43話 使徒
お久しぶりです。尾上です!
遅くなりました…
やっとですが、再開します!!
「で、殿下!!わざわざお越しいただき誠にありがとうございます。こ、今回はどうしたのでしょうか?」
帝都(元王都)にある教会に俺は足を運んでいた。
魔国で崇められているのは、俺が会った事のあるあの本物の創造神だ。
人族達が崇めているのは創造神と呼ばれているが邪神。
まったく変な世界になっている。
創造神が傍から見れば邪神と言われ、邪神がこの世界の多くの場所で創造神と呼ばれているのだから。
ちなみに、今俺の前で畏まっているのはこの帝都の教会を任されている大司教である。
この創真教は本部が帝都ではなく、魔帝によって保護されている北大陸の外れにある創真教国にある。
その国のトップこそ教皇であり、本来の創造神を崇めている獣人達やエルフ達の中にも聖地巡礼の為訪れる事がある国だ。
「大司教、久方ぶりだ。息災であったか?」
「は、はい!げ、元気で…あります」
この金髪美人の大司教は、顔は可愛いのだが少しポンコツだ。
今日も今日とて噛み噛みである。
「今回は少し祈りを捧げたくてな。構わんか?」
「も、もちろんでございます!教皇様からも王子様が来られたら丁重に対応するよう言付けも頂いております。なんでも創造神様のお気に入り…だとか」
「まぁお気に入りというより、たまに話をする程度だ。まぁ加護は貰っているが…」
「たまに…話を?す、すごいですよ!それ!えと、それはお告げじゃなくて?会話してるんですか?」
「会話ってか、会って話してる」
「あ、ああああ、会って?すすすす、凄い!!さすがは教皇様が特別視するお方!!」
「とりあえずそんなんだからちょっと祭壇いくね!今日はまぁ話すとかじゃなくてただ形式的に祈りたいだけだけど…」
「は、はい!!」
教会奥の祭壇に向かう俺に、後ろから大司教がついてきていた。
祭壇の上はステンドグラスになっていて虹色の光が瞬いている。
綺麗な教会である。
南大陸のあの教会とはえらい違いだ。
だが、まぁあっちは邪神を創造神だと思ってるわけだから、ある意味逆に創造神は邪神扱いなわけだし教会があるだけマシなのか。
祭壇につき、通常の者は跪くが俺は跪かずに立ちながら手を合わせた。
前世で言うところの神社の参拝のようである。
ん?そういやそんな事は覚えてるのか。
殆ど前世の事は忘れてしまったというのに。
手を合わせてマリア達が無事であってほしいと願う。
すると、その場に霧がたちこめそれが晴れるといつの間にか後ろの大司祭は消え、目の前に老人…創造神が立っていた。
「祈りに来るとは珍しい。それ程までに心配か?」
創造神が出てきて今更驚く事もない。
「当たり前だ。友達だからな…」
「…で、あるか。一応生きておるよ今のところは…だが」
「場所もわかるのか!?」
「いや…わかるがそれは伝えられん。人の運命を変えるのはそもそも神として問題になるのじゃ。其方の事は色々な不手際があった故…ある程度は許容しているが」
「…じゃあ、お告げ程度でいい。どこに向かえばいい?何をしたら?」
「…そうよのぉ。であるなら、学園に通うのじゃ。それが一番の近道となるじゃろう」
「わかった。そうする事にする。じゃあ…俺はそろそろ戻るぞ」
俺がそう言って話を終わろうとすると、創造神は「いや、もう少しよいか?」と難しそうな顔で引き止めてきた。
「ん?」
「今のままだとな…其方は近い未来に死ぬ」
「は?え?なんで?」
「理由は少なくないのだが、一番は…邪神が使徒を呼び寄せた」
「な!?邪神の使徒…」
「今、中央大陸ではその者は勇者と呼ばれている」
「邪神の使徒が勇者って…世も末だな」
「まぁ、その勇者も其方と同じ世界から転移させられている。多分状況もわからず邪神を創造神だと思い込んでおるじゃろう」
「まぁ異世界から来た俺らにとってみればだいたい人が崇めてるのが創造神で、魔族が崇めてるのが邪神だからな…で、その勇者に俺が殺されるのか?」
「邪神の手先となった者は勇者だけではない。根深くかなりの数がいる…その者らは魔帝と其方を狙っている」
「まぁ創造神の事を理解してる敵の頂点だからな…敵対視されるのは当然か…にしても勇者はそんなに強いのか?俺も結構破格だと思うのだが…」
「今はまだそこまでではないかもしれんが、勇者は成長補正10倍というスキルを持っている」
「10倍?おいおい…人の10倍成長するってことか?」
「…そうなるのぉ。だから時間が経てばたつだけ厄介な事になる。それに他の使徒の召喚も邪神は行なっている。時間が経てば勇者も強力になる上に、敵の使徒も増える」
「…まじか。で、どうするんだ?」
創造神は顎に手を当て…ニヤリと笑った。
「其方を…わしの使徒にする」
「え?使徒?」
「と、言ってもだから何をしろとは言わん。ただ使徒にすればさらに力を与える事が可能じゃ。そうなれば死ぬ事はないじゃろ?」
「そんな簡単になれるもんなのか?」
「なれん…な。使徒とは神の使いのようなもの。邪神の使徒の勇者も、使徒としての力はそこまで持ってないはずじゃ。それ程までに難しい作業じゃからな…邪神には簡単には扱えん。じゃがわしにはそれができる」
「おー、初めて創造神に心強いと思ったよ」
「其方は本当に…わしを馬鹿にしておるな?」
「馬鹿にはしてないさ…でも…この世界の現状を見ると…」
「みなまで言うな…分かっておる。だからこそ、其方が生きて現状を覆してくれんといかん…」
「最終的にはやっぱり丸投げ…」
「コホン…まぁとりあえず使徒にするのは決まりじゃ。しばし待て」
無理矢理話を変えた創造神は…呪文のようなものをぶつぶつと呟き始める。
創造神からとてつもない力を感じる。
足元にはいつの間にか魔法陣のようなものが刻まれ…なぜか俺の背中からは翼が、頭からはツノが生えてきた。
隠してるのを強制的に解除したのか?
