表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/138

37話 獣王国



「人族は魔国との戦争で消耗している…今が好機だな…」

「そうですね…陛下。獣人会議を集結させますか?」



「あぁ…奴らを呼べ」

獅子獣人が玉座から、亀の獣人にそう告げる。



ここは東大陸にある獣人族の国家…

トライブ獣王国である。




「フッフハハハハハハハハ!!!!ついに、人族への恨み…晴らす時が来た!!!」

亀の獣人がいなくなった部屋で笑う獅子獣人…この男こそトライブ獣王国の国王、【百獣王】ゼノス・ガリオン=トライブである。







獣人と人との戦争の歴史は深い。

その根本にあるのは人が獣人を奴隷として扱っていた時代にある。

千年程前、南大陸では力が強く身体能力の高い獣人は奴隷として扱われていた。

それがその時の通常であった。


これに反発したのが、後にトライブ獣王国を建国する初代国王、ガリオン・トライブである。


ガリオンは奴隷として扱われる同胞達の無念を晴らすため、獣人をまとめ上げ人族との戦争を始める。

互いに数万以上の兵を失った苛烈極まるその戦争は、人族の和平条約によってなんとか終戦し、その時獣人の奴隷制度は終わりを告げ、獣人奴隷達は解放された。


ここで終わりに見えた戦争。

しかし、確執はそれでは終わらなかった。


ガリオンは亜人達の小さな国しかなかった東大陸にトライブ獣王国を建国。


そして、力を蓄えその頃栄えていた南大陸の王国の王子に策略を張り巡らし、獣人に暴力を振るうという行為をさせる事で、それを引き金に二度目の戦争を始めた。


ガリオンが戦死するまで終わらなかったその戦争は代々受け継がれ、何度となく行われる。



しかし、ここ十年は冷戦状態にあった。

十年くらい前に起こった魔国の南大陸侵攻があったためである。

戦争が終われば好機。

人族が勝っても負けても、消耗すれば容易い。

それが現国王の考えであった。


だが、人族に勇者が現れた事で獣王国は下手に手を出せなくなる。

しかし、その戦争負けたのはやはり人族。

そして勇者の死。


それを知った時国王は水面下で動き出した。


確実に、勝つ戦争を成し遂げる。


しかし、それから内乱や東大陸の諸国との戦争が続きそれから10年の月日が経った。

国王は苛立った。

時間が経てば人族が力をまた蓄えてしまう…


そんな時、魔国が南大陸に宣戦布告する。

後に聞けば人族は魔王の嫡子を誘拐していたらしい。

そして、嫡子が帰還しその戦争は終わった。

魔国が圧倒的な力を見せつけた戦争である。

人族は少なくない被害を喰らった。



今しかない!国王はそう思った。



「人族共よ…昔の因縁…ここで決着してやるわ…」









その後…国王からの召集命令を聞いた獣人会議の面々は、ただそれだけで今後何が起きるか理解し不敵な笑みを浮かべていた。



「ついに、時が来たか…」

金髪をオールバックにした虎獣人の男…獣人会議首席である【殲滅鬼】バルトラは愛剣を拭きながら笑みをこぼす。


「はい…壮大な戦いになるでしょう…」

その横にいる虎獣人の副官は遠い目で執務室の窓の外を見つめる。


「…先祖の怨み……晴らしてやるわ…」






別の場所、滝の近くの川辺で巨大な体を持つ象の獣人があぐらをかいて黙想している。


そこに、その獣人よりも一回り程小さいがかなり巨体の象獣人が2人その黙想している男に近寄る。


「老師…陛下より緊急召集の指令が来ています」


「………」


黙想していた男が目を開き、そしてドシンッと大地を揺らし立ち上がる。

振り返ったその壮年の男は、その巨体には似つかわしくない穏和な顔付きで2人の前まで歩く。


「…やはり、始まりますか。まぁ予想はしていましたが…」

「やはり、戦争…ですか?」

「そうなるでしょう。陛下は常々その機会を狙っていましたからね…」

「老師も、出られるのですか?」


「…血が流れるのは……嫌ですが、だがそうなれば仕事をこなすのは我々の務めですかね…」

この壮年の男こそ獣人会議二席…【無血要塞】ゾーンである。






「はぁーやっぱりかー。やっぱり戦争かー。めんどくせー」

オレンジの髪を靡かせ空を飛ぶ鳥人の女は指令を聞き、頭を抱えた。


「姉御ー。でも、出なきゃまずいっすよ?バックれたりしないでくださいよ?」

その女の不平に横を並ぶ赤髪をモヒカンにした鳥人が、まだめんどくさがりが出てるよ…とため息をつく。


「出るよ!出りゃーいいんだろ。しかしよぉーどうせ大した敵もいないだろ?バルトラとグレイズあたりだけでも良い気がするけどなー」

この不平の多い女は…獣人会議三席【天撃】のメリーナ。

空中からの攻撃魔法による爆撃を得意とし、戦争ではかなりの活躍を見せる武人だが、普段はとてもだるがりである。







「父上!やはり始まりますね…やっと暴れられるぜー!!」

熊獣人が森の中にある集落の稽古場で、熊獣人達の訓練を見つめる一際大柄な男に話しかける。


「お前はやっと初陣か……まぁ今回は俺の背中をよく見てろ」

その大柄な男…獣人会議四席【暴君】グレイズは不敵に牙を剥き出す。






別の森の中に一人の犀獣人が巨大なハンマーを担いで立っていた。

そして、

「オオオーーーーーッッッ!!!、」



ドガーーーーーンッッッ!!!!!



そのハンマーで大木を吹き飛ばす。


「また人族との戦争か…まったく無駄な時間だ。だったら魔国とやりてぇんだがな…。ま、あの臆病者の国王じゃそれも無理か…」

犀獣人はつまらなそうにそう呟く。


その犀獣人こそ最後の獣人会議のメンバー、五席【爆進】ベルクである。






獣人会議とは、獣王国にいる数多の種族の中で最も戦力の高い五つの部族の長と、国王からなる獣人王国最強の六人の集まりであり、その会議が開かれるのは殆どの場合が戦争の為である。

その為、獣人会議は獣王国の中で最も大事な会合であった。


それがこれから開かれる。






それにより、今後世界はさらなる流血が広がる事になる。

が、それはまた別の話…








学園…遠ざかるなーww




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