向かい風
風が頬を掠めた
髪が乱れ、思わず手で抑える
それでも風は吹き続けた
揺れる洗濯物
騒がしい木々
舞のような草花
波打つ電線
このまま
私の中にある靄も吹き飛ばしてくれればいいのに
強めの風が吹いても
砂が飛び散っても
風車が激しく回転しても
吹き飛ぶことはなくて
前に進むのが大変でも
私は一歩ずつ足を動かす
建物の隙間で唸る風
姿の見えない大きな怪物のようで
きっとそれは立ち向かわねばならぬもので
私は足を動かす
晴れることのない靄を抱えて
踏み出す
この靄が
いつか風になって
新しい気持ちを吹き込んでくれると信じて
向かい風に
今日も立ち向かう
風が強い日々ですね