天からさす光が強まり、創造神からも黄金の光が湧き出す。
「創造神…ゼウルスの名のもとに、彼の者…アルス・シルバスタ=ベルゼビュートを創造神の使徒とする事を宣言する」
ぶわーーーーっと風が吹き、俺の身体の中にぬるま湯のような温かい感覚が伝わる。
が、それは徐々に沸々と煮えたぎり、身体の中で紛れもない力として爆発的に肥大していく。
おいおい…何だこの力!!
これが使徒の…どんだけだよ!!
これで死ぬぞ?
意識が飛びかけながら、何とかそれが収まると凄まじい力を身体から感じた。
白と黒だった翼はいつの間にか純白になり少し金が混じっている神々しいものになり、それにツノが消えている。
「…これが使徒の力?」
「ステータスを見てみよ」
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名前/アルス・シルバスタ
家名/ベルゼビュート
年齢/14
種族/神人族
職業/魔剣士、格闘家
称号/鉄壁、魔王の後継者、創造神の使徒
レベル/222
HP/10,000,000(10,000,000)
MP/3,000,000(3,000,000)
攻撃力/2.000.000
防御力/40.000.000
俊敏/1.000.000
器用/350.000
幸運/777
魔法適性/火、水、風、雷、闇、光、無
固有魔法/[念動力/LV.MAX]「全知全能」[無血城塞]
攻撃魔法/[全属性魔法]
固有スキル/[創造][覇道/LV.MAX][鍛錬の道/LV.MAX][統率/LV.MAX][威圧/LV.MAX][支配/LV.MAX][気功/LV.MAX][自動回復/LV.MAX][ステータス閲覧][ステータス改変]
耐性スキル/[孤独耐性/LV.MAX][飢餓耐性/LV.MAX][物理攻撃耐性/LV.MAX][魔法攻撃耐性/LV.MAX]
神聖スキル/[世界神の加護][世界樹の加護]
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「なんだよ…このイカれたステータス。魔法も全属性?固有魔法全知全能、無血城塞ってなに?創造とか…それにそもそも種族変わっちゃってるよ。神人族って…」
「どうじゃ?気に入ったか?」
「あんた結構過保護過ぎないか?」
「ここまですれば簡単に死なないじゃろ?それにレベルの概念はまだあるからこれからも強くなれる」
「まぁそれは有難いが。すでに世界でも上から片手くらいの位置にいるんじゃ?」
「まぁ強い者はまだまだおるよ。だが、そうじゃな防御力は世界一であるし、全知全能や創造なんかを上手く使えば世界最強も遠くはないじゃろうな」
「これより上のやつってもうそれ人?化け物ってか魔神とかだろ」
「ホッホッホッ まぁ色々な者がおるのよこの世界には…」
「まぁとりあえずこれで生き延びられそうだ。また何かあれば会いにくるよ」
「たまにはお茶でもしに来なさい」
「お爺ちゃん…」
「ホッホッホッ」
いつの間にか創造神は消え去り、後ろには大司教が立っていた。
「あ、あの…雰囲気が…えっと…」
大司教が俺を見てぷるぷると震えている。
「創造神様…」
「あーさっきまで居たよ。そこに…」
「え?ほんとですか?…殿下…その翼は…確か白と黒だったはず…それにその莫大な…」
「んーまぁあれだ。なんか流れで使徒になったみたいだ」
「なっ!?創造神様の使徒!?」
そのまま大司教は泡を吹いて気絶した。
ぴくぴくと痙攣していたし、下が濡れ出していたから可哀想になって放置した。
一応下の子達には泡吹いて倒れてたよっとは伝えておいたから大丈夫だろう。
おしっ○漏らすって…やっぱポンコツな大司教。w




