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52話 神域城塞






 それから少し時が経ち大魔帝国…


 帝都から少し離れた山の山頂。

そこに、築かれたのはアルスの固有魔法無血城塞で創った城塞。


 その城は今や国軍とは異なる組織となった蒼天(元 蒼天隊)の本部である。

城内部は戦闘行為禁止の超安全空間であり、その周りには訓練場などの諸施設が建ち並ぶ。



 アルスの寝室や、応接室、謁見の間などが内部に存在するがアルスはそこには暮らしていない。

あくまで住まいは魔帝城だが、転移魔法を扱えるアルスはここと魔帝城を行き来している。



 蒼天本部…通称[神域城塞]は、アルスが使徒であることから、そう呼ばれすでに国内では浸透している。



 神域城塞は魔帝城に勝るとも劣らない巨大さの為、主に蒼天の隊員の居住・待機スペースとして活用され、さらには蒼天内の会合や世界各国の情報の収集場所として使われている。

そんな神域城塞の城外にある訓練場では今、戦闘訓練がなされていた。





 戦っているのはガイゼンとベルドールである。  

魔国での修行と勉学の結果、元が人族の兵士とは思えないほどにガイゼン達は強くなっていた。

しかし、それはベルドール達も同じである。

元々持った魔人としての才能を更に伸ばし大魔帝国内でも相当な実力者として名を上げている。





 すでに軍団規模の隊員数を誇る蒼天の中で、この5年の歳月の後、元人族の部下達は上位の魔人族とも渡り合う程に戦闘力を上げていた。そして魔人族はそもそも軍隊としての統率が苦手だが元人族でありさらには兵士として戦場にいた彼らは統率能力も高く、皇太子の直属である蒼天だという事を抜きにしても、彼らは魔人達に認められ今や各自部隊の隊長になるほどに成長していた。

 



 しかし、それはここ数ヶ月の元革命軍も然りである。

元々、アルスが欲した様に才能に溢れた5人。

そしてなにより魔人としての伸び代。

それをここに来て開化させ始めた5人はすでに蒼天内でも幹部として活躍していた。




   現状の蒼天組織図↓


ーーーーーーーーーーーーーーー 

     蒼天 組織図



  蒼天  総帥 ローナ

  蒼天 軍団長 バロン

  蒼天 軍団長補佐 カイト


  壱番隊 隊長 レオナルド

  壱番隊 隊員数 30.000人


  弐番隊 隊長 ガイゼン 

  弐番隊 隊員数 30.000人


  参番隊 隊長 ジョゼフ

  参番隊 隊員数 20.000人


  狙撃隊 隊長 エル

  狙撃隊 隊員数 5.000人


  隠密隊 隊長 クロウ

  隠密隊 隊員数 不明



  戦鬼衆 主席 ロキ

  戦鬼衆 次席 ロナ

  戦鬼衆 三席 ベルドール

  戦鬼衆 四席 ゼン

  戦鬼衆 五席 ステア

  戦鬼衆 隊員数 10.000人


ーーーーーーーーーーーーーーー



 ちなみに、バロンが組織した隠密隊は俺にもどんなものなのか知らされていない。

そして隊長のクロウもどんな者なのか俺は知らない。

が、バロンとローナが判断したなら間違いないと思っている。







 


 ガイゼンとベルドールの戦闘はなかなかに見応えがあったが、最後はガイゼンの斧とベルドールの剣が互いの首元で止まり、引き分けで終わった。




「また強くなったなガイゼン…ベルドールも」

「世界でも最上位の戦闘力を誇る殿下を、それに並ぶ強敵から守る為にはもっと強くならないといけねぇですぜ」

「俺も、もっとすげぇ敵と戦うために強くなりますよ殿下」

「我が蒼天は今後も安泰だな」




 そう言って二人に笑いかけると、二人は精強な顔つきで俺を見た。

いつの間にか良い顔するなぁこいつら。




「今日はこっちでパーティーするからな。お前らもちゃんと集まれよ?」

「おぉー今日はパーティーでしたね。良い肉あります?」

「パーティー!!それは行くしかないですよ」

「良い肉はもちろん用意してる。あと良い酒もな!楽しみにしておけ」

「さすがは殿下…わかってらっしゃる」

「楽しみだなー良い酒かぁ!!」








 夜になって神域城塞の中はお祭りムードだった。

今日は皇太子自ら主催したパーティーが開幕される。

理由は遅くなったが次期魔帝と国内外に伝わった事、そして蒼天の今後の発展への期待、もう一つは学園に通える!という皇太子の喜びの表れだが、最後のが一番大きいとアルスは思っていた。





 学園…たのしみ







 神域城塞のパーティールームは内部構造をアルスの空間魔法で弄ることにより、その大きさを自在に変えることができる。

そのため現在パーティールームには手の空いている隊員数千人と各幹部達が勢揃いしていた。





「殿下!改めまして皇太子と成られたことおめでとうございます」

まずはローナが話しかけてきた。


「この5年で一番変わったのはローナだな」

「そんなに私は変わりましたか?」

「あぁ。前は阿呆だった」

「なっ!?失礼ですね殿下…」

「ポンコツ天然キャラだと思っていた」

「……もうやめてください。泣きますよ?」

「だが、今は心強い俺の右腕だ。これからもよろしくな」

「下げて上げるテクニックですか?……はい…もちろんこれからも殿下を精一杯支えていきますよ!」



 最後にそう言い切ったローナは、前までのポンコツ隊長ではなく、蒼天の総帥の顔をしていた。

部下の成長は嬉しいな。







「殿下……この度はおめでとうございます。我々の主たる殿下が更に飛躍していくのを今後とも我々に支えさせてください」

次に来たのはバロンである。

現在は軍団長として蒼天を纏める一人であるが、一番の苦労人でもある。



「いつも迷惑を掛けるな…バロン。今後とも頼むぞ」

「はっ!!我々蒼天は殿下の為に…」







「殿下……色々ありましたね…この数年」

次に来たのはカイトである。



「南大陸での戦争時から、カイトには苦労を掛けているな…」

「そんなことはありません。王国で尉官にすらなれなかった私が、今や大魔帝国の皇太子直属の組織で軍団長補佐という大役を任されているのですよ?苦労よりもやり甲斐の方が勝ります」

