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竜星の流れ人  作者: null
終部 一章 連合軍、結成
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連合軍、結成

本日の更新分です。


目を通して頂いている方々、本当にありがとうございます!

 自分に注がれる様々な視線にも、燐子はまるで心を乱されることはなかった。彼女にとって、それが慣れたシチュエーションだったためかもしれない。


 父が本陣で総指揮を執っているときは、常に、燐子は最前線で指揮を執っていた。


 所詮、自分は一人の剣士に過ぎない。他人を、ましてや集団を率いて軍略を巡らせることは自分は苦手だった。だから、最前線で指揮を執るときも、基本的に父の指示を通すこと多かった。


 今思えば、あれはあれで未熟な振る舞いだった。軍略も学んだほうが良かったのかもしれない。…だが、今その機会が再びやってきたとしても、自分はそれを選ばないという確信もあった。


(結局、私にはコレしかない)


 カチャリ、と燐子は太刀を鳴らした。そうしてから、さっきまで自分が、技術だけに頼った戦い方に限界を感じていたのを思い出し、ほぞを噛んだ。


 すっと息を吸い、目の前のことに集中する。


(今は、解決の見込みのないことで迷っている場合ではない)


 燐子は、少しだけ高くなった場所から一同を見渡した。高いと言っても、畳二枚分ほどしか違いはない。


 ただ、鏡右衛門が同じようにここに立ち、部下に指示を出していたことを想像すると、奇妙な高揚感には駆られた。


「鏡右衛門殿は――いや、鏡右衛門は、ここにいる全ての人間を裏切った」


 それを聞いて、一同は荒々しく満ちる海の潮騒の如き狂騒に包まれた。特に一兵卒は予期せぬ言葉だったようで、その興奮が静まるのを待つのにかなりの時間を要してしまった。


「…やはり、信じられません。燐子さん、鏡右衛門様がそんなこと…、本当なのですか?」


 言葉を発したのは桜狼だった。彼には事前に少しだけ事情を話していたのだが、やはり、それだけでは収まりがつかないようだった。


「信じられるかどうかは問題ではない。ただ、それが事実なのだ。私自身、こうして鏡右衛門に斬りつけられている。その証言は彼の家の召使いがしてくれるだろう」


 すっかり着慣れたシャツのボタンをいくつか外し、燐子が包帯を見せつけるように言うと、それを支持するようにジルバーが胡座をかいたまま続けた。


「兵士諸君、それに関しては残念ながら事実だ」彼にしては珍しく、低い、無感情な声音だった。「僕がこの目と耳で確認してきた。大将は、紫陽花に命じて市民を虐殺した挙げ句、自分の妻であるエレノアさんを自ら殺め、消えた」


 ざわめきがいっそう強くなる。そんな中、青ざめた表情で深く俯いたミルフィに視線を吸い寄せられる。今直ぐにでもそばに駆けつけ、抱きしめたい衝動に襲われるもなんとか堪える。


 ――こんな群衆の中で声をかけても、強がるに決まっている。後で、二人きりになったときにきちんと聞こう。


「おい、燐子。あいつの目的はなんだ」


 立ったまま壁に背を預けているアストレアが、そう問いかける。すぐにでもセレーネの元へ駆けつけられる位置に立っているのは、さすがと言えよう。


「…なぜ、それを私に聞く?」

「お前が鏡右衛門さ…、あいつと同郷だからだ」

「…ふん」


 一見理に適っているが、おそらく、それだけではあるまい。おおかた、彼と自分が似ていると思っているに違いない。それこそ、紫陽花と同じように。


 どうなんだ、とジルバーや桜狼が問いかけてくる。よく見てみると、ガラムがこの場に揃っていなかった。

 怪我をしているシルヴィアや朱夏はまだ分かるが、彼はどうしたことだろう。スラム街の様子見が長引いているのかもしれない。


 さて、どうしたものかと燐子は頭を悩ませた。鏡右衛門が口にしていた目的をそのまま説明しても、理解は得られにくいと考えたからだ。


 しかしながら、結局はありのままを伝えることに決めた。どうせ、自分の弁舌の鈍さでは上手に伝えることなど不可能に思えたのだ。


「鏡右衛門は、かつて自分がいた世界で成せなかったことを成そうとしている」

「どういうことだ?」とジルバーが問う。


 ややあって、燐子が答える。


「――天下統一」


 その一言に、周囲は唖然となった。


 異世界でも、天下統一という言葉が通じることに、燐子は不思議と感銘を受けていた。どこの世界にだって、似たような戦いがある証だ。


 しかし、その喜びもすぐに霧散する。そうした戦いの犠牲になった者たちの顔が、燐子の脳裏にありありと浮かんだからだ。


 夜の波打ち際に輝く夜光虫のような、幽玄な影。それらが矢や刀によって打ち崩されたとき、畳み掛けるようにしてジルバーが問いを重ねた。


「それじゃあ、辻褄が合わなくないか?国家を支配して統一を試みるならば、帝国にいたままやったほうが、よっぽど楽だろ。仮に国のトップになりたかったんだとしても、統一後に中からのし上がったほうがいい」


