのアリスと戦っています。私はクレイに足止めをされている状況なので早く彼を突破して二人を助けにいきたいのですがそう簡単にはいきません。
「っ……!」
私は思わず唇を噛んでいました。自分が苦手な属性で攻められてここまで対応できる人間はそれほど多くありません。それだけ彼本人の実力が優れているということです。攻めの勢いを落としてはいないのですがそれでも相手を崩すことが出来ない。
「どいてください……! あなたに構っている暇はありません!」
私は光属性の魔力で生み出した光の剣を振るって、彼を攻め立てるも決定打を残せません。彼の顔が視界に入ってきましたがこちらをあざ笑うような笑みを浮かべていました。
「そんなふうに言いながら必死だな。お前がどれだけ頑張ってもあの二人ではアリス様には勝てないさ」
「なにを根拠に……!」
「貴様だって分かっているだろう。彼女の圧倒的な力を。お前達はここで死ぬのだ、あの臆病者がここにおらずその様を見届けられないのは残念だがな」
「ラナのことを悪く言わないで……!」
「!?」
カッっとなった私は怒りに身を任せて光属性の魔力をそのまま相手にぶつけました。爆発が起こりクレイが吹き飛ばされます。
「しぶとさだけは一人前だな。だがもう遅いようだぞ」
「えっ……」
クレイの言葉の後、激しい地響きが起きました。震源の場所には紅色と黒色が混じった禍々しい棘のようなものが生えています。
「あそこは……」
あの場所はリアナと大公様がアリスと戦っていた場所のはずです。まさか……。
「……っ!」
私はその場所へ駆けだそうとします。しかし、
「おっと行かせない」
当然のようにクレイが邪魔をしてきます。彼をどうにかしないと二人を助けに行くことも出来ません。
「ああ、もう! 早く行かないと二人が……」
「そう思うなら俺を早く倒すんだな!」
私とクレイの戦いが膠着状態に陥りかけたその時、
「いや、クレイ。君には道を開けてもらうよ」
「えっ……!?」
「なに!?」
涼やかな声が響き渡り、眩いばかりの雷がクレイに向かって進んで行きぶつかりました。その光にぶつかられた彼はそのまま吹き飛ばされてしまいました。
光が収まりその場に立っていたのは美しい銀髪を靡かせる一人の少女――。
「ラナ……!」
悠然と立つその人物の姿を見て私は思わず声をあげてしまうのでした。