「そう言ってくれるとありがたい。皆がすぐに魔国に適応してくれて助かっている。今後とも宜しく頼む」

「もちろんです。今後とも殿下の為に、身命を捧げます」







 それからレオナルド、ガイゼン、ジョゼフ、エル、ロキ、ロナ、ベルドール、ゼン、ステアと次々に挨拶にきた。





 今ではここまでの心強い部下がいる…というのは嬉しい限りだ。





「お兄ちゃん!!!このお肉……すごい!!柔らかくて、美味しい!!!」

「んっ……うまい!!うまいなこれ」

ロキとロナの兄妹はパーティーのご飯に感動している。

涙目なのが、今までの苦労を感じさせる。





「うめえぇぇぇ!!!さすがは殿下!!こりゃーうめぇ」

「こっちの酒もうまいぞ?ガイゼン……ほら、飲め!!」

「お、おう。わりーな!!なっ…うめぇ」

いつの間にやら仲良くなったガイゼンとベルドールはご飯を食べながらお酒を飲み交わしている。




 知的組に属するバロン、カイト、ゼンは何やら仕事の話をしながら食事していた。



 ローナは同性のステアとお酒を飲んで談笑しているし、エルは愛用の狙撃魔銃を見つめながらケーキを頬張っている。



 ジョゼフは……ん……いないな…と思ったら、一人で酒を飲んでいた。

なんか…渋くてかっこいいな。






 隊員達も仲の良いもの同士で集まりご飯を食べたり、酒を飲み交わしていた。

パーティー会場は熱気に包まれている。





 少し外の風に当たりたくて会場から中庭に出た。

 最近忙しくてそれどころではないが、マリア達は現在も行方不明だ。




 ベンチに腰掛けて中央の池を見つめる。




 池の畔に誰かが座っていた。

俺は何をしているのだろうかと思い、静かに近寄る。

すると、そこに座っていた女の子が池の中の魚に餌をあげていた。



「パーティーに参加しないのか?」

「へっ!?で、殿下!!」



急に声を掛けられ慌てる女の子、よく見れば魔人でステータスを見ると同い年だった。



「セナは魚が好きなのか?」

「な、名前を…おぉ覚えてくれているのですか?…あ、魚は好きです」

「相手を見ると詳細がわかる固有スキルを持っている……こうして会うのは初めてか?」

「き、聞いたことあります!ホントだったのですね!さすがは殿下…。は、初めてです。あ、えっと、狙撃部隊所属…小隊長を任せられているセナと申します」

「これはこれは丁寧に、ありがとう。エルのところの兵士だったか。どうだ?大変か?」

「えっと…隊長も優しくて皆も優しくて、とても働きやすいです!…でも」

「でも?」

「皆さんがすごすぎて…私なんにもできてないなーって…最近悩んでいます。あ、すみません…殿下にそんな話」

「いや、いいよ。そうか…セナは悩んでいるのか。だが、それは間違いだぞ?エルはああ見えて凄まじい洞察眼を持ってる。あいつが小隊長に任命したなら、セナには才能があるってことだろ?周りからの評価を受け入れるのもまた成長だと思うぞ?」

「は…はい。えとえっと…で、殿下も悩むことあるんですか?」




 そう問いかけてくる顔があまりにも真面目で俺は少し笑ってしまった。



「俺は悩んでいないように見えるか?」

「は、はい。殿下はすごいお方だと皆が言っていました。帝国軍のガゼフ軍長の本気の一撃を何もしないで受け止め無傷…さらには殴っただけで凄まじい距離まで吹き飛ばし、最高位魔法の殆どを行使でき、魔法を放てば大地を割り、転移魔法で各地を飛び回り、一瞬で要塞を出現させ、真っ二つにした敵を元通りに治し、更には死者すら蘇らせられる…創造神様の使徒。それに頭もよくて博学で、あらゆる学問をおさめ、それでも更に勤勉に学び続ける天才…。」

「そこまで褒められるとむず痒いな。しかしまぁあれだ。そんな俺でもいっぱい悩んでいるぞ?魔国の今後、世界の情勢、友達のこと、部下のこと…悩みだせばきりがないさ。今だっていっぱい悩んでる」

「それなのに、なんでそんなに…明るく笑えるのですか?殿下の周りはいつも笑顔で溢れてます」

「色んな仲間の死を経験したんだ。戦争で。その仲間たちのために前を向かないといけないと昔部下たちに教わってね。だから俺はどんなことがあっても前を向いて笑おうって決めたんだ。俺の今日という一日は誰かの望んだ明日かも知れない…そうだろ?」

「…はい。私も……前を向きます」

「また悩みがあったらいつでも話においで…」

「ありがとうございます…殿下」





 パーティー会場に戻っていくセナは、先程よりも少し明るい雰囲気で…前を向いている気がした。











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