 さすがはジルバー。飄々としていても、頭が十分にキレるところを見せてくれる。


「もっと他に、理由があるんじゃないのか?」

「…ああ、そうだ。ジルバー、お前の言う通り別の理由もある」


 やっぱりな、と彼が呟くと同時に、再び周囲がざわめきに満ちる。

 各々が好き勝手に喋っているため、どのタイミングで話を続けたらいいか迷っていた燐子だったが、険しい表情をした桜狼がすっと片手を挙げて発言したおかげで、また静かになった。


「なんですか、その別の理由とは」

「それは――…」


 燐子は口を開きかけて、やめた。入り口のほうに、ぺこりと頭を下げながら中へと上がってくるシルヴィアの姿が見えたからだ。


 彼女は誰よりも遠い場所で自分を見ていた。それに対して、無言で見つめ返していると、視線の先を追ったジルバーが大きな声を上げた。


「おお、シルヴィア。朱夏の容態はどうだ?」

「幸い、意識は取り戻しました。傷のほうも、絹代さんが医療に精通していたおかげで、快方に向かっています」

「そうか、そいつは朗報だなぁ」

「…ただ」

「ただ?」


 気づけば、全員が二人のやり取りを眺めていた。シルヴィアはそれも目に入らないようで、苦しそうに顔を歪めると、「体は良くても、心のほうは…」と言葉の途中で俯いた。


 それを聞くと、多くの者がやるせなさそうに下を向いた。


 朱夏が目を覚ましたということは、父親が自分たちを裏切った挙げ句、母親を斬り捨てた事実を知ったということになる。


 なにかと紫陽花に対抗意識を燃やしていた朱夏が、その相手に負けた上に、残酷な現実の暴風にさらされたのだ。深く気落ちしたとしても、なにもおかしくはない。


「どれだけ話しかけても、まともな反応がありません。全く虚ろなままで…。まるで、抜け殻になったみたいかと思えば、急に怒り出したりして…」


 今にも泣き出しそうなシルヴィアの話を聞いて、ジルバーは彼女を慰めるように近くへと呼んだ。それを気丈に断る彼女の声を聞きながら、無理もない、と燐子は目を閉じる。


(…もしかすると、もう、朱夏は戻れんかもな)


 戦場では、よくある話だった。


 親しい友人、あるいは家族が殺されたり、あまりに酷い目に遭ったりした兵士の中には、今の朱夏のような状態に陥る者が度々現れる。


 一時的に錯乱するぐらいなら、まだいい。平穏無事な生活を続けさせれば、やがて常人に戻ることができるからだ。問題は、魂を闇の底に引きずりこまれたような者たちのことである。


