44話 皇太子
城に戻って一応報告のため父上の所に行くと、母上も執務室に居た。
「帰りました父上…」
「ほう…また神に力をもらったか?」
「分かりますか?」
父上は俺を見てすぐに、少し笑いながらそう言ってきた。
洞察力恐るべし。
しかしまぁこんだけ莫大に力が上がればわかるか。
「アルス…どんな力を得たの?」
母さんが俺をしげしげと見ながら体をぽんぽんと触ってくる。
「いずれ、邪神の使徒と戦うため、創造神の使徒になったんだ」
「使徒!?」
「ほう…創造神の使徒ともなれば歴史上でも人からなった者はいないはず」
「種族が魔人族から神人族となり、力も大幅に上がりました」
「すごい!!アルスはやっぱりすごい子!」
「種族も変わるとは凄いな。神の名を冠する種族か。次期魔帝にはぴったりであるな…」
「まぁあまり実感はないんですけど、でも莫大に力が増したのはわかります。このままこれに満足せずに精進します」
「やはり…アルスは真面目だな。まぁ好きにすると良い。強くなって困る事はないからな」
自室に戻りステータスをもう一度確認する事にした。
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名前/アルス・シルバスタ
家名/ベルゼビュート
年齢/14
種族/神人族
職業/魔剣士、格闘家
称号/鉄壁、魔王の後継者、創造神の使徒
レベル/222
HP/10,000,000(10,000,000)
MP/3,000,000(3,000,000)
攻撃力/2,000,000
防御力/40,000,000
俊敏/1,000,000
器用/350,000
幸運/777
魔法適性/火、水、風、雷、闇、光、無
固有魔法/[念動力/LV.MAX]「全知全能」[無血城塞]
攻撃魔法/[全属性魔法]
防御魔法/[全属性魔法]
固有スキル/[創造][覇道/LV.MAX][鍛錬の道/LV.MAX][統率/LV.MAX][威圧/LV.MAX][支配/LV.MAX][気功/LV.MAX][自動回復/LV.MAX][ステータス閲覧][ステータス改変]
耐性スキル/[孤独耐性/LV.MAX][飢餓耐性/LV.MAX][物理攻撃耐性/LV.MAX][魔法攻撃耐性/LV.MAX]
神聖スキル/[世界神の加護][世界樹の加護]
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まずは変わったのが種族だ。
神人族ってなんだ?
魔人族とかはまだわかるけど、神の人?どゆこと?
攻撃魔法、防御魔法は全部統合されて全属性魔法になってるってことは何でも使えるってことか?
それは有難いけど…分かりづらくなったな。
そして気になるのが、全知全能と無血城塞、固有スキルの創造は…どんなものか本当によくわからない。
これは実験が必要だ。
無血城塞は城塞って言うからには城的なものを作り出すってことか?
だとしたら広い場所じゃないと使えないか。
全知全能と創造は…んーこれは今度神に聞いてみよう。
軽々しく使って大変な事になったとか洒落にならん。
なによりやっぱり全体的なステータスが凄まじく上がってるな。
いくら何でも上がりすぎだ。
試してみないと分からないけど、下手に模擬戦とかしたら相手を殺しかねない。
それともう一個、おおおー!ってなったのはステータス改変…これは父上なんかのステータスが見えないのと関係がありそうだ。
ステータスを隠せるのはかなり都合がいい。
これはすぐにでも試してみよう。
さぁー実験が続くぞー!
とりあえずは誕生日になったら、式典か。
そこから学園…それにみんなも生きているようだ。
まだ不安はあるが生きてるという情報だけで有難い。
これからがやっと本番というところか。
とりあえず隠密に皆の居場所を探させよう。
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「式典に集まった者達よ!今日ここに、成人となった我が息子アルス・シルバスタ=ベルゼビュートを正式に皇太子とし、次期魔帝としていずれ帝位に即位させる事をここに宣言する!!」
父上の声が響き渡る。
現在、旧魔王城、現魔帝城で行われている式典で父上が演説し集まった多くの民や軍人、貴族などが拍手を送ってくれている。
「皇太子様ー!!」
「きゃあーー!!!!カッコいい」
「凄い風格だ…」
「何と神々しい…」
色んな声が聞こえてきて少し気恥ずかしくなるが、それを表情には出さない。
それこそが帝王学?
そして俺は父上の次に演説を始める。
「集まってくれた諸君…実に大儀である。我が名はベルゼビュート大魔帝国 皇子 アルス・シルバスタ=ベルゼビュート。今回この式典で皇太子となった。
我はこの国の者達が永劫幸せに暮らせる国を作るために誠心誠意取り組んでいくとここに誓う。
より良い国を作るためには皆の力が必要だ。
ともに、良い国を作っていこう!!!」
「「「「「「おおおおおおお!!!!」」」」」」
反応は上々か…当たり障りのない演説だ。
自己評価は低い。
そして、隣に父上が来て手を上げて歓声を制する。
そして父上が後ろの方を見遣ると、見た事のない綺麗でどこか威厳のある女の人が後ろから歩いて来て父上とは反対に俺の隣に来る。
え?なに?
聞いてないんだけど…
サプライズ演出?
なんか女の人が現れて観衆達がどよめいてる。
有名な人なのか…
「もう一つ発表があるのだが、先日我が息子アルスは創造神様の意向により使徒となった。そうであるな?ロクシュリア」
「間違いありません。私も神託にて創造神様よりアルス・シルバスタ=ベルゼビュートを使徒とする。と聞いております。
創真教…教皇ロクシュリア=ソーマリアの名のもとにそれを証明致します。」
な、それ言うの?
それ言うとなんか敵が増える気がするんだけど…フラグ…
てか、教皇?この人が…
さらにどよめく観衆。
「な!?皇太子様は創造神様の使徒に成られたのか…」
「す、凄いことだ…」
「使徒様…」
どよめきをまた父上が手を上げて静める。
「次期帝王となる我が息子が使徒となった。それは我が国にとってとても意味のある事だ。我が国は神にも愛される国へと至った。未来は我が国のためにある!!!!」
どよめきを超えた割れんばかりの絶叫の歓声が上がり少し大地が揺れた気がした。
父上…カリスマ過ぎる。
しかしあれだ、事前に言ってくれ。
勝手に使徒だとバラされると敵が…
いや、まぁどっちみち戦うのは決まってるから時間の問題ではあるが…