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80話 登校初日





 入学式の次の日、登校初日を迎えたアルスは教室に向かう。





 最上級生である三年だが編入であるアルスに知り合いがいるわけもなく、少し人見知りを起こしそうになりながら教室を開く。

前世で言うところの大学の講義室に近いような作りの半円のように階段状に扇形に並べられた机と椅子。

そして、その正面には大きな黒板と教壇が置かれていた。




 中に居た生徒達がアルスを見て一斉に立ち上がりその半数以上が膝をついて頭を垂れた。

膝をついたのは魔帝国の貴族家の人間だろうな、と苦笑しながらアルスはそれを手で止めさせる。




「学園にいる間はそこまで気を使わなくていいぞ。同じ生徒であることに変わりない」




 それを聞いてなんとか皆が立ち上がった。




 そして、その中から長い深緑の髪にコバルトブルーの瞳の少女が前に進み出る。

その容姿はとても整っているが肌は褐色よりも黒寄りで耳も尖っていた。

ダークエルフだろう。

 



「殿下……お初にお目にかかります。殿下のご尊顔を拝見でき恐悦至極に存じます。ベルゼビュート大魔帝国近衛長ターナ・アラーナが姪、ミーナ・アラーナと申します。」




 なるほど……ターナの姪っ子か。

確かに言われてみれば似ている。




 その口上に合わせるようにもう一人、今度は肌の色が薄く儚げな金髪の少女が前に出た。




「皇太子殿下……お初にお目にかかります。父からよく話を聞く創造神様の使徒様であらせられる殿下にお会いすることができ、幸甚の至りでございます。ベルゼビュート大魔帝国参謀長ロイド・パイロンが娘、ルフリア・パイロンと申します」




 なるほど、こっちはロイドの娘か。

確かに面影あるな………。




「ターナの姪に、ロイドの娘か……確かに二人共似ているな。俺も会えて嬉しいぞ」




 俺がそう言って微笑むと二人は顔を赤らめてふらりと体勢を崩した。

俺は前に出て慌てて二人を両腕で抱きとめる。




「大丈夫か?」


「も、申し訳ございません」


「………殿下に………抱きとめられている…」




 二人が大丈夫そうなので手を離すとさらに二人は顔を赤らめていた。

それは尊敬なのか、思春期なのかどちらなのだろうか。








 そんなこんなしていると後ろからガタイの良い金髪の男が現れた。




「とりあえず席につけー」




 どうやら教師のようだ。

席は自由らしいので後ろの方の席にしようとしたのだがミーナとルフリアに勧められて前の方の席に座った。

両隣は彼女達である。




「んじゃまずは自己紹介な!俺は、三年生に実技を教えているロイズ・アッケンバーグでお前らの一年間の担任だ。教師になる前は冒険者をやっていた。自慢じゃないがランクはSだ。それなり以上には強いからお前らの鍛錬は任せておけ!」




 なるほど、元Sランク冒険者。

それなら魔導学園の実技指導には不足はないだろう。




 それから今後のカリキュラムの説明などが行われ、選択科目についての説明もされた。

三年生になると将来の仕事を決めている者も少なくはなくその為選択科目が多いそうだ。

ちなみに実技など必須な科目もある。




「殿下は……なんの科目を選択するのです?」



 ミーナが聞いてきたのだが、まだ決めきれてはいない。




「そうだな……古代魔法学と歴史は取りたいなー、後は検討中だ」


「では、私も古代魔法と歴史を選択します!!」


「いやいや、好きなの選びなよ」


「いえ!天才と称される殿下が興味を示したものなれば必ず私の役に立ちます!!」




 全く疑った様子もなくそう満面の笑みで言ってくるミーナにアルスは困惑しながらも、何とか頷いた。

そこまで尊敬されるとやりづらいな。




「で、では私も!その二つを選択しますわ!!」




 ルフリアもそれに同調してきた。

この二人の打ち解け方は凄いなと苦笑する。




「自分の好きなものがあるならそちらを選択するべきだぞ?」


「いえ、上級魔法学や従魔契約学などを取ってもまだ選択枠はありますから!問題ありませんわ!」


「従魔契約学?」


「はい……魔物を従属させる学問です。殿下のように才に溢れた方ならば噂の高位の龍種などを契約や従属魔法なしに従えることも可能ですが、普通はそうやって魔物を仲間にするのです!」


「なるほど……」



 高位の龍種とはクロの事だろう。

しかし、従魔契約か……面白そうだな。



「従魔契約は、魔物を捕獲して契約を成すのか?」


「いえ!従魔契約の術式を発動すると自分の魔力の波長に合った最も相性の良い魔物が召喚されます!普通のそこらへんにいる魔物を従える場合は従属魔法という魔法で可能です。まぁ相性や魔力量などもありますが。馬車を引かせる地竜なんかは従属魔法で従えている場合が多いですね。でも、従魔契約の方が自分への忠誠度も高いですし、それに一体しか生涯契約できませんが従属魔法で契約するよりも強い魔物と契約することが可能です。」


「……ほう、てことは従魔契約は召喚魔法に近いのか」


「そうですね…召喚魔法は古代魔法で現存していないですが、どちらかと言えばそれに近いモノだと思います。」




 召喚魔法は自分の指定した種類の魔物を喚び出して従魔として契約する魔法である。

古代魔法とされているが、もしかしたら使えるのではないかとアルスは考える。

魔法とはイメージだ。

そして、全属性魔法を持っているアルスにならそれが実現できる可能性がある。

属性は闇だろうか。

従魔契約は召喚魔法の下位互換だと判断できる。

従魔契約を研究して召喚魔法を会得するのはありだな。




「どうかされましたか?」




 思考の中にダイブしていたアルスはルフリアに覗き込まれて、笑みをこぼす。




「いやなに、もしかしたら召喚魔法は研究すれば扱えるかもしれないとおもってな」


「なっ!?ほ、本当ですか?」


「あぁ、従魔契約ってのは多分召喚魔法の下位互換だと思うんだよな。それを研究して理解すればもしかしたら召喚魔法に至れるのではないか、と思う。まぁ仮説だがな」


「さ、流石は殿下!いまある魔法を研究して、古代魔法を復活させる糸口を探すとは……恐れ入ります」


「俺が独自に研究してきた魔法理論があるからな。その理論からすると実現出来る可能性はなくはないと思い至っただけだよ。」


「殿下独自の魔法理論………それは、ぜひご教授願いたいですわ!!」


「あぁ、良いぞ。そこまですぐには理解できないだろうが、基礎なら何とか理解できると思うぞ?」


「……本当ですかっ!?や、約束ですよ!殿下!!!」


「わ、私も!!ご教授願いたいです!殿下!」


「あぁ、まあでも他の人に教え込むのは初めてだからな。二人に扱えるかは分からないぞ?」


「それでもいいです!お願いします」


「知る事は責務ですわ!知ろうとしないことは愚かなことだと父がよく言っています……」


「じゃあ今度教えよう」


「「はい!!!」」




 にこやかに微笑む二人を見て、なぜか異性としての可愛さを感じない。

二人共とても美形だし、年は近いか少し上のはずなのだがどちらかといえばメルに近い感覚だ。

ロクシュリアと婚約したからなのだろうか。






 それにしても……新たな楽しみが増えた。

また研究の日々を送ろう。

学園………テンション上がる〜!!!





 あ、行方不明事件のことも調べなくてはな……












 


日間【ハイファンタジー】ランキングで……ついに……トップ100の中盤に食い込みました。

神作品の上にこの作品があるのを見て震えました。

一日のアクセスも10.000くらいになってやがる…



怖い。。w




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