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REGULATION(レギュレーション)  作者: 凸凹天神
25/30

【REGULATION】《25話》「尾行」

「嘘…だろ…」

「あり得なねぇ…なんで!?なんで親父がエクリプスの連中と一緒にいんだよっ!!」

「あれは御上君のお父さんなの?」

「あぁ、間違いねぇ…あれは御上の親父、御上会長だ」

「……」

ルティナは黙って、黒いフードと御上会長を目で追っていた。

「くそぉ…なんでだよ!」

「御上…」

御上はひどく動揺していた。

「どうするの?私は追うわよ」

「俺達は…」

俺は御上の顔色を伺った。

「──俺も行く…行かせて下さい!親父がどうしてエクリプスの連中と一緒に居るのか分からない…分からないか真実を知りたいんです!」

「そ…。分かったわ。それじゃ急いで」

俺達は二人の後を追った。


「こっから見る限り、親しい関係って訳でもなさそうだけど、連行されてるって訳でもなさそうだな」

俺達は大通りを渡り、二人を後ろから尾行していた。

「そうね。共に目的地に向かっている…って感じかしら」

「待てよ…。この方向ってもしかして…」

エクリプスの一人と御上会長は、ある建物の中に入った。

「やっぱり…。凡河内ホテルだ…」

俺は後を追おうと、駆け足になる。

「待って…」

突然、ルティナに呼び止められた。

「──どうした?」

「多分、私達もつけられている…」

「俺達も!?どこだよ」

俺はキョロキョロと辺りを見渡す。

「思った通りこの一件…一筋縄ではいかないかも知れない…」

「──?」

「貴方達を巻き込んでしまった事は、本当に申し訳ないと思ってる…」

ルティナは目線を落とした。

「なんだよ急に…。今更引き返せねぇだろ」

「そう。それもわかってる…だから、何があっても良いように、気を引き締めて行きましょう」

「おう…」

俺達は会長とエクリプスの後を追ってホテルへと入った。

「いらっしゃいませ…って、え?きょんさんじゃないですか!」

エントランスに立っていた、ベルマンが声を掛けてきた。

「お疲れ、ごめん急いでるんだ。さっき会長が来なかったか?」

「そうなんですよ!今日そんな予定無かった筈なのに…おかげでみんな大慌てですよ!…ん?でも、何できょんさんが知ってるんですか?」

「あ、いやー…そう!歩いてるの偶々見かけてさ!」

俺は舌を転がした。

「なるほどですねー。あ、会長なら空いてるレストランを探されてて、とりあえず中華が空いてたから、そっちに行きましたよ」

「そっか!了解。ありがとな!」

首を傾げるベルマンを置いて、俺達は中華のレストランへと急いだ。

「──あれ?」

中華のレストランへ到着したが、入り口には誰も居なかった。

と言うのも、普段なら必ず一人は、お客様をアテンドする為に立って居る。

しばらくすると、店内から小走りで走ってくる足音が聞こえた。

「お待たせ致しました!いらっしゃいま…って!きょーすけ!?」

走ってきたのは俺の同僚、眞武幸助マタケコウスケだった。

「忙しそうな所わりぃんだけど、3人空いてる?」

「マジかよ!何で今日は珍客ばっか来るんだ…よぉ…」

幸助は動きを止め、俺の後ろに目線を向け、口を開けていた。

「──おん?どした?」

「ぬぉぉぉぉお!!!ちょっと待て!!」

幸助は荒々しく俺の肩を組み、小声で喋り出した。

「おい!ふざけんなぁ!!誰だよ、あのサンタのコスプレした超絶美少女はぁ!!聞いてないぞ!彼女か!?彼女なのかぁ!?」

「あ、いや、ちげぇって。あいつらは…ただの親戚だ。ほら、んな事いいから早く入れてくれよ」

「親戚…?んー、それならいいだろう。ま、とりあえず今は絶対やめといた方がいいぜぇ?何たって、あの会長が来てんだよ!しかも予約無しで!見ろよ、そのせいでもうみんなバタバタだぜぇ…」

「そりゃ大変だな。会長は個室かどっかに入ったのか?」

「それが予約もらってないから、個室は埋まっててさぁ…普通にホールにいんだよぉ。最悪だろぉ?」

──しまった。個室とばかり思ってたけど、まさかのホールかよ…。会長は一社員の俺の顔なんかは知らないだろうけど、御上はそうはいかない。バレバレだ。

俺は少し離れた後方に居る、ルティナ達の方へと振り返った。

「──は?」

ルティナは俺に向かって、何やら両手で空中に円を描いている。

──アイツは何をして居るんだ?

ルティナは俺の反応を見て、ムッとした表情を見せながらも、再度空中に円を描き、その中に入る様な動きをした。

一生懸命何かをしている彼女には悪いが、その姿はあまりに滑稽だった。

「──何やってんだ、お前?」

「もー!!ステルス使うから大丈夫!」

ルティナは声を張った。

─あ、なるほど。そのジェスチャーだったのね。

「すてるす?」

「…あー気にするな。アイツはいつもあーなんだ。ほら、中に入れてくれ。出来るだけ会長から離れた席で頼むわ」

「私達、お手洗いに行ってくるわ」

「あ?あーはいはい…」

ルティナと御上は一旦離れた。恐らくトークンのステルス機能で、御上を隠して戻って来るのだろう。俺は幸助のアテンドで店内へと入った。

──会長達はと…あ、居た。

中華レストランの店内は、縦長い構造になっている。会長らはホールの一番奥の席に座っていた。

俺はその正反対に位置する、ホールの入り口付近へと案内される。

「何食べる?」

メニューを手渡された。

「サンキュ。アイツらが帰ってきたらにするわ」

「承知しました。また呼んでくれ」

──さて。どうする…。

尾行して来たは良いものの、ここからじゃ会話すら聞こえない。一体会長達は、何を話しているんだ?

考えろ…。

これまで出てきたパーツを思い出せ…。

御上会長、エクリプス、Wグループ、そしてルティナ…。いや待てよ。そもそも何でルティナの居場所がバレた?アイツはそもそも〝Wグループ〟の連中を追っていた。だから奴らの船に乗り込み、この星までやって来た。つまりその段階では、少なくとも誰にもバレていなかった筈だ。

「はっ…」

──ネットカフェ…。そうだ。あのネットカフェは、御上会長の事業の一つだ。もしもあの時、ルティナがネットカフェに来たことを知り、御上会長が何らかの方法で、エクリプスに伝えたとすれば…。会長とエクリプスが繋がっているのなら、可能性は十分にある。いや、むしろそうだとすれば、全て筋が通る…。

「さてと…」

ルティナが前の席に座った。

「…おう、御上は?」

ルティナが隣に目線を移した。

「本当に何も見えねぇんだな。ところで、ここで良かったか?」

「えぇ、十分だわ。」

ルティナはポケットから、小さくなったトークンを取り出した。

「探索用トークンで盗聴する。これならバレる事はないわ。普通ならね…」

ルティナは意味ありげに俺を睨む。

「…悪かったって」


「京祐さんの親戚?めっちゃくちゃ可愛くないですか?」

少し離れた場所で、幸助とスタッフが会話していた。

「あれはきょーすけの親戚じゃないよ」

「え?」

「アイツ嘘つく時は、必ず口の中でベロを転がすんだ…」

幸助は眉を顰めた。

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