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竜星の流れ人  作者: null
三部 一章 衝突

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衝突

毎回、主人公とヒロインを喧嘩させてしまう芸の無さには、

我ながら辟易としてしまいますが…、どうか大目に見て下さい。

 燐子は、未だに不服そうにしているミルフィのほうを首だけ動かして確認すると、誰にも気取られないよう肩を竦めた。


 ああなる気はしていた。ミルフィを相手にあんな発言を繰り返せば、手痛いしっぺ返しが来るに決まっている。


 ミルフィのことを知らずに手を出してしまった王子にかすかな憐憫を覚えつつも、彼の言葉を思い出し、その太腿をまたチラリと盗み見た。


(確かに、柔らかそうではあるな…)


 今はもうマントコートを羽織り直していたため、その健康的な太腿が野晒しである。

 自分のそれと何が違うだろう、と考えたところ、やはり肉付きかという結論に至った。


 そうして燐子が記憶の蓋を開けつつも、目の前にある柔らかそうな太腿について考察していると、セレーネ王女がわざとらしく咳払いをして注意を引いて見せた。


 向き直った彼女の瞳は、明らかにこちらを非難するような色をしており、見られていたのかと恥ずかしくなる。


 幸い、ミルフィは紅茶の水面を揺らすことに夢中で、燐子の視線には気が付いていなかった。


 未だに向けられている呆れと誹りの眼差しから逃れるように、燐子もカップを手に取った。何の花かも分からない模様が刻まれた器だったが、綺麗だとは思う。


「それで、竜王祭まで後二か月半あるわけだけど、それまでどうするの?」


 段々と落ち着きを取り戻してきたらしいミルフィが、ふと思い出したように王女たちへと尋ねた。


 最初の説明では、竜王祭が始まるまでは親衛隊の仕事を普通にしてもらうとのことだったが、そもそもその普通の仕事が想像できない。


 王女に紅茶のおかわりを確認している先輩親衛隊員を脇目に、まさかこれが普通の仕事ではないだろうなと不安になる。


 とてもではないが自分にできそうにはない。どちらかというと自分は、生活面に関しては従者に世話をされ続けてきた人間なのだから。


 王女はミルフィへ穏やかに微笑むと、「以前説明したように、親衛隊としての仕事をしてもらおうかと思っております」と告げた。


 自分と同じ危惧を抱いたのか、嫌気を隠すことなく表情に出した彼女は、両肘を抱くようにして背もたれにもたれかかった。


「ねぇ、もしかしてですけど、ローザみたいにお姫様に尽くせって言うんじゃないですよね」

「何だ、ミルフィ。不服なのか?」心の底から驚いたような声でローザが言う。「不服というか、普通に嫌よ」


 この半月の間に、彼女らの距離は思いのほか縮まっていたように見える。


 自然と名前で呼び合うようになっていた彼女たちは、自分抜きで紅茶を飲んでいることがあったり、料理を作っていたりすることがあった。


 別に、そこに交じりたいわけではないが…何だか面白くない。


 用事があって探しているときに限って、そうして姿を消していることが多かったので、こちらが不服に思っても仕方がないだろうと自分では思っている。


 真面目で礼儀にうるさいローザと、真面目だが無礼なミルフィは水と油かと思っていたが、案外、根の部分が似通っているためか馬が合うらしかった。


 それにしても、自分も真面目な人種だと思うのだが、何故にこうも人が寄りつかないのだろうか。


 ミルフィは王宮の使用人から普通に話しかけられたりしているのに、自分はまだ王女とその従者以外、まともに会話できていない。


 もしや、見た目の問題か?

