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君が夢に出てきたから ーはつ恋 のお話ですー

作者: 恵美乃海

はつ恋のお話です。

別途投稿済の「紫陽花」に出てくる、小学校五年生のときからずっと好きだった女の子とのお話です。


 小学校五年生の秋

 同じクラスの女の子が夢に出てきた。


 その時点で、私には特に好きだと意識していた女の子はいなかった。


 その女の子のことをあらためて考えてみた。


 可愛い

 優しい

 いつも笑顔でニコニコしている

 活発でボーイッシュなイメージ


 その日から私は、その女の子に恋をした。


 小学校六年は、五年のクラスの持ち上がりだったので、やはり彼女とは同じクラス。


 中学も同じだったが、一年、二年は別のクラス。

 三年で同じクラスになった。

 嬉しかった。


 が、そのクラスで、私は、前の席に座っていた女の子が、振り向いた途端、

「可愛い」

 と思い、その女の子に、一目惚れしてしまった。


 が、そのクラスでは私が小学校五年生の時からずっと好きだった女の子とも同じクラスになっているわけである。


 どうしたらよいのか、と思ったが、

 やっぱりそのずっと好きだった女の子が一番好きという気持ちが変わる事はなかった。 


 だから、二学期になって、その一目惚れした女の子が別の男の子と付き合い始めたときも、

「僕の好きな女の子は別にいるんだから」

 と思って、すごく大きなショックというわけではなかった。 


 その一番好きだった女の子には卒業式のときに気持ちを打明けた。


 彼女は引っ越しにより、市内の別の高校に進学することが決まっていて、卒業式の日、何人かの人に別れの挨拶をしていた。


 私のところにも来てくれた。


「淳ちゃん、ずいぶん、かっこよくなっちゃったね」


 彼女とは、小学校五年、六年と同じクラスだったわけだが、当時の私はぽっちゃり体形で、背もクラスの前から3分の1にははいる程度に低かった。

 中学の三年間で、20cm伸びて、その時点では、クラスの背の高いほう、3分の1くらいにはなっていたと、思う。


学年初めの、クラスの委員を決めるとき、彼女が保健委員になったので、私も立候補して保健委員になった。


身体測定のあと、記録を集計したが、私は身長はクラスの男子の平均以上で、座高は平均以下だった。

このことは、私の人生の中で、最高ランクの自慢話にしている。

体形も細めだった。


ただし、残念ながら、測定したわけではないが、顔は平均より大きかった。だが、当時、詳しくは知らないが、世間的には今ほど小顔がもてはやされるということはなかったのではないかと思うし、私も別に気にしては

いなかった。

むしろ、脳が大きくて頭のサイズが大きいから顔も大きくなるのかな、などと内心誇っていたようにも思う。いい気なものである。


「ずいぶん、かっこよくなっちゃったね」


 彼女にそう言ってもらえたのは凄く嬉しかった。


「僕ね、ずっと好きだったんだよ」


「○○のこと(一目惚れした女の子)?」


「ううん、君のこと。五年生のときからずっと」


「そうだったんだ。ありがとう」


 その日、別の人からだったが、たまたま聞いた話しで、彼女も同じクラスの男の子と付き合っていたということを知った。


 彼女が、進学したのは、近年、「涼宮ハルヒの憂鬱」で舞台のモデルとなり、そのアニメのファンの間では聖地として巡礼の対象になっている高校である。


 なお、私の出身高校は、やはりアニメにもなった

「坂本ですが?」

 の舞台のモデルになっている高校である。


(追記 「紫陽花」に登場する女の子が進学したのは、夏の高校野球の開会式で、出場校のプラカードを持つ女生徒たちが在校している高校である。)


