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89話 迫る魔の手






コンコンッ



「ローナ、アルスだ!入るぞ」


「どうぞ!」





 執務室の扉を開くアルス。

中ではローナが執務机に向き合いその上には多くの書類が積まれていた。




「どうかされましたか?殿下………ん?そちらの方は?」


「あー紹介する。俺の学友のマナリノだ。蒼天志望らしいから中を案内していた」


「まっ………マナリノなのです!」




 アルスの後ろのマナリノを見たローナにそう説明する。

立ち上がったローナはマナリノにお辞儀した。




「初めましてマナリノさん。私はローナ・フリーリアです」


「だ………」


「だ?」


「大ファンです!!」




 割と小声気味のマナリノからかなり大きい声が出たのでアルスも驚いたが、彼女は目をキラキラさせふるふると震えながらローナを見ていた。




「ふぁ、ファン?」


「あー、らしいぞ。ローナの事を尊敬してて蒼天志望になったらしい」


「私の………事を?」


「はい!………噂はいつも聞いています!女性にして皇太子殿下の右腕にまで実力でなった女傑。さらには、戦場でも大活躍する実力者…………あ、会えてとても嬉しいです!!」




 褒めちぎるマナリノに困った顔のローナ。

しかし、その顔はとても恥ずかしそうで、だが嬉しそうだった。

自分を尊敬して同じ道を進もうとする若者の視線はとても熱く感じるのだろう。


 


「マナリノさんは……文官希望?」


「はい!戦闘は学園の中でも平均より少し上です。でも、フリーリア様のお役にたちたくて……学科は上から3番目くらいです!」


「……学園の3番……それは凄い。ありがとう……マナリノさん。嬉しい」




 ローナはそう言ってマナリノの手を取り握手を交わす。

マナリノはその繋がれた手とローナの顔を交互に見て、あわあわしている。




「い………一生手が………洗えない」


「え?」


「………マナリノ。さすがに洗えよ?女の子だろ?」


「………は、はい………」


「おい………でも、洗わないかも?の顔だぞ」


「マナリノさん……いつでも会えるのだから。良かったらまたおいで……次はどういう業務をしているのか見せてあげる」


「い、いいんですか?」


「まぁ殿下の友人なら………特別にね?」




 そう言って微笑んでウインクをするローナにマナリノは嬉しそうに顔を赤らめる。




「ありがとうございます!」




 マナリノにとって今日という日は大きな1ページになったのかもしれない。

見えない努力の末に辿り着いた女傑と、それを夢見て険しい道を進もうとする少女。

その二人を見てアルスはまだまだこの国は安泰だな、と思う。

新しい優秀な人材が増えていくのはとても好ましい。




















 ローナと解散して、それから約束通りクロに会いに行った。

興奮続きで少し疲れ顔だったマナリノはクロを見てまた大興奮している。




 それが少し落ち着いた頃アルスは本題の為、クロに顔をスリスリとして少し嫌がられているマナリノに向き合う。





「なぁ、マナリノ……ちょっと聞いていいか?」


「どうしたのです?」


「学園の寮でなんか怪しいことないか?」


「寮……ですか。行方不明事件ですか?」


「あぁ、それだ」


「寮で仲良くしていた子も行方不明になりました。未だにどこにいるのかわかりません……。学園側は寮の警備を増やしてくれていますがその後にその子は消えました。フェリナ先生……あ、2年生の時の担任なのですが、注意するように皆に声をかけています」





 警備が増えても行方不明者は出ているのか。

外部の犯行だとして嫌に手際が良いな。

それに父上や蒼天の暗部すら把握できていないのも気になる。

学園の警備は元からかなり厳重だと聞く。

その中で誰にもバレずに誘拐することは可能なのだろうか。





「他に気になることはないか?」


「いえ……すいません。特には」


「もしなんかあったら、小さいことでも言ってくれ」


「は、はい!わかりました」





 一番最近では入学式の一月前に行方不明者が出ているそうだ。

合計で6人。

早く犯人を見つけ出さなくては。




 多分だが、個人ではないだろう。

個人にしては異質とも言えるほどに手際が良すぎる。

組織だった犯行……

であるとしたら目的は何なのだろうか。




 行方不明事件もある為、一人で帰るというマナリノを馬車で送り届けた。

マナリノは相当満足だったようで会った幹部達の一人一人の感想を嬉しそうに語っていた。

やはりローナが一番感動したらしい。




「殿下!!本当に今日はありがとうございました!貴重な経験をさせてもらって……」




 馬車を降りるとマナリノは深々と頭を下げた。




「満足してくれたならよかったよ」


「大満足です!!!」




 そう言って笑顔を咲かせるマナリノにアルスは優しく微笑んだ。




「また機会があれば連れて行く。ローナもあぁ言ってたしな」


「はい!!ぜひお願いします!」


「じゃあ、また明日な」


「はい!!明日また学園で!」




 マナリノが寮に消えていく後ろ姿を見つめ、アルスは馬車に乗り込む。




「……寮の周りを見張らせておいてくれ。何かあれば報告を」




 乗り込む寸前でそう呟くアルス。

いつの間にか黒装衣の人物が横で跪いていた。

彼は蒼天暗部の人間である。




「はっ!虫一匹入れないように警戒しておきます」


「任せた」




 蒼天の暗部は凄腕だ。

世界のありとあらゆる情報を集め、その情報の正確さや速さも異常なほどである。

とはいえ世界の全てをくまなく見れる訳ではない。

人数が無尽蔵にいるわけでもなく、細部まで見られているとはアルスには思えない。

高く評価しているが、あくまで彼らも人間。

その為、改めて寮の監視を命じた。



 小隊規模で暗部が見ていれば不測の事態は避けられる………はずだ。





 アルスは馬車に乗り込み、寮の大きな建物を見つめる。

誰がやっているのかは知らないが、必ず見つけ出す………。


















 しかし、その次の日……






















 寮から、マナリノが消えた。















 すいません大事な要所なので少し更新が遅れてしまいました。

ここから、行方不明事件編となります。



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もうしてるよ!!早く書けよ!!という方……ありがとうございます_| ̄|○



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