42話 勇者とアルス(閑話)
尾上です!!
新作の書き溜めの為遅くなりました!!
そろそろ新しい話溜めて載っけていくのでもうしばらくお待ちください
2021.5.7
「ごめんな……まさかそんな事があるなんてな…」
煌びやかで豪華な鎧を身につけた青年が俺に謝っていた。
どうしたの?
と、声は出ない。
「今の君に言っても分からないだろうけど…俺は魔王と戦ってる時に、新たな魔法を手に入れた…未来予知の魔法だ。それで見て驚いたよ……人族の信じる創造神が邪神で、しかも人族に…俺が殺されるなんて……、くそッ…転移させられて、勇者だなんだと祭り上げられて…結果がこれかよ…。本当にごめんな…。俺はこんな事しかしてやれないけど……でも、今は…今だけは人族として…生きながらえてくれ……この世界の未来を変えられるのは君だけだ……」
勇者?勇者なのか?
という事はこれは赤ちゃんの時の俺の記憶?
「ずっと使う事のなかった隠蔽魔法がここで役に立つとはな…」
そう言って勇者は俺に魔法をかけた。
「俺の死は回避できない。どう抗っても、敵が邪神じゃ結果死ぬだろう。だから、頼む。君が世界を変えてくれ。…赤ちゃんに頼むのは忍びないけどな…」
そう言って苦しそうに微笑む勇者は、前世ではまだ高校生くらいの年齢だった。
「人を無闇に信じちゃダメだ。邪神の言葉を聞いて、君を襲うかもしれないから。でも、君の未来には、幸せがあるよ?勇者の俺が保証する。……生きてくれ。生きて、世界を救ってくれ」
その願いは確実に今俺の心に刻まれた。
確かにこの世界はくそだ。
この青年も不幸だっただろうな。
あの平和な前世から転移させられ、多分召喚したのは邪神、その邪神を崇拝する人族に祭り上げられ、魔王と戦って、その息子である俺を赤子の時に盗みだし、しかしそれがまったくの見当違いだと知り、しかも後に人族に殺される未来まで見えてしまったんだから。
でも、そうか…この人が俺を助けてくれたのか。
後々のことを考えて隠蔽の魔法まで掛けて。
この人…来世では幸せになってほしいな。
俺にも前世があるように、この人にも来世はあるだろ?
だったら幸せにしてやってくれよ神様。
異世界召喚もこういう展開もあるよなー。




