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32話 ほんとに俺って鉄壁なんじゃ?


どうも!尾上です!

え、アルス強すぎじゃん?

もう敵いなくね?

とか思うみなさん…そんなことはありませんよ?

まず、魔王さん…アルスの百倍くらい強いです。

そして、魔族や亜人にもアルスより強い人はいます。

もちろん強敵も