 とっつきにくい自覚はあるが、自分で思っている以上に、人から怖がられる何かがあるのかもしれない。


 顔か、目つきか。それとも全部か。


 燐子が腕組みして、一人どうでもいいことに頭を悩ませている間も、三人は話を進めていた。


「ご心配なく、親衛隊の仕事は本来、私の警護とそれに伴う魔物の討伐くらいのものです」

「どう伴ったら、王女と魔物がセットになるんですか」呆れ半分でミルフィが呟く。


 するとセレーネは、さっとテーブルクロスの上を掌でなぞった後、どこか誇らしげな様子で胸を張った。


「私も王族の端くれですから。民が困っているのであれば、親衛隊という私兵を用いて問題の解決に尽力するわけです」


 騎士団に所属している以上、親衛隊は私兵ではない気がしたものの、王女の一存だけで入隊できたことを考えると、あながち間違いではないのかもしれない。


 ミルフィはそれを聞いて、どこかほっとした表情になった。帝国と戦うことになるかもと思っていたのか、あるいは暇になってしまうかもと思っていたのかは定かではない。


「そういう魔物退治なら、私も燐子も喜んでやるわ。特に私は竜王祭には出ないし、こういうところで働かなくちゃね」


 ミルフィは、先程まで不貞腐れていたとは思えないくらい明朗に告げた。


 基本的に人の役に立つことが好きなのだろう。支払われる給料のことを考えると、何もしないでいるのは罪悪感を覚えてしまうのかもしれない。


「ありがとうございます」王女が深く頭を下げる。「ちょっと、やめてくださいよ。私がまたローザに睨まれます」


「本当です。姫様がそう簡単に頭をお下げになられるなんて…」


 王女は小言を口にした従者を見つめると、口元に手を当てながら笑い、それもそうだと目を細めた。


「それでは早速、明日からの予定をお話しますね」


 一見華奢に見えるが、実際はしっかりとした強さとしなやかさを持つ両手を重ねて、王女は話を進めようとした。だが、ミルフィがそれを片手で遮った。


「あ、ちょっと待って下さい」


 一体どうしたのかと首を捻った二人は、ミルフィが眉をひそめて送った視線の先を目で追った。


 腕を組んだまま紅茶の水面を凝視している燐子。波風一つ立てないまま自分の顔を映している薄茶色の液体に何を思うのか。瞬き一つしていない。


「燐子」ミルフィが小さく名前を呼ぶ。「ちゃんと聞いてるの?」


 その声によって、深い水底から帰ってきた燐子は、おもむろに顔を上げると、そのままゆっくり目蓋を開閉した。


 絶対に話を聞いていなかったでしょう、とミルフィが咎めようとした矢先、先の先を取るようにして燐子が声を発した。


「聞きたいことがあるのだが」


 その声が思いのほか真剣な口調だったため、三人は互いに顔を見合わせ、彼女の様子を不審がった。


「何よ」おずおずとミルフィが聞き返す。

「私のこと、どう思う?」


 ぴたりと動きを止めたミルフィは、自分が何を聞かれたのか理解した途端、見るからに挙動不審になって口ごもった。


「ど、どうって?どうって何?」


 紅茶に手を伸ばし、縁に口をつけたかと思えば、液体が入り込んでくる前にそれを離し、カップを置く。

 それからもう一度同じ動作を繰り返して、今度はちゃんと紅茶を喉に通す。だが、慌てていたせいか、品がなく大きな音が鳴ってしまった。


 その動揺を見ていた二人が、明らかに哀れんだ様子でミルフィを見つめていた。


「ああ、聞き方が悪かったな」


 右往左往していたミルフィの目線が、次第に落ち着いたものに戻っていく。


 悪気はない、悪気はない、と呟きながら胸に手を当てていたミルフィだったが、続く燐子の言葉に今度は息が止まってしまった。


「私の顔、どう思う?」


 普段の冷静な顔つきに、わずかばかり困った様子がプラスされている燐子を一点に見つめたまま、硬直するミルフィ。


 数秒してから、大きく息を吸って意識を取り戻したらしいミルフィは、助けを求めるように二人のほうを振り向いた。だが、セレーネはわざとらしく目を瞑り、紅茶を啜るだけだったし、ローザのほうも、どうしてか決然とした顔で深く頷くだけだった。


