勇者vs魔王③
「第一段階の制限、解除」
シャルロッテの呟きとともに彼女から虹色の光があふれ出す。
「へえ、それが噂に聞く神剣の制限の解除ってわけ?」
アリス様は相変わらず楽しそうに笑っている。この戦いを楽しんでいるようだった。
「まさか神剣の制限の解除まで使ってくれるなんてね。私はそれに値したということかしら?」
「お前は危険な存在。ここで確実に滅ぼす」
「ふふ、出来るならね!」
アリス様は再び炎を放つ。放たれた炎はシャルロッテが放った光とぶつかり相殺された。
シャルロッテは地を蹴ってアリス様へと近づく。彼女の姿はいつの間にかアリス様の目の前にあった。
「……!?」
アリス様はシャルロッテに対応出来ていない。シャルロッテは容赦なく拳をアリス様へと叩き込んだ。
アリス様の体が吹き飛び、建物の壁を貫通していく。
「逃がさない」
シャルロッテは吹き飛ばされたアリス様へと追い付き、追撃を欠けた。アリス様は強烈な一撃を受けて地面に叩き付けられる。
「がっ……!?」
「こんな程度じゃあなたは死なない、もっと徹底的にやる」
シャルロッテは攻撃の手を緩めない。アリス様へと次々に攻撃を叩き込んでいきダメージを与えていく。
「……舐めるな!!」
アリス様も反撃に出る。無数の棘を生み出して周囲を巻き込むようにして攻撃を繰り出した。
「このくらい平気」
シャルロッテは剣を振るう。アリス様の生み出した血の棘が彼女に当たることなく破壊されていく。
「まだまだ!」
アリス様は赤黒い渦をシャルロッテの足下に生み出す。
「串刺しになれ!」
シャルロッテ目がけて死の棘が迫る。しかし彼女は動じない、彼女が神剣を地面に刺すと虹色の光がそこから広がり迫ってくる棘を吹き飛ばした。
「ちっ……!」
アリス様が舌打ちをする。棘を破壊したシャルロッテはそのままアリス様へと近づき剣を振り下ろした。アリス様はその攻撃をかわし、炎を放つ。二人の戦いのせいで周囲の建物がどんどん倒壊していく。
「……本当に鬱陶しい……!」
アリス様の手に血で出来た剣が握られる。彼女はそれを振るい、シャルロッテに襲いかかる。迎え撃つシャルロッテ、一進一退の攻防がその場で繰り広げられていた。
「いい加減死んでくれないかしら」
「死ぬのはあなた。私は使命を果たす」
忌々しげに吐き捨てられたアリス様の言葉にもシャルロッテは動じない。血の剣と神剣が凄まじい速度で振るわれる。
「えいっ」
シャルロッテが神剣を横薙ぎに振るうとそれを受け止めた血の剣が崩壊した。
「あーあ、やっぱりこれじゃ駄目か」
アリス様は砕けた血の剣に動じず後退する。
「あなたが制限解除をしたなら私も少し本気を出しましょう」
その言葉とともに紫炎が彼女を覆っていった。