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8話 魔法適性!?波乱の予感

少し時間が空いてしまいました!

お仕事でした…すいません。


コロナで暇な方の少しでも娯楽になればと、なんとか合間合間で次話を進めていきます!!




 今日は珍しくする事がない。

毎日鍛錬と勉強を繰り返している俺に母さんが、「子供らしくたまには1日遊んでなさい!…もうまったくあの人ったらアルスはまだ子供なのよ…遊ばせてあげないと…ぐれちゃうわよ…ねぇー?アルスもそう思うでしょ?」と遊びの日宣言を行ってきたのである。



 確かに、よくよく考えれば俺はまだ7歳の子供である。

いくら、前世の記憶をうっすらと持っているといってもこれじゃ逆に不健康に見られても仕方がない。



しかし、鍛錬や勉強を抜いてしまうと逆に何をすればいいのかわからない。



 悩み抜いた末、俺は最愛の妹君に聞く事にした。



「なぁーメル。なんか俺としたい遊びない?」


「メルはお兄ちゃんと一緒ならなんでもたのしいよ」

ニコニコと笑うメル…しかしそれじゃ答えになってない。


 可愛いからイラっとはしないが…


「んー遊びと言われると難しいよなぁ。ん!そうだ、城の中を探検してみるか!」


「探検!!!???する!メルお兄ちゃんと探検する!!」

爛々と目を輝かせるメル…よし、今日は探検の日にしよう!



 それでは、我が家を紹介しよう。

我が家は三階建ての所謂城である。



 一階には父の応接室、中庭の見える大きなリビングと隣接したキッチン、使った所は見たことないパーティールーム、客間が5つ、使用人達の部屋が5つ。


 二階には来客がある場合の食堂、その横には一応居る程度にしては高級レストラン並みの料理を提供するコック達専用のキッチン、大浴場と、父と母の寝室と、俺の寝室、メルの寝室、あとは空き部屋が数個。


 三階は殆ど上がった事がないが、父の書斎と、母の書斎、図書館並みの蔵書を有する書物庫、開かずの金庫がある部屋、後父の部下がいるらしい部屋が数個、誰が使うのかわからない研究室、後はよくわからない部屋が数個。



 探検するなら三階である!謎多き階層…これは探検心をくすぐる。



 母さんに城の中をメルと探検してくる!と伝えメルを引き連れて三階に上がる。



 廊下は他の階と一緒で高価そうな赤と金の絨毯が敷かれており、壁には俺にはよくわからないが素晴らしいものなのだろうという絵画の数々。

そして他の階にもある剣や槍、盾や斧を持った甲冑が数体。



「おぉー素晴らしいな!なんていう数だ…」

書物庫に来た俺はその壮大な蔵書の数に度肝を抜かれていた。


 この世界では本はとても高価で希少な物だと聞いたことがある。それをこの数保有するという事は、それだけで我が家の豊かさが理解できる。


「お兄ちゃん本すきなの?」


「ん?あぁ好きだよ!知識は宝だからね」


「ちしきはたからってなぁに!?」


「んーそうだなぁ色んなことを知っていて損はないって事だよ!」


「へぇー!お兄ちゃんすごいっ」


 

 あとで父さんに許可を取るとして、何個か気になる本を借りていこう!



 んー色々な種類があるんだなぁ。

タイトルだけでもなかなか面白い。



とりあえず借りるのは、

《世界の主要国とその歴史》

ローデス・バンクウッド著


《ドラゴンの生態と歴史》

ルナ・ログライン著


《種族と神々》

ローデス・バンクウッド著


《魔法の種類と取得》

アイレン・レイテッド著


《モンスター図鑑 1》《モンスター図鑑 2》

ルナ・ログライン著


《歴代魔王と魔国》

アリフ・ローライド著


《世界を旅する》

レイナルド・ウリウス著


《冒険とは探求である》

レイナルド・ウリウス著



 この辺にしとこう!

よーし当分本には困らないな!!