 そうして半ば見捨てられてしまったミルフィは、きゅっと口をつぐむと、数分前から赤面したままの顔を俯けて、指先を弄り出した。


「ま、まあ、そのぅ、いいんじゃない?多分だけど」


 短いため息を一つ、ローザがこぼす。それを聞いたミルフィは、キッと威圧するような目線でローザを睨みつけたものの、彼女もまた目を瞑っただけで相手にしなかった。

 そのうえ、燐子も少し表情を厳しくして、「慰めはいらん、はっきりと言ってくれ」と頼む始末だった。


 いよいよ追い詰められて目を潤ませたミルフィは、肩を丸めたまま指先を合わせ、忙しなく目線を彷徨わせた。やがて、決死の覚悟を決めた様子で顔を上げる。


 真正面から、燐子の視線と衝突する。一歩も譲らない意思を胸に、大きく息を吸った。


「と、整ってると思う。わた、私は、好みかな、とか…言ってみたり」


 直前の決意も虚しく、最後は尻すぼみになってしまったものの、言いたいことの半分は言えたらしく、微量の達成感をその目元に滲ませていた。


 しかし、当の燐子はそれを聞くと居心地が悪そうに、「そ、そうか」と返したかと思えば、一度咳払いをしてから彼女らしくない愛想笑いを浮かべた。


「その、私が聞いたのはそういう意味ではなく…ほら、私はミルフィと違ってこの城の使用人に声もかけられないだろう?だから、見た目が怖いのか、と思ってな」


 はは、と下手くそに笑う燐子からは、どこかミルフィの機嫌を取ろうという意思を感じられる。というよりも、そうしなければ、自分が危険だということを悟っているからだろう。


 額に手を当てて首を何度も左右に振っているローザを見た燐子は、「どうすればいい?」と小さく尋ねた。

 だが、その問いに彼女が答える前に、我慢しきれなくなったらしいセレーネが吹き出して笑い始めた。


 彼女はひとしきり笑ったかと思うと、深呼吸をして息を整え、途端に真面目腐った表情になって、「申し訳ございません」と告げた。


「姫様、あんまりでございますよ。これではミルフィが…」と言葉を区切って、死んだように口を閉ざしたミルフィの様子を観察した。


 ――確実に殴られる。


 ミルフィの馬鹿力を知っている燐子は、すうっと血の気が引いていくのを感じたが、さすがに今回ばかりは全面的に自分に非があると考え、黙って殴られることに決めた。


 大丈夫、この間、あの骸骨の一撃を受けても死ななかったのだ。死にはしない。とてつもなく痛いだろうが。またあの紋章の力が発動してくれることを願う。


 俯いたままで、静かにミルフィがそばに寄って来る。


 こんな彼女は初めてだ、と恐る恐る見上げたとき、燐子はぎょっとして目を見開いた。


 真珠にも似た涙が、臙脂色の瞳から次々とあふれて来る。


 怒りや悔しさ、羞恥といった複数の感情が撹拌された眼差しで、恨みがましくこちらを睨んでいたミルフィは、小さくしゃくり声を上げたかと思うと、無言のまま王女の私室から飛び出して行った。


