表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
REGULATION(レギュレーション)  作者: 凸凹天神
10/30

【REGULATION】《10話》「クソガキ」

──この少年は何を言っているんだろう?

「み、見えてるって…どう言う意味だよ…」

「いや、だからさぁー言葉の通りだよ。おっちゃんは俺の事が見えてんだなって思っただけ」

おっちゃんは俺が見えてる?

何だよその、まるで見えている方が不思議だと言わんばかりの口振りは…。

勘弁してくれ。

もしかして、こいつもまた宇宙人とか何とかの類か?

それとも宇宙人の次は、幽霊とかそこら辺のやつなのか?

「──ちょっと待ってくれ」

少年は真面目な顔でこっちを見ている。

俺は視線を下に逸らし、少し考えた。

確かに〝怪奇現象は信じない!〟なんて事はもう言えなくなった。

何故なら俺は昨夜、この目でしっかりと未確認生命体を見てしまったのだから。

つまりこの少年が、仮に宇宙人であれ、幽霊であれ、俺は信じるほか選択肢は無い。

いや、でも待てよ…。

確かこの少年は店員とも話してたよな?

って事は店員もそっち系の何かなのか?

考えれば考える程、訳が分からない。

その時一人の中年男性が、ドリンクバーの飲み物片手に通りかかった。

「あ、あの!すいません!」

「はい?」

「いや、そのー。何と言うか…。つかぬ事をお伺いしますが、そこに立っている少年の事って…。見えてますか?」

中年男性は俺の指差す方向を見た。

「…。ん?」

見えていない!?

「だから!!そこに立っている男の子の事見えていないんですか!?」

「っっっくっくくくっ…」

「──!?」

俺が中年男性に必死に問いかける中、突然少年が笑いを堪えるような仕草を見せた。

「何だよ。何がおかしいだ?」

「あのー。貴方の言う少年ってシン君の事ですよね?見えてますよ。勿論」

中年男性は、俺に苦笑いながら告げ、そのまま去っていった。

「ギャハハハハハハッ!!」

少年は涙を浮かべ、大声で笑い始めた。

──やられた。

この少年は俺をからかっていた事に気がついた。

このクソガキ…。

「お前は何がしたいんだ?」

「やっと気が付いたのかよ!?いやー最高だったぜ?おっちゃんの最初の顔!!」

──落ち着け。京祐…。

相手は子供だ。ムキになるな。

「宇宙人とか信じるやつだったら、こう言うのも信じるかなって思ったらドンピシャだったな」

「あのな。大人相手にこう言う事はするもんじゃねぇぞ?親御さんが悲しむぞ。あと、俺はおっちゃんじゃない。二十五歳のお兄さんだ」

「まぁまぁ、そう怒んなって」

少年は突然、ポケットに手を入れ一枚の紙切れを取り出し、俺に渡してきた。

「ほら。面白かったからこれやるよ」

「──!?」

少年がチラつかせているそれは、紛れもなく俺の知っている一万円札だった。

「お前…。大人をからかうのもいい加減にしろよ?」

「え、何?欲しくないの?」

「いらねぇよ」

──クソ欲しい…。

「またまたー。これ欲しくない奴なんてこの世にいんの?」

「いらねぇって」

──まじで欲しい…。

「ふーん。なーんだ、いらないんだ。まぁいいや。何かおっちゃん思ったよりつまんなそうだし。じゃ、頑張って生きろよっ」

少年は、憎たらしい言葉だけを置いて去って行った。

──何だったんだ?あのクソガキは…。

妙にかんに触るやつだった。

そして何をしに来たんだ?

俺をからかいに来たのか、それとも万札を見せびらかしたかったのか…。

「ふんっ」

辞めだやめだ。俺にはやる事があるんだ。

俺は少年について考える事を辞め、気を取り直し宇宙人について調べ始めた。


──一時間後。

「なるほどな…。宇宙人の歴史は思ったより古いんだな」

余程集中していたのだろうか。

体が強張っている。

「ぅう…」

俺はリクライニングチェアを目一杯使い、背伸びをした。

「──ん?」

天井がボヤけて見える。店内が薄暗いせいか…。

いや、違う。単に画面の見過ぎだろう。

──少し休憩しよう。

俺はドリンクバーを取りに行く為、席を立った。

「確かドリンクバーはこっちだったよな」

入り口とは反対側にあるドリンクバー。

ネットカフェにはあまり来慣れて無いが故、ここのドリンクバーが珍しいのか、普通なのかよく分からないが、どうやら自販機型をしている。

好きなドリンクのボタンを押せば、お金を入れずとも下から出てくるシステムらしい。

俺はホットコーヒーのボタンを押し、ドリンクが出来上がるまでの数秒を待っていた。

さっきまでは気づかなかったが、静かな店内には僅かにBGMが聞こえる。

鳥の囀りと水の音、マッサージ店なんかで良く流れていそうな癒し系BGMだ。

俺はそんな僅かに聞こえるBGMに耳を傾け、癒されていた。

「──ギャハハハハハハ!!」

静かな店内に響き渡る、不相応な甲高い笑い声。

ドリンクバーの裏側には、ガラス張りのビリヤード場がある。

──声はあそこからか。

どうやら数人集まって、何かをしている様だった。

「お前面白かったから合格。はい、一万円!」

「ありがとうございます!!」

この癇に障る、聞き覚えのある声。

俺は自販機型ドリンクバーの後ろを覗いて見た。

──やっぱり。

そう。声の主は先程俺に絡んできた、白髪の少年だった。

少年の周りには三十代〜五十代くらいだろうか。

五、六人おじさん達が集まっている。

──たく。アイツ…。俺にだけじゃ無くてみんなにあんな事やってんだな。金をチラつかせて…。きっと陸でも無い大人になるぞ。

『ピー、ピー』

出来上がったコーヒーを取り出し、俺は自分の個室へと戻った。

「あー言う奴には付ける薬はねぇ…。さて。第ニ回戦と行きますか」

『ガラッ』

「──!?」

『ガラッ』

俺は、一度扉を閉めた。

半個室の部屋番号を確認する。

──合ってるよな…。

俺はもう一度扉を開けた。

『ガラッ』

俺の個室。しかし何故かそこには人の姿があった。

「やーやー」

そこに居たのは、噂の宇宙人ルティナ・サンタ・ビトニュクスだった。

「またお前!てか、え?は?何でここにいんだよ!!」

彼女はリクライニングチェアに深く座り、足を組んでいる。

おまけに肘掛けに頬杖をつき、何やらニヤついている様子だ。

「──ヒクッ」

ん?よく見ると顔も赤らめている。

「お前まさか…。酔っ払ってんのか!?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