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57話 家族の愛に包まれて






「なーぜ何も言わず…行かれたのですか!!」


 魔帝国に帰還し、城に久々に帰った途端…居合わせたローナに怒鳴られた。

そう言えば何も言っていなかったな…。





「すまん。流れが急だったものでな」

「にしてもです!陛下から修行に行った、とは言われましたが本人からは何も言われずしかも!!数ヶ月も帰ってこないだなんて!!」



 ローナは怒り心頭の顔でプルプルしている。

心配してくれていたのだろう。





 「だが、上手いことやってくれたんだろ?」

俺がそう言うと、ローナは苦笑して額を抑える。




「ええ、もちろんです。蒼天の総帥として、こんな時の為に殿下不在の場合のマニュアルを作り準備してました故……決済報告、各地からの情報統括、粗方の雑務、雑務、雑務………。もちろん全て滞りないですとも!!殿下の居場所も隠密にすぐに探らせ安否は分かりましたし……」



 そこまで言い切ると、ローナはガックリと疲れ果てた顔で肩を落とした。

ご苦労様でした……。

この怒りは仕事に忙殺された腹いせでもあるようだ。

しかし、帰ってきたとはいえまた3日後には戻るというのは今は言わないでおこう。



「すまなかったなローナ」

そう言って俺は長い髪を後でまとめたローナの金色に輝く髪を撫でた。



「はぅ……そんな事をしてもゆ、許しませんよ…殿下」

「今日メルと出掛ける予定なんだが、一緒に行かないか?」

「……行きます」



 二人で出掛ける予定だったが、ローナも連れて行くべきだろう。

その間の仕事はバロンに任せよう。



「今日の業務はバロンに任せられるか?」

「そういう場合の手筈も整えている為、問題ありません。」

「では、昼過ぎくらいにきてくれ」

「かしこまりました」













「久方ぶりに帰って来たと思えばまた随分と腕を上げたようだな…アルス」

「おかえりなさいアルス」



 父上と母上が中庭にいると聞きそこに行くと、二人は嬉しそうにニコニコして迎えてくれた。



「休息を3日もらったので帰還しました父上、母上」

「そうか……師匠の修行は過酷だろ?」

「過酷という言葉のほうが些か楽園に思う程ではありますね」

「ハッハッハッ 師匠は相変わらずのようだな」

「それにしても休息は3日なのね……また当分は帰って来られないの?」

「これからは3日の修行の後1日は休息となるのでその都度帰還する予定です。」

「そう!嬉しいわ…」



 そう言って母上が抱きしめてくる。

まだまだ母上からしたら俺は子供のようだ。

だが頬ずりしながら抱きしめるのはやめてもらいたい。

もし、部下が見ていたら恥ずかしい。






 

「随分また強くなったなアルス」

「おかえりなさいアルー!!」



 そこに現れたのは現在魔帝国軍の参謀補佐を務める父さんと、宮廷魔導師になった母さんだ。



「ただいま!父さん、母さん」

「そこまで飛躍して成長するとは、それだけ凄まじい修行なのだろうな」

「凄まじいなんてものじゃないよ父さん」

「でも、また立派になったわねアル」

「母さんも……頬ずりはやめて……」



 母さんもまた抱きしめての頬ずりをしてくる。

最近母上と母さんは似てきていないか?



「お、そうだ……メルが随分ご立腹だったぞ?」

「だろうね……今日は昼からメルとローナとちょっと出掛ける予定なんだ。それで少しは機嫌を直してくるよ」

「じゃあ明日は母さんともお出かけする?私も放置されてご立腹よ」

 


 頬を膨らませてプンプンと腰に手を置く母さんは、いつまで立っても少女のようで微笑ましい。

そうだな母さんともたまには出掛けようか。



「んーそうだね。考えておくよ」

「あっ!!それなら私も行くわ!」

「それは良いわね!母二人とお出かけしましょ!」



 明日はどうやら母上と母さんと出掛けることになりそうだ。



「その後は余とケイレスと模擬戦であるな」

「そうなりますね陛下」



 なぜそうなる?休息とはなんぞや?














 自室で勉強をしているらしいメルのところに向かう。

部屋の前には護衛が二人立っているが、近衛の人間である為かなり屈強だ。

さらには、本人は知らないがメルの周りには常に蒼天の隠密も配備されている。

父上も同じ事をしているだろうし、そう考えるとメルは皇帝よりも厳重な守りがされている。




 護衛が俺を見てハッとして跪くがそれを手で制す。


「ご苦労様……ちょっとメルに用事があるから入るね」

「「はっ!!」」




 コンコンッとノックをすると中から「はーい」とメルの声がする。


「少しの間だけど帰ってきたよメル」

そう告げると中からドタドタと走る音が聞こえすぐにバッと扉が勢いよく開かれる。




 いつの間にかちゃんと女性という顔立ちになりさらに綺麗になったメル。

ふわふわとしたセミロングくらいの金髪に透き通るような青い瞳の為、昔のローナに少し似ている。




 一瞬笑顔になったメルだったが、ハッとしてすぐにプクーと膨れた顔になる。




「兄上……ずっーーーと放置してましたね私のこと」

「……すまない。だが、今日から3日はこっちにいるし、今後は4日に1回は帰還する…」

「………」

「寂しかったか?」



 俺がそう言って下を向いたメルの顔を覗くと、ガバっと抱きついてきた。

 


「…うん」

「ごめんな…メル」



 そう言って俺が頭を撫でると、抱き締める力が一段と上がった気がする。

俺はやはり家族の皆から愛されている。

そして妹はやはりとてもかわいい。

もし、メルが結婚相手を連れてきたら俺は男泣きする自信がある。



「なぁ、メル。今日の昼から護衛にローナを付けてちょっとお出かけしないか?」

「ローナさんと3人で?」

「あぁ、嫌か?」

「ううん!!行く!」



 パッと笑顔になるメル。

実はメルとローナは仲が良い。

面倒見がよく、いつの間にか大人になったローナは俺の妹ということもありメルをかなり可愛がってくれていた。

どこかに行くとことあるごとにお土産のお菓子を買ってくるほどだ。

昔はのほほんとしていたが、今は強くて賢く仕事のできる女性となったローナにメルが少なからず憧れているのも俺は知っている。





「じゃあお昼からお出かけだ!その前に勉強を見てやろう」

「えーーーーー、お勉強!!??やだぁーーーー」





 やはりメルはまだまだ子供で、

俺の可愛い妹であるらしい。










57話を読んで頂き有難う御座いました!

続きが気になる!はよかけや!という方はぜひぜひブックマークお願いしますm(_ _)m


またいいねも頂けると幸いです。



追伸……次回は久々に妹メルの回です(^O^)/

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