 彼女は、中学時代はソフトボール部だったが、高校では剣道部だったそうだ。


 大学二年になったとき、私が所属していたサークルに入会してきた新入生、M君と話をしていて出身地を尋ねたら、西宮で、出身高校は、彼女が進学した高校だった。

 そして一年浪人しているという。

 であれば、彼女、私と同学年だ。


「○○ ○○さん、知らないかな。あなたと同じ高校で、同学年のはずなんだけど。俺、小学生のときから彼女のこと好きだったんだ」


「知っていますよ。彼女は、うちの高校のマドンナでしたよ」


 ○○さんは、高校生になって、クラスレベルを超えて、学園レベルのアイドルになったようだ。


彼女は、親しみやすさを感じるタイプのルックスだと思う。そして、性格の良さ、明るさが外面に溢れていて、いつもニコニコしているというイメージがある。

私も、それにやられてしまったわけだが、数多の同好の士が存在していた、ということになる。


 そのM君、結局、そのサークルは、後日、退会したのだが、同学年の後輩から、M君も高校時代、彼女のことが好きだったということを教えられた。



 彼女とは、大学時代、ごく短期間文通をしてもらい、二回だけデートしてもらったことがある。

 小学生時代から自分のことが好きだった男の子に対するファンサービスだったと思う。


 文通については、ニ往復半か、三往復半したかと思うが、私が、当時定期購読していた「りぼん」の付録の封筒と便箋で手紙を出したら返信がもらえず、それで終わった。


 文通していたのは、大学三年のときだったと思うが、公衆電話から電話をかけたこともあった。

 聴こえてくる関西弁のイントネーションが、耳に心地よく


「○○さん、関西弁やねえ」


「何言うてんの。当たり前やんか」


 心がほっこりした。


 最初のデートは、大学二年の夏休み。二度目は、大学三年から四年にかけての春休み。どちらも帰省中。

 彼女は地元の女子大に進学していた。


 最初のデートは、宝塚ファミリーランド。


 彼女には高校一年から二年にかけての春休みと、二年の夏休みの初めにミニ同窓会で会った。

 その数日後に電話でデートを申し込み、OKしてもらったことがあった。その時、ファミリーランドに行こう、と考えていた。

 私にとっては、人生初デートになるはずだったのだが、実施前に

 やっぱり行けません。

 との葉書を受け取った、ということがあった。


 従って三年越しに念願がかなったということになる。


 ファミリーランドのあと、どういう話の流れでそうなったのかの記憶がないのだが、私の家の居間でしばらく、ふたりで話した。

 彼女は、小学校中学校時代は、私の近所に住んでいたので、以前、住んでいた家を見に行ったついでだったのかもしれない。


 ○○さんと、ふたりで部屋にいる、

 そのシチュエーションに、感動してしまって、夢見心地だった。心がフワフワしていた。


 しばらくしたらパートに行っていた母親が帰ってきた。

 びっくりしていた。


 夜、父にも母がそのことを報告する。


「可愛い子だったか?」


「うん、可愛い子だったよ」

 と母が答える。


そりゃそうだ。

学園レベルのアイドルなんでっせ。


 父も母も、息子が初めて女の子を家に連れてきたということで、感慨深く思っているのは明白だった。


 でも、彼女が、我が家に来てくれることは、もう二度とない。


残念だったが、

付き合っているわけではない。

ファンサービスで会ってくれていただけ。


 ということを説明しておいた。



 大学四年の春休みのときは、映画を見に行った。

 途中、彼女が、そのとき付き合っていた男の子が、自転車だったか何だったか忘れたが、かなりの長距離を完走したということで、そのことが、今、発売中の雑誌「プレイボーイ」の記事になっている。でもそういう雑誌を買うのは恥ずかしいので、淳ちゃん買って、とのことだった。


 それを俺に買わせるんだ、とは思ったが、彼女の役にたつのならそれも嬉しかったので、別に何も言わず、買いました。



 大学卒業後、彼女とは、2003年に開催された中学の同窓会で一度だけ会った。

 色々なことをお話しできた。


 やっぱり可愛いらしかった。


 彼女は、私を見て


「いい人生を送ってきたのね。いいお顔してるわ」


 と言ってくれた。




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