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6話 新しい生活!父つえぇぇ!!

なんだかんだで6話まで一気に書き上げました!

コロナの影響で仕事もお休みなのでこのままじゃんじゃん進めていこーかな




「おっきして…おにーちゃん」



 声に反応して目を覚ますと目の前に綺麗な金髪の長い髪にコバルトブルーの綺麗な瞳を持つ少女...?幼女...が立っていた。



「メル…おはよお」



 起こしてくれたお礼に頭を撫でてやると、出来たばかりの2歳年下の妹はニコニコしながら薄く目を閉じる。

まるで猫のようである。



 森で出会ったケイレス・レイナードの養子になってから早数ヶ月が経っていた。



 養子と言っていた割に、ケイレスはその日のうちに俺の事を部下達に死んでも黙ってろ!墓場まで持っていけ!と脅し、実子という事にした、と後々聞いた。



 ケイレスの奥さんであるマリー...母は明るい茶髪のショートカットと宝石のような青い眼、そして笑った時のエクボがチャームポイントの天使のような人であり、急に連れて帰った俺を最初は困惑しながら見ていたが事情をケイレスが話すと薄っすらと目に涙を浮かべ優しく抱きしめて受け入れてくれた。

妹はお兄ちゃんができた!ととても喜んでくれて、懐きすぎて両親が驚く程に俺の側にずっといる。



 ケイレスはやはりバカ真面目でとても純粋な性格で、この人大丈夫かな?とたまに思うが…後々聞いた話、実はこの国の軍の重鎮の一人で、最年少で大将の一人に数えられる実力者らしい。

顔も男前だし、綺麗な金色の長髪がとてつもなく似合う…それに真面目で、優しく、お人好しで、強くて、頭も良い...ってほぼ完璧なんじゃないか?

まぁ、ちょっと抜けてるところもあるが…



まぁそんなこんなで俺は森での最初の頃からは想像も出来ない程に充実した生活を送っていた。





「あら、アルスおはよ!さー座って!朝ごはんにするわよ」


メルに手を引かれながらいささか四人家族には広過ぎるリビングに来た俺にキッチンからひょこっと顔を出した母が言う。 


「お、おはようございます」


俺は朝の挨拶をしてから、テーブルに向かい妹を抱き抱えて椅子に座らせるとその隣に腰を落とす。



すると、少ししてリビングの庭側にある大きな窓からケイレス...父がタオルで汗を拭きながら現れる。

いつもの事である。

朝の鍛錬は彼の日課である。


「おー!アルス起きたか!メルもおはよう!!」


  朝とは思えないほどの声量で挨拶をする父にすこし苦笑いをしながらアルスは挨拶を返す。


「おはようございます」


「その敬語なんとかなんねぇのか??もうお前は俺らの息子なんだぞ?それに一回も俺らの事父さん母さんと呼んでくれないじゃないか!母さん寂しいって嘆いてたぞ!」


 座るなりテーブルに両肘をつき顎を手で支えた状態で前のめりに話しかけてくる義父…


「そうよ!ママ、パパでもいいのよ!?ちゃんと呼んでほしいわよね?あなた」


 色とりどりのおかずを盛った皿を両手に持ちながらキッチンから出てくる母もそれに追従する。



ママ...パパ...はきついだろ...

百歩譲って明確な記憶はないが前世の大人であった記憶がうっすらあるんだぞ??

いや、しかしそうだな…

これではいつまでも距離が縮まらないか…



「と...父さん...母さん」


「きゃーかわいい!!」

「おーなかなかしっくりくるな」

「兄ちゃんかわいっ」


む…やりづらい




しかし、ここのご飯はとても美味しい。

母さん...はとても料理が上手だ。

父さんは貴族であるらしく、しかもレイナード伯爵家の当主である。

国軍の大将という役職だけでも安くない給料をもらっている他、領地も広大で、母が領地経営をそつなくこなしているので相当な財産を保有している、

それ故に家というより城に近い我が家には、それ相応と言うべき数の執事やメイドがいるが、料理だけは母さんのお手製である。

いわく、手料理で育てなければ愛が伝わらない...らしい。



 ふはっーー今日も食ったー

森での干し肉と比べれば神々の食事と言っても過言ではない。

いやはや感謝感謝である。



「今日は1日休みがとれたんだが、アルス久々に...稽古するか?覚えの早いお前ならもうそろそろ剣も馴染んできたんじゃねえか?」



ここに来た当初から色んな戦闘術を父から教わってきたがつい1カ月前、剣術の訓練が始まった。

ニコニコしながら「いやぁー俺もついに息子に剣を教える時が来たかー」とか言いながら街の有名な武器屋で買った子供の練習用の剣を持ってきた時は、やらない!とは言える雰囲気ではなく...