なんか読む前からわくわくしてきたっ。


「お兄ちゃんそれ借りるの?」


「うん!あとで父さんには許可を取るから大丈夫だと思う」


「じゃあメルもこれ借りる!!」

メルが持っていたのは《勇者と亡国の姫》という絵本だった。


「おお!良いじゃん!俺が今度読んであげるよ」


「ほんと?やったー!お兄ちゃんだいすきっ」

抱きついてくるメル…うん、妹は正義だ。



 でも、ここで困った事態が発生する。

本が一冊一冊とても分厚いので、いくら力持ちであることに自信があろうと物理的に持つのが大変という事である。



「お兄ちゃん…どうやってこれ持っていくの??」


「うん…いまそれを考えているんだけど…」



 念動力で持ち上げて運べば簡単なのだが、ここで暮らし出して一度も固有魔法である念動力は使用していない。

そもそも固有魔法がある!と伝え忘れたというのもあるし、この歳でそれがあるのはこの世界的に普通なのかどうかも分からなかったからである。



 しかし、いずれ分かられる事だし今は妹しか居ないから大丈夫だろう。



「よしじゃあ兄ちゃんの魔法で運ぼう」


「え?お兄ちゃん魔法使えるの??」

目を輝かせて俺を見る妹。

なんだか得意げな気持ちになってしまう。


「あぁ!見ててっ!」



 俺は久々に念動力を発動した。

ずっと使ってきた魔法である。

範囲や位置、高度や移動など細かい動きも手足を動かすように容易くできるようになっていた。


 

 体から魔力がいくらか抜け、目の前の本をどんどん持ち上げていく。



「よーしじゃあとりあえずこれを部屋に運ぼうか」


「本、浮いてるっ!!!!」

妹は目をパチクリしながら浮遊している本を見ていた。



 3階から本を運びながら2階まで降りていると、下から母さんが階段を駆け上がってきていた。



「なっ、アルス!と、メル。え?本が浮いてる、え?」

慌てて上がってきた母さんが俺とメルを見つけ、さらに浮いてる本に驚愕し、もう一度俺を見る。


「えっと、、本何冊か借りていい?読みたいのがあったんだけど!」


「え?ああ、それはいいわよ!じゃなくて、なんでそれ浮いてるの??魔法の反応がしたから何かあったのかと思ってあなた達を探しにきたんだけど、その反応はこれが原因よね?アルス、あなたもしかして魔法が使えるの?」

母さんが俺の肩を掴み、目をまっすぐ見つめてくる。



 え?怒られるの??

やっぱり使わない方が良かったのかな。



「隠してたわけじゃないんだけど、言うタイミングがなくて…使えるよ魔法」

俺が怒られるのを覚悟で母さんの方を見ると、なぜか母さんは不敵な笑みを浮かべていた。


「やっぱり!!アルスは天才なのね!7歳で魔法が使えるなんて!しかも無属性よね?風の魔法、ではないと思うんだけど。無属性なんて簡単に扱えないのよ?無属性の固有魔法持ちでも、生涯ちゃんと扱えないとか、発動できない人もいるの!しかもこんなに繊細な使い方をするなんて、凄いわっ!アルス!」



 なんか、母さんがとても喜んでいる。

え?怒ってるんじゃないの?


「え?怒ってないの?」


「え?なんで怒るのよ!これはとても凄い事なのよ!魔法にも才能があったなんて!!格闘や剣術の才能が凄いっ!って聞いてたから半ば諦めていたのよ」


「えっと、どっちも才能があるってそんなに凄いの??」


「まず、何も教えてないのにアルスの年齢で魔法が使えるってだけでかなり凄いの!でもそういう風に魔法に才能があると、格闘なんかの才能は殆ど期待できないし、また逆に剣術の才能が凄い子は魔法の才能は殆ど無いわね…。もちろんどちらも使える人もいるわ!現に父さんも剣だけでなく3系統もの魔法が使える。だからこそあの人は周りから尊敬されているの」


「3系統?」


「魔法にはね、系統っていうのがあるの。全部で火・水・風・雷・闇・光・無の7系統。この中でどの系統が扱えるかは適性によって決まるんだけど一般的には1から2系統しか扱えないわ!でも稀に3以上の適性を持つ人もいる、そういう人は魔法の才能があると周りから認められるの!宮廷魔導師は殆どが4系統ね。まぁでもこれは先天的な才能でしかないから、もちろん1系統でも極められる人はそれだけ才能があると私は思うわね」



 な…たしか、俺の適性ってその全部じゃなかったか?