 ただただ、無気力になってしまい、刺激にも何の反応も示さなくなる。


 生きているのか、死んでいるのか、それすら分からない存在と成り果てる。

 もしも、自らの中に何の感情の炎も持たない者を死んでいるというのなら…、おそらくは後者となり得るのだろう。


 シルヴィアの登場で思いがけず話が中断されてしまった燐子は、ここで話を終えるわけにもいかないが、さりとて、冷血に話を戻すことも難しそうだと困っていた。


 朱夏の母親は相棒であるミルフィの母親、ということらしい。だとすれば、これは自分の問題でもある。


 雨脚は強まる一方で、外からは雨の匂いと水のざわめきが感じられた。陰鬱で、嫌な感じだ。


 燐子は、現実から意識を逸らすように、路道に放り出したままになっている遺体たちが、水を吸って運びにくくなるだろうと考えていた。


 そのとき、一同とは少し離れた場所に座っていたミルフィが音もなく立ち上がった。

 彼女は静かに燐子、セレーネ、アストレア、と順番に視線を送ると、最後にシルヴィアのほうを見て口を開いた。


「私、様子を見てくるわ」

「ど、どうして貴方が――あ…」


 驚いた様子で声を発したシルヴィアは、すぐに何かに気づいたふうに目を丸くすると、悲嘆に暮れた顔つきに戻り、ぺこりと頭を下げ、「朱夏をお願いします」と告げた。


「ええ、任せて」彼女は強く頷いた。


 先程までのミルフィよりも、いくぶんか目に輝きが戻ったようだ。その理由が分かっていた燐子は、不安げにミルフィの横顔を見つめていた。

 彼女の家族に対する想いの強さが、いつか彼女自身を壊してしまわないかと思ったのだ。


 やがて、ミルフィはゆっくりとこちら向いた。そして、そのまま燐子の言葉を待つように無言のまま佇み続けた。


 無理をするな、という言葉が喉まで出かかった。しかし、それをゆっくりと時間をかけて飲み込むと、なるべく感情を表に出さないようにして応じる。


「分かった。ミルフィ、お前のやりたいようにしろ」


 本当を言うと、今はミルフィには安静にしておいてほしかった。だが、燐子自身、相棒が望まないお節介はしたくなかった。それが、ミルフィを信じるということのような気がしていた。


「ありがとう」と短く答えたミルフィは、くるりと背中を向けて人の間を縫って外に出ようとしていたが、後一歩で広間の外に出ようというときに、一度だけこちらを首だけで振り向き、名を呼んだ。


「燐子」

「なんだ?」

「燐子も、そっちのやりたいようにやって。ついて行くから」

「…承知した」


 出ていくミルフィの背中を見つめながら、燐子はミルフィが自分の考えていることを見抜いていたことを悟る。


 きっと、彼女はソレを望まない。


 幼い頃からソレに人生を狂わされた彼女のことだから、当然だ。だというのに、ミルフィはこちらの意思を尊重しようとした。その気概は生半可なものではあるまい。


 一つ鼻から息を吐いて、燐子は一同に向かって話の続きを始めた。


「もう一つの理由…それは、私を通して、過去の自分を打ち倒すことだ」

「過去の自分を…?どういうことですか」桜狼が顔をしかめる。少女然としている顔立ちも、渋面になれば少し男性的だ。


 その場にいた全員が興味深そうに燐子の話の続きを待っていた。期待に応えるように、先を口にする。


「鏡右衛門は、元の世界での敗北、すなわち過去の敗北を払拭するために、過去の自分に似た私を利用しようというのだ」


 それから燐子は、詳細をみんなに伝えた。異世界の死生観は彼らにとってあまりに慣れないものらしく、多くの者が怪訝な表情をしていた。


 義を貫いたが故に、時代に殺された鏡右衛門。そのときの彼は、きっと今の私に近しい思想を持っていた。


 名もなき剣士として時代の墓穴に投げ込まれた彼は、その鬱屈とした陰りを抱いたまま、この世界で生きてきた。誰の理解も得られず、孤独なまま。


 ずっと、考えていたのだろう。自分の選んだ道が正しかったのかどうかを。

 確かめようのない問いを、ずっと。


 やがて、私という存在が――鏡右衛門曰く、侍と呼ぶに足る剣士が現れたことで、問いの答えを確認するための千載一遇の機会が訪れてしまう。


 それが幸か不幸かは分からない。だが、彼は始めてしまった。


 ――そしてもう、間違いなく元には戻れない。


 燐子はある程度の説明を終えると、一同の反応を待った。


 理解が及んでいない者、理解しようともしていない者、言葉の意味は分かっても、その道理を拒んでいる者、様々だった。


 最初に口火を切ったのは、ジルバーだった。彼らしい飄々さの見当たらない、低い、冷淡な声だった。


「それだけかい?」

「…そうだ」


 燐子には、彼の中に燃え盛る青い炎が見て取れて分かった。やがてそれは、言葉として如実に現れる。


「消すことの出来ない過去のために、妻を殺し、娘を裏切り、多くの者を犠牲にした。…それでいいんだね、燐子」


 こくり、と頷いて返す。


 これは最終確認だ。もっと言うと、宣告の類だったかもしれない。


「早々に戦の支度をせねばなるまい」


 燐子の言葉を聞いても、ジルバーは表情を変えないままで、未だ離れたままの娘の顔を見やった。彼と目が合ったシルヴィアは、疲弊したままの顔つきで小首を傾げた。


 それを確認すると、ジルバーはいつものように朗らかな微笑みを浮かべ、ぐっと勢いよく立ち上がった。


「燐子、それから…、王国のお嬢さんたち」ジルバーに呼びかけられて、セレーネも立ち上がる。アストレアはわざとなのか、彼のほうを向かなかった「…はい」


「大将は、いつも分からない人だった。深刻そうな顔を崩さず、笑うこともほとんどない。でも、それを気にしたことはなかった。分からなくても、大将はいつだって弱い者の味方だったからね、大将の背中を追うことにそれ以上の理屈はいらなかったんだ。