「おい!ミルフィ!」


 反射的に立ち上がり、その背中を追おうとした燐子だったが、セレーネに呼び止められてその場に棒立ちになった。


「燐子さん、お待ちになってください」視線をそばの従者へと向ける。「ローザ、お願いできますか?」

「もちろんです、姫様」


 そう応えたローザは、小走りで燐子の隣を通り過ぎる際、一瞬だけ立ち止まり、責めるような、呆れたような目を向けて出て行った。


 一体、何なのだ。こんなもの不可抗力ではないか。


 取り残されるような形になった燐子は、少し不満そうに消えた背中を見送ると、王女に促されて仕方がなく着席した。


「全く、困ったものです」


 もう少し感情を抑えたらどうだと、自分の失態を棚に上げて眉をしかめた燐子に対し、王女は、とても穏やかな顔つきのまま頷いた。


「本当ですね」

「器量も良く、世話好きの良い女人なのですが、ああしたところが時折どうしようもなく…」


 王女はええ、と何度も呟き、頷きながら両手を頬の横に揃えた。


「本当に、どうしようもなくて、困ったお方ですね、燐子さんは」

「は、はい?」


 言い間違えたのかと思ったが、笑顔ながらも目の奥が笑っていない王女の顔を見て、自分が責められていると燐子は理解した。


「セレーネ王女は、ミルフィのほうにつくのですか」


 多少不貞腐れたように燐子が肩を落とす。すると、王女はゆったりとした動きで首を振り、一言一句丁寧なアクセントで告げた。


「いえ、そうではありません。私は私にしかつきませんから」

「左様ですか」


 同年代とは思えないほどに冷淡で、落ち着き払った調子で話すセレーネは、少し前のめりになって上目遣いに燐子を見据える。


「ただ少し、呆れています。もう少し、人の気持ちを考えたほうが宜しいかと」


 ぴくり、とその言葉に燐子の片眉が上がる。


 人の気持ちを考えろ、この世界に来て、何度も何度も言われたことだ。


(しょうがないだろう。今、そのやり方について模索しているところなのだから)


 自分だって、最近ミルフィのことを知ろうと努力している。何もしていないわけではない。

 ただ…、その努力が実らないだけで。


 こちらの努力を全く知らないくせに、批判めいた発言をしてくるセレーネへ苛立ちを募らせた燐子は、それを発散するように吐き捨てた。


「貴方だって、笑っていたではありませんか」

「あれは故意です。ああしたほうが笑い話に変えられるかもと思ったのですが、よっぽど悔しく、恥ずかしかったのでしょうね」


 嘘を吐け、絶対に素で笑っていたくせに。よくもこう平気な顔で戯言を口にできるものだ。


「私には、王女が心の底から笑っていたように見えましたが」

「そう見えたのであれば、私もたいしたものですね」


 ああ言えばこういう、とはまさにこのことだ。


 余程納得いかない顔をしていたのか、王女は沈着な笑みを湛えたままで口を動かした。


「後々国を導こうと思っている王女ですから、清濁併せ持つしたたかさが必要なのです」


 したり顔でそう告げるセレーネに思わず舌打ちしそうになるも、何とか自制して目を瞑るに留めた。


 目蓋の裏に広がる闇が、渦巻く苛立ちを呑み込んでくれる。


 それによってわずかな落ち着きを取り戻した燐子は、短く、「そうですか」と呟くと、本題に戻るように王女を促した。


「あら、燐子さんのせいで本題から逸れたのですよ」


 大人しく矛を収めたというのに、どこまでも嫌味がましく続ける彼女に、辟易する。


 今日のセレーネはどこか執拗だ。普段はミルフィが無礼な発言をしようが、ローザと言い争いをしようが、にこにこ笑って放っておくくせに、一体何なのだろう。


 自分が悪かったと分かっているのに、それについてずっと正論で突きまわされると、どうしても子どもじみた苛立ちが込み上げてきてしまう。そして、今度はそれを抑えきれずに態度に出てしまった。