 俺は恐る恐る母に尋ねる。



「そ、そうなんだ。例えばそれが全て扱えたらそれってとんでもない事なの?」


「全部?7系統ってこと?そうね、そんな人が居てもしその全てを極めたのなら大魔導師、いや賢者にだってなれるでしょうね」

母はまぁそんな人は見たことが無いけど!と笑っていたが、俺は何やらとんでもない騒ぎになりそうだと気が気ではなかった。



 そして、嫌な予感はすぐに的中する。



「あ、そうだ!この機会に調べてみましょう!アルスの適性!」



 嬉々とした母に腕を掴まれ、リビングまで連れて来られると椅子に座らされる。

そして、母に指示を出されたメイド達が貴族の家にもあるのは珍しいという魔法適性を調べる水晶を用意してきた。



「よしっ準備完了っと!アルス!じゃあここに手を置いてみて…。この水晶に出てくる色で適性が分かるの!火なら赤、水なら青、風は緑、雷は黄色、闇は黒、光は白、そして無属性は灰色の光を放つわ!系統が複数なら複数同時に輝くからすぐに分かるし、その光の強さで魔力量なんかも分かるの!」

 


 爛々と説明する母と、何か期待しているのか俺をじっと見つめる妹、そしてまた面白い事が起きるのではないかと集まってくるメイドや執事。



 こんなにも手をのせたくない状況は無い。

くそ…なるようになるのか!?



 俺は渋々、手を水晶に乗せる。

すると、とてつもない光が部屋を包み込む。

まずは赤の光、続いて青、緑、黄、そして黒、白…それを見ていた皆が目を見開き固唾を呑むのがわかる…そして灰色…


 7色に光るリビング、その光は間近で見た太陽なのではないかと思う程に明るく、俺は慌てて手を水晶から離す…



 静まり返るリビング。



「な、7色!!??7色だったわよね?」

沈黙を破り辺りのメイドや執事に目を向ける母。


「確かに7色だったかと…」

母の質問に答える執事長。


「全系統…」

驚愕に頬を震わせるメイド長。



 周りの執事やメイドも目を瞬かせながら状況を理解しようとざわざわと何やら話している。



「お兄ちゃんすごいっ!!」

いつもと同じように笑顔で抱きついてくる妹。



 冷や汗をかきながら苦笑いをする俺。



「えっと、母さん。こ、これは」

恐る恐る母の顔を見る。


「す、凄いわ!!凄すぎる!!伝説の賢者と同じよ!!!!全系統なんてお伽話だと思っていたわ!!!凄い!アルス!」


 少女のように喜びながら抱きしめてくる母、どうやら喜んでくれているようだ。



 そして、リビングに拍手喝采が響く。

執事やメイドが俺を尊敬の目で見つめてくる。

「さ、さすがはアルス様です」

「アルス様の才能がここまでとは…」

「剣術や格闘なんて序章に過ぎなかったのですね」

「なんかよくわからないですが涙が…」

「ありがたやーありがたやー」



 口々に感想を述べるのを聞きながら、俺はまたなにか嫌な予感を感じていた。



 こうして、俺とメルの冒険は早々に終わりを告げる。



 そして、夜になり帰ってきた父と居候であるトライデンさんと皆でご飯を食べながら、母がその事を父に話す。



「な、なに!!!???魔法適性7系統だと??そんな事があるのか!?」


「ええ!皆で見ていたので間違いないわ!それにアルスはすでに無系統の固有魔法を扱えるのよ!」


 目を見開く父と嬉々とした母に目を向けられ、俺は気まずくてご飯を黙々と食べた。


「にしても7系統とは…。俺はてっきりアルス君は剣や格闘の才があるから軍の士官になると思っていたが、これは宮廷魔導師達も黙っていないな」

トライデンさんが困った事になりそうだなといった面持ちで父を見る。


「本当にお前は凄い才能に溢れているな…いや、もはや才能というより別の神の加護を感じる」

父さんは感慨深そうに、だが少し誇らしげに俺を見つめる。


「感動に浸っている場合じゃないわ!これからの事を考えないと!