 …それに、理解できないのは、僕なんかには到底想像できない修羅場をくぐって来たからだ…ずっとそう思っていたんだ」


 でも、と彼は強く言葉を区切った。そして、座り込む帝国兵たちを見渡した。


「違ったよ、燐子。僕たちは――君たち『侍』のことが一寸足りとも理解ができない。普通、命以上に大事なものなんてないんだ。それが大事な人のものなら尚のこと」


「待ってください、燐子さんは…」とセレーネが口を挟もうとしたが、燐子がすぐにそれを制した。「セレーネ王女、構いません。ジルバー、続けろ」


 セレーネの気遣いは嬉しい。だが、きっとジルバーの言いたいことはこれからだ。そう自分が思ったのは、別に彼の気持ちを想像できたからではない。ひとえに、経験の問題である。


 ふ、と燐子は微笑んだ。普通の人には分からない程度ではあったが、少なくとも、ミルフィがここにいれば分かったであろう。


(…これは檄だ。疲弊し混乱した帝国兵を、いや、それだけではない。王国騎士団すらも巻き込んで、ジルバーは士気を上げようとしているのだ)


 ――そう、来るべき戦いに備えて。


 ジルバーは段々と声を大きくして続けた。


「みんなもそうだろう?大事なもの、まだ残っている奴もいるはずだ。残ってない奴だって、このまま黙って魔物やよそ者に偉そうな顔はさせらんないよな」


 ジルバーの熱を受けて、ざわざわと帝国兵が騒ぎ出す。やがてそれは、王国騎士団にも伝搬し、気づけば、彼らは国を越えて視線を交わし、互いの胸の奥に宿る滾る情動を確かめ合っていた。


 それは人によって違った。ある者は怒り、憎しみ、反骨心、またある者は使命感、正義感…。ただ、その種類のいかんせんは重要ではないのだ。


「僕は娘や家族を守るためなら、誰とだって手を組むぞ!たとえそれが、かつての敵であってもな!」


 ぐるり、とジルバーが周囲を見渡した。視線は最後に、ぴたりと桜狼の元で止まった。ジルバーが彼の言葉を求めるように頷くと、桜狼は立ち上がり言った。


「僕も賛成です。鏡右衛門様や紫陽花の本意を探るため、そして、大事な人が作る国を守るためにも、大勢の戦士の力が必要ですから」

「ふふ、そうか」


 嬉しそうに笑うジルバーのそばに、セレーネが歩み寄る。それに伴い、アストレアも動いた。


「私たちは、元よりそのつもりです。互いに傷付けあった者同士ではありますが、誰かを守りたいという気持ちは等しく、その胸の中に宿っているはずです。そうでしょう?戦士の皆さん」


 ざわめきはクライマックスを迎えつつあった。そして最後に、セレーネが澄んだ声で一声、「王国と帝国、力を合わせて、共にこの災禍に立ち向かいましょう!」と告げたことで、割れんばかりの歓声が上がった。


 まあ確かにこの状況で、彼らの問いかけに拳を突き上げずにいられる者はいまい。


 誰も気づかないうちに縁側のほうへと戻っていた燐子は、彼らの様子を腕組みして眺めていた。


「お前の出番はなかったな」寄ってきたのはアストレアだ。「…そんなもの、ないほうがいい。私は本来この世界の人間ではない。言わば異物なのだからな」


「お前、まだそんなことを言っているのか?」

「なんだと?事実だろう」

「これだけこの世界のことに巻き込まれているんだ。いや、むしろお前を中心に巻き起こっていると言ってもいいかもしれない。どっちにしろ、どう考えたって、お前ももうこの世界の一部だ」


 これには燐子も言葉を失った。


 …この世界の、一部。


 ふん、と燐子は鼻を鳴らした。馬鹿にしたわけではない。自分の中で考えがまとまらなかったのだ。


 すると、それが聞こえていないのか、アストレアが独り言のように言った。


「…連合軍、結成か」

「まあ、そうなるな」

「…僕も、覚悟を決めなければならない」

読みづらかったり、もっとこうしたほうが良い、という意見がありましたら、是非お寄せください!


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