とりあえず馴染むまでは他の稽古はなしにするから暇があれば振ってみろ!と言われ、不承不承と剣を振る毎日。

しかし剣術というのは男の子の憧れであることに間違いはなくそれは俺としても例外ではなかったので、途中からは試行錯誤しながら嬉々としてやっていたのは内緒である。

それを伝えれば喜び過ぎて、寝ずに稽古とか言ってきそうだからな。



 前世では大して運動が得意だったとは思えなかったが、こちらでの身体はレベリングのおかげなのか運動神経抜群であった。

剣術以外の戦闘術も、拳闘、柔術、軍隊式格闘、等々...父に教え込まれ、それをものの見事にすぐに会得しては驚かせた。



 しかし、剣は他とはさらに違うとすぐに理解させられた。

一日5000回と決めた素振りを一週間程続けた頃…ずっと身体に力が入っているとやりにくいということに気づく。

二週目...力を適度に抜き、必要なところで再度力を入れ直す…という事を意識して剣を振るう。

三週目...上段からだけではなく色んな角度から斬撃を繰り出せないかと模索…

そして1カ月...やっとなんとか形になってきていた。



 ここにきてアドバイスをもらえれば…もっと出来るはずである。



「はい!父さん!ぜひやりましょう」

「お、お前もついに剣に目覚めたか?」





 父と向き合うのは中庭...前世で言えば大抵の球技が出来るほどには広い。

対面する父と俺...そして遠くにはもしもを考えて屋敷に常駐している医者や執事、メイドが数人。

父が握る剣も俺が握る剣も練習用で刃が潰れてはいるが、父の技術があれば人を切れなくもない。

しかも相手は子供である...医者も気が気ではない。



「アルス坊っちゃまはまた凄い才能を発揮されるのでしょうか...」

メイドの一人が呟く...


「拳闘術に、柔術、軍隊式格闘術…今までも唖然とする程に凄まじかったですからね...」

他のメイドも呟く...


「戦術だけではないですよ...アルス様は帝王学、数学、地学、外国語、歴史、どんな事も簡単そうにこなしてみせます。いやはやレイナード家もまだまだ安泰と言うべきでしょうね」

執事長である白髪の男が表情を変えずただ目だけは温和にそう呟き...他の者はそれを聞き黙って目の前の二人を見やる。




「最初は好きに打ってくるといい」

 ケイレスは思っていた...流石にまだ何も教えてない...剣を与えただけなのだ。

他の格闘術とは違う!やっと父としての威厳を保てるし、手取り足取り教えられる!


「では、お言葉に甘えて…」

 アルスは思っていた...せめて最初だけでも...度肝を抜いてやるっ!と。



アルスは一瞬腰を落とし脱力すると、一気に気功を体全体特に足元に集中させ、地面を叩き潰すつもりで押しながら凄まじい速度でケイレスの目前まで距離を詰める。

ケイレスは目を見開きながら慌てて剣を構え、上段に構えられたアルスの剣を止めるべく上に剣を...



 なっ...ちがう!



 ケイレスは経験から何かを感じ取り慌てて左脇腹を守るようにして剣を逆向きに縦に構える。



 さすがは父さん!気づかれたか...だがここは力技で...



 アルスはケイレスの目の前で跳躍し上段からと見せかけてから、腕の力を抜き剣の重さと下に引っ張るような力で一気に中段まで下げると空中で構え直して横薙ぎの一撃を渾身の力で放つ...


 よしっ、ん、、???


 ケイレスはそれを剣で受け止めながら体を回転させる事で勢いを流し、遠心力を加えてアルスの胴を袈裟斬りにする...



え???




 凄まじい音と共に中庭の外周に植えられた木々の方へと吹き飛ぶアルス…


それをえっ?と驚きながら唖然と見送るケイレス…


何が起きたんだ?と目を見開いて前のめりにアルスの行方を見つめる観衆……



 衝撃で呆けていたが、我に返りアルスは慌てて立ち上がった。



すげぇーーー父つえぇーー!!

本気の一撃だった!!

間違いなく吹き飛ばすつもりで斬りかかったのに…逆にその力を使われて跳ね返された…

やっぱあの人すげぇわ!!



アルスが興奮しているのとは裏腹に、

駆け寄ってくる父、医者、メイド、執事達の顔は真っ青であった。



「だ、大丈夫なのか???すまん!!お前の一撃が見事過ぎてつい反射で本気の返しをしてしまった...体はっ体は大丈夫なのか??立ち上がって平気か?ドクター見てやってくれ」


泣きそうな顔で俺を見る父...何をそんなに謝っているのだろうか...

確かに凄まじい反撃に驚いたが...

別に死ぬわけでもない...


 お医者さんが近寄ってきて体をあちこち見てくる...


「なっ...どこも折れていない...あざにはなるだろうが...ほぼ無傷に近い...なんて丈夫な...」


 あ、そりゃまぁ防御力高いですからね...

それに刃付いてないですし...


 医者の言葉を聞いて目を見開く周囲の大人の視線を気にせず、父に向き合う。


「いやー、素晴らしい一撃でした!

僕も本気で父さんを吹き飛ばすつもりでやったんですよ??

それをああも簡単に受け流し、しかも一瞬で反撃に移るとは...

やはり父さんは別格の強さですね」


 ここまで褒めても褒めたりない程の感動はしているのだが、これ以上は少し恥ずかしいのでやめておく。


「なっ...お前ってやつは...

俺もさすがに子供相手と舐めていた...

正直下手をしたら俺が吹き飛んでいた可能性すらある。

我が息子ながら末恐ろしいな...

あの一撃を喰らってほぼ無傷とは...」


そんな俺らを見て何を言ってんだこの人達は...と非難めいた視線を感じる。


 この日はとりあえずこれで稽古は終了させられたが、この後父さんは母さんに屋敷が震え上がる程の説教を喰らったらしい...なんかすみません。





6話を読んでいただきありがとうございました!!

感想、評価、ブックマークを頂けたら幸いです。

また、誤字脱字、不適切表現などありましたらご指摘ください。


次回...ケイレス自慢しまくり!?

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