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真実⑦

 僕の目の前の光景は再び切り替わる。そこにいたのはクレイと一人の女性だった。灰色の髪をしたその女性はシャルロッテが今持っている神剣を持っていた。


「あれは……!」


「あれは私のお母さん」


「お母さんって……リリベラ様!?」


 リリベラ・ノースフィールド、前ノースフィールド家の当主でシャルロッテの母親。僕も名前だけ知っていて会ったことはないけれど雰囲気はシャルロッテそっくりだった。

 彼女は神剣をクレイに突きつけて厳しい視線を向けている。一方のクレイもリリベラ様を睨みつけていた。


「くそ……なぜ場所が分かった……なるべく分からないようにしたのに……!?」


「ノースフィールド家の者に手を出すことを甘く見ていたようね。当主として一族の者を殺した相手を逃がすわけがないでしょう」


(一族の者を殺した? クレイが?)


「ふん……随分と一族思いなのだな。その仲間想いを少しでもあの時にあの方に発揮してくれていたら俺もこんなことをしなくても済んだのにな」


「あの時……アリス・ローゼンタールが死んだ時かしら?」


 リリベラ様の言葉にクレイは驚く。


「なぜそれを……!?」


「まあノースフィールド家に与えられた力の一つよ。今までの一族の記憶を当主は継承するの。世界を守るという使命を忘れないように」


「そんなことまでして使命の継承に熱心とはな! なんとも素晴らしいことだ」


 クレイは吐き捨てるように叫ぶ。その声に込められた感情は憎悪、どうしようもない憎しみが隠しきれない程溢れていた。


「……あなた、自分の魂を他の人間に移しながらこの時代まで生きてきたわね。それで彼女を呼び覚ますための器をずっと探していたのかしら」


「……そうだ。自分の精神を他人の体に移すことは簡単だった、生きた人間でそれをやるのは難しくなかったよ。しかし他人となるとそうはいかない。魔力の中から人の意識を取り出すことが可能になるまでとてつもない時間がかかったからな。加えて死んだ人間の意識を定着させることも用意ではなかったよ、大概拒否反応を起こして死んだからな」


「……だから強靱な肉体を持つノースフィールド家の人間を狙ったと」


「ああ、そうだ。ノースフィールドの人間なら肉体としても申し分もない。魔力への適正も多いからうまくいく可能性が高いと思ってな」


 クレイの言葉を聞いた後、リリベラは剣を振るった。クレイの体は衝撃で吹き飛ばされる。


「ぐっ……」


「あなたの行動理由は分かった。アリス・ローゼンタールを思う気持ちも。でも私の一族を殺し、肉体を弄んだことを許すことはできない、あなたはここで始末する」


 毅然と宣言し、クレイに神剣を突きつけるリリベラ様。クレイはその様子を見て顔を歪ませ叫ぶ。


「ほざけ! アリス様が世界のために働いたのになにもしなかった一族の末裔が偉そうに! 貴様達こそ彼女のために身を捧げるべきだろう!」


 怒りにまかせたままクレイはリリベラ様に突撃する。二人の激しい戦いが始まった。 

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