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53話 終末機構




「そういや、ロキ…お前らはどうやって皇都に侵入したんだ?」

蒼天本部での幹部会議中、ふと思ってロキに聞いてみた。



「あれは…魔導具です。1回きりしか使えない転移魔導具で、知り合った男から貰いました」

「知り合った男から貰った?そんな簡単にくれるくらいのものなのか?」

 


「いえ…転移魔導具は使い切りのものでも相当高値なはずです」

俺の疑問に答えたのは、バロンである。



「そんなに親しかったのか?」

「いや…会ったのは受け渡しのときを含めても2回です。…革命の話が持ち上がって少ししてから、街中でその男に声を掛けられました。『必要な物を私はもっていますよ。お話ししませんか?』と」

「おいおい…めちゃめちゃ怪しいなそいつ」

「ですが、こちらにも決め手がなかったので、不信感はありましたが話を聞くことにしました」

「そしたら魔導具を譲るって言われたのか?」

「はい…それも無償で…」

「見返りは?」

「それが……」




 俺の質問にロキとロナが顔を見合わせて首を傾げた。




「俺らにもよくわからないのですが、そいつは『結果がどうであれ問題はありません。ただ可能性が増えるということに意味があります』と言っていました」

「それはどういう…」




 俺はそれを聞いて首を傾げた。

魔国を壊滅させる可能性?のことか?




「で、そいつは何者なんだ?」

「そいつは自分は終末機構という組織に属している、と言っていました」

「終末機構?聞いたことあるか?バロン」

「いえ…私も聞いたことはないですね。一応隠密に調べさせましょう」

「任せた」





 終末機構?何者だ?革命を起こそうとしている別の組織?




「それと…」

ロキが改めて俺を見た。



「そいつは人族でした」




「人族…だと?」

「どうやらかなりキナ臭いことになっていますね」

 絶句する俺をみてローナがそう言った。




「魔国を崩壊させたい人族国家の陰謀…ですかね」

と、バロン。


「また戦争をして、無意味に血を流したいのですかね彼らは……元同胞ながらまったく呆れてしまいます」

と、カイト。


「叩き潰しますか?人族…」

と、ベルドール。


「早計だベルドール」

と、ゼン。







 しかし、なんだって言うんだ?

終末機構?人族?まったくわからん。







『もうそこまで暗躍しておるのか』

「???」

『そやつらは多分…邪神の使徒とその部下達であろう』 

「チッ そういうことか…つまり狙いは俺と父上か」

『…そうなるな。だがその男が語っていたように結果ではなく可能性に賭けたのだろう。しかしすでにそこまで動いているとなると今後はさらにそういう事が増えていくと思うぞ』

「ったく…本当に厄介だな」

『すまぬのぉ。迷惑をかけて』

「まぁそれだけのことはしてもらっているからな」






 創造神との会話を終えると会議室の視線は全て俺に向かっていた。

独り言…にしては大きいもんな。





「創造神様ですか?」

ローナが代表して聞いてくる。


「あぁ…、だいたいのことはそれで分かった」

「お聞きしても?」




 それから俺は今まで創造神としてきた話を皆に語った。 




「つまり人族のいう創造神は創造神の捨てた悪の部分であり邪神である…ということですか…」

と、ローナ。



「理解が早くて助かる」

「つまり、使徒同士の戦いがいずれ起きると?」

「そうなるだろうな…ま、そればっかりは俺と神 対 邪神と使徒の戦いになるだろうから皆に無理強いはしないさ。多分とてつもない戦いになる」

「我々が殿下だけに向かわせる臆病者だとお思いですか?」



「殿下…我々は殿下の盾であり矛ですよ?戦いとなれば我々も参戦するのは当然では?」

とバロン。


「一人で背負い込まないでください。我々は何のために強さを求めていると思っているのですか?」

と、カイト。


「殿下が行くっつうなら俺らが行くのは当たり前じゃねぇすか」

と、ガイゼン。


「そうですよ殿下。殿下には我々がいます。足を引っ張らぬようこれからも努力はしていきますよ」

と、レオナルド。


「我々は殿下と共に…」

と、ジョゼフ。


「微力ながら僕も戦いますよ」

と、エル。


「使徒との戦いかー強いのかなぁ」

と、ロキ。


「そりゃあ強いでしょ?お兄ちゃん。でも、私達も参加するのは当然よね?」

と、ロナ。


「殿下が言ってた戦いはそれのことだったんすね?いやーそれは最高の戦いです」

と、ベルドール。


「さらなる強者…いや最大の強者…戦ってみたいですね」

と、ゼン。


「そもそも私は殿下に生き返らせてもらいましたからね。断る権利はないですが、もちろん私もお供しますよ」

と、ステア。






 室内を見渡すと皆が俺を見て力強い顔をしている。

俺は幸せ者だな…と改めて思った。






「誰一人として命は落とさせない。最前線は俺だ。異論は認めんぞ?」

「「「「「「「「「「「「はっ!!!!!」」」」」」」」」」」」






『良い仲間を持ったのう…アルス』

「あんたの仲間でもあるぞ?創造神」

『…で、あるか…。なら挨拶でもしようかのう。ついでに加護を与えよう…まぁ使徒の力は与えられないが』

「ほう…太っ腹だな」





 俺が何事かまた喋りニヤリと笑うのを見て皆がまた俺に視線を送る。





「皆に紹介しよう……」

「誰をです?殿下」

ローナが俺を見て首を傾げる。

「決まってるだろ?創造神だよ」

「なっ!!??」







ーーーーーーーーーーーーーーー





 いつもとは違い俺以外の人間も動いているのが不思議だった。

が、確かにそこには創造神が居た。




「いつもより神々しいのは演出か?」



 唖然として押し黙る皆を放置して創造神に声をかけた。



「こっちのほうが威厳があるじゃろ?」

「周りが驚いて固まってるぞ?」

「で…あるか。ならやめよう」



 そう言うと創造神の周りからの黄金のオーラが消え去った。



「皆の者…はじめましてじゃな。わしが創造神…ゼウルスじゃ」



 シーンと静まり返る室内。



やっと声を上げたのはバロンだった。

「殿下の話を疑っていた訳ではないですが、こうして目の前に現れると…どうしていいのか分からないほどに驚愕しますね」


「か、神様!えっと……えっと、幸せな結婚をしたいですっ!!」

ローナがいきなりお願いをはじめた。 


「ローナ…祈るな。それに恥ずかしくないのか?」

「はっ す、すみませんつい…」




「先程アルスには話したのだがな。皆にも加護を与えようと思う」

「よ、よろしいのですか?我々にも」

「キミはバロンじゃな?当たり前じゃ。アルスと共に邪神の使徒と戦ってくれるのになにもしないわけにはいかん」




 それから創造神は一人一人に加護を与えていった。




「なんか力が漲りますね」

と、ローナが言うように創造神の加護はそれだけである程度の恩恵があり強化される。




「わしの加護は、努力した分だけ報われる恩恵がある。これからも精進していくといい」







 こうして皆の創造神との初対面は終わった。

これから邪神の使徒の動きにも注意していこう。















53話を読んでいただきありがとうございました!!

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