まずは、魔法の勉強と修行もちゃんと始めなくてはならないわ。

まぁそれは私に任せてくれればいいのだけど」


「え?母さんが?」


「おい、アルスに言ってなかったのか?」


「あ、言い忘れてたわ!アルス、私はね元々宮廷魔導師だったのよ!」



 次は俺が驚く番だった。

宮廷魔導師は、前に父から聞いた情報によると軍の一般魔法使いとは一線を画す国王直属の超精鋭部隊であり、そこに入隊出来る者は軍の魔法使いの中でたったの1%にも満たないエリートである。

宮廷魔導師は軍の将官と同程度の発言権を持ち、また平民からでも実力次第でなれる事から、平民の中では1番の出世街道であり、宮廷魔導師は多くの人々から尊敬と目指す指針として崇められている。



「しかも母さんは宮廷魔導師の中でもさらに上位10人しか与えられない、筆頭宮廷魔導師の地位を与えられていたんだ」

なぜか父さんが胸を張りそう告げてくる。


「確かにマリー殿は当時周りとは一線を画す実力者であったな。とてつもない強さと、膨大な魔力量、そして4系統をも操る多彩さと使用できる魔法の豊富さ。民だけでなく軍や宮廷魔導師の中でもファンが多かったと聞いた事がある」

そうトライデンさんが母の昔を教えてくれた。



 これは、想像もしていなかった。

父だけでなく母も凄い人だったのか。

そんな風には見えなかったからステータスすら確認していなかった。

しかし、よくよく考えれば俺が今日魔法を使った時にその魔法を感知してすぐに駆けつけたというのは魔法の心得があったということだったのだろう。




改めて、母のステータスを見てみることにした。

――――――――――――――――――――

名前/マリー

家名/レイナード

年齢/29

種族/人族

職業/魔導師

称号/幻惑の魔女


レベル/86

HP/5,300(5,300)

MP/23,000(23,000)

攻撃力/20,000

防御力/8,000

俊敏/5,100

器用/8,200

幸運/56

魔法適性/火、水、風、光


固有魔法/[幻幕/LV.MAX]

攻撃魔法/[火玉/LV.MAX][炎弾/LV.MAX][水弾/LV.MAX][風弾/LV.MAX][鎌鼬/LV.MAX][大波/LV.MAX][風斬/LV.MAX][火炎砲/LV.MAX][暴風雨/LV.MAX][光弾/LV.MAX][幻覚/LV.MAX][風圧衝/LV.MAX][水蒸気爆破/LV.MAX][蜃気楼/LV.MAX][水龍砲/LV.3][業火炎舞/LV.4]

防御魔法/[風壁/LV.MAX][炎壁/LV.MAX][水壁/LV.MAX][風炎防壁/LV.MAX][毒消し/LV.MAX][回復/LV.MAX][回復域/LV.MAX]


固有スキル/[多重詠唱/LV.MAX]


耐性スキル/[物理攻撃耐性/LV.4][幻覚耐性/LV.MAX]


神聖スキル/[女神の加護]

―――――――――――――――――――

 


 なんだ、このめちゃめちゃ物騒なステータスは。

地力でいったら父さんの方が強いけど、魔法ありの戦いなら母さんの方が強い可能性もある。

そもそも魔法攻撃がどれだけ、ステータスの攻撃力に正確に反映しているのか訝しい所は多い。

実際見ていないがレベルも高いし、魔法の方のレベルもカンストしているのが殆どというのからして相当な使い手であることは間違いない。

それに街に来てから他の人を色々見てきたが使える魔法の量が半端じゃない。

魔法自体名前から想像するしかないがそれでも遠距離戦なら無双なのではないか?

近距離の父と、遠距離の母。

なんて家庭なんだ。



 母つえぇー!!!!!



 驚愕を顔に出さないように母を見る。



「とりあえず剣の修行をある程度減らして魔法も覚えましょ!そしてあと2年もすれば王立の士官学校にも入学できるわ!王立なら剣や格闘だけでなく、魔法の勉強もできるし、教養の面でもかなり質は高い。倍率は高いけどアルスなら問題ないと思うわ!」



 学校??そうか、この世界にもそりゃあるよな…9歳から入れるのか…



 母さんノリノリだな…

剣の修行減らすって言った時の父さんのえ?まじ?なんでよ!みたいな抗議の顔見てないしな。



 そんなこんなで俺はさらに遊ぶ時間が無くなるのだが、母さんはそんな事に気付いてはいない。



 魔法かぁー魔法っ!楽しそうだからいいかー






8話話を読んでいただきありがとうございました!!

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