真実②
「……ここは……」
目を開けると周囲の光景が変わっていた。けれどこの場所に僕は見覚えがある。
「これは……僕の前世の……!」
「正確に言えば私の血族の記憶。あのアリスと関わりのあるところを見せている」
「シャルロッテ……!」
「今から君に彼女になにが起きたかを見せていく。……あなたが辛いと思ったらやめる、その時は遠慮なく言って」
「……ありがとう」
シャルロッテに感謝を述べて僕は周囲を確認する。目に入ったのは前世のアリス様と灰色の髪を持ち、シャルロッテが持っている神剣を持っている人物だった。
「あれは……」
「あれは私のご先祖様。これは前世の彼女とアリスとの交流の記憶」
二人はなにかを離している。僕は二人の会話を聞くのに意識を集中させた。
「あなたが自分から私のところに来るなんて珍しいわね」
「そんなに邪険に扱わないで欲しい。ノースフィールド家の人間といっても友人と思っている人間に会いに行くくらいはする」
「ふふ、ごめんなさい。ちょっとからかっただけです、でもありがとう」
「……グレン・アシュヘルトのことは聞いた」
「……」
僕の前世の名前を聞いたアリス様の顔が険しい顔になる。
「彼が亡くなった後、しばらく療養していたと聞いた。それもあって今日は会いに来たんだ」
「ありがとう、でももう大丈夫」
アリス様は相手を安心させるためかなんとか笑顔を作っていた。無理をしているのは誰もが見て分かっただろう。
「私にはクレイもついてくれています。これから女王として国をまとめなきゃいけないけれど彼がいてくれるなら大丈夫」
「……君は魔王討伐の大義の名の下に人間をまとめた。けれどこれからは高まり過ぎた君の名声を疎ましく思う奴らも増えるだろう。最悪君を追い落とそうとする輩も出てくるかもしれない、十分に気をつけることだ。人は愚かだからな」
「心配してくれるの? ノースフィールド家は人の争いに介入しないのに」
くすくす笑いながらアリス様は尋ねる。シャルロッテの祖先は少し気分を損ねたのか頬を膨らます。
「……君が追い詰められたら私は助けることが出来ないからな。これは友人として出来る最大限の忠告だ」
「……本当にありがとう。でも私は人を信じて頑張ってみる。それが私を支えてくれた人達に報いることだと思うから」
「君がそう考えているならもう私からはなにも言うことはない。これで失礼するよ」
そう言ってシャルロッテの祖先はアリス様の部屋を後にした。部屋を出た後、彼女はぽつりと呟く。
「よからぬことが起きなければいいが……そうなっては私は助けることが出来ないから……」
そのまま彼女はその場を去っていった。
「今の発言ってどういうこと?」
「あなたも知っているはず。ノースフィールド家は基本的に世界の危機にのみ介入する。彼女が言ったのはあのアリス・ローゼンタールに悪意のある人間がなにかしてきても助けることが出来ないってこと」
「……じゃあこの後、起こるのは……」
「……次の記憶を見せる。あなたの言葉の答えはこの先の記憶を見れば分かるから」
シャルロッテの言葉と共に再び僕は意識を失った。