 ちっ、と一つ舌打ちが鳴る。


 不味いとは思ったものの、ミルフィの日頃からの態度から鑑みるに、この程度は許容範囲だろう。


 しかし、燐子の予想は外れる。


「無礼ですよ、燐子」


 王女が突然、人格でも変わったかのように冷徹な口調になった。


 そのまま背筋をぴんと普段以上に伸ばした彼女は、空になったカップを置いて立ち上がり、窓のそばまで近寄った。


 降り注ぐ柔らかな西日を受けて、その金糸がより鮮やかな色彩を放っているが、くるりと振り返った瞳は色を失ったかのような灰色をしている。


 自分とミルフィとでは、まるで扱いが違う。


 納得のいかない扱いの差に目くじらを立てた燐子が、この際どうにでもなれと、思った通りに尋ねた。


「私とミルフィとで、少し扱いが違いすぎはしませんか」

「口ごたえするのですか」


 その傲慢とも言える発言に、いよいよ衝動的な感情が抑えきれなくなる。


「私は貴方の頼みで親衛隊に入っているのであって、貴方を慕っているわけではないのです。ましてや、私を自分の兵隊扱いするのであれば、尚更です」

「経緯はどうあれ、今は私の私兵です。本心からでなくとも、立場を自覚した行動をなさい」


 その命令口調に、奥歯をぎりりと噛み締め相手の顔を見返す。


「私はもう二度と主君を持たないと…、あの戦いの後、伝えたはずですが」

「私の親衛隊に入ったのは、貴方が選んだ選択でしょう。やろうと思えば、申し出を断り、私やローザを斬り捨てることだってできたはずです。選択の責任は自分で果たしなさい」


 普段の穏やかさが嘘のように感じられる冷ややかな眼差しが、一層燐子の癪に障る。


 こんなもの暴論ではないか。そもそも、力を貸してほしいのであれば、何故素直にお願いしますと言えないのか。


 いい加減阿保らしくなってきて、最低限の礼儀だと思っていた言葉遣いも気にせずに罵ってやろうかと思い、口を開きかける。だが、それを遮るように王女が言葉を紡いだ。


「先ほどの質問ですが」


 赤い絨毯の上をゆったりとした歩調で滑る彼女は、燐子の隣、ミルフィが座っていた場所に着席した。それからテンポ良く言葉を続ける。


「ミルフィさんは、ああいう態度をしたくてしているわけではありません。あの方は、感情の昂りを抑えるのが苦手で、平民の生まれなのだからああなるのです。燐子は違うでしょう」


 その諭すような言い方に、思わず燐子は息を飲んだ。


 私の出自に関しては、何も話していないはずだ。傭兵だということぐらいは口にしたかもしれないが、少なくとも、一国の姫だったことは話していない。


(あまり突き回されると、ボロが出るかもしれぬな…)


 そう判断した燐子は、黙って相手の言葉を聞いていた。その態度をどう受け取ったのか、セレーネがやや厳しめの口調で続けた。


「燐子が一番良く分かっていることのはずでしょう?しっかりしなさい」


 そんなこと、言われずとも分かっている。

 自分のほうが長くミルフィと共に過ごしてきたのだ。

 ドリトンやエミリオには負けるかもしれないが、自分だって彼女のことを…。


 そこまで考えて、燐子は暗い気持ちになってしまった。


 しかし、分かっていないから、こういうことになっているのか。


(私は、もう一か月以上、ミルフィの一番近くにいるのに…)


 やはり、私には人の気持ちを汲むという才能が欠落しているのだろうか。


 自分を追い詰めるように考え込んだ燐子を見て、王女がやっとのことで穏やかさを取り戻した。


「まあ、話が脱線してしまいましたが、彼女のことをもう少し真剣に見つめてあげてくださいね」


 それからセレーネは片目を閉じて、「ちなみに不敬を咎めたのは、腹が立ったからです」と明け透けに語った。


 …何でも素直に言えば良いというものではない気がする。


「不快な思いをさせたでしょうが、私は、燐子さんとミルフィさんには仲良くして頂きたいのですよ」


 王女が話し終わったのを確認した燐子は、ずっと疑問に思っていたことを口にした。


「…どうして王女は、そんなにもミルフィを気にかけるのです」


 その問いかけに、王女は少し呆れたような、だが、どこかほっとしたようなため息を漏らして答えた。


「そうですね…ミルフィさん、というか、貴方たち二人は…そう、ええ、見ていてとっても苛々するのです」


 ローザがいたら、間違いなく諫めるだろうなと、その言葉遣いを聞いて思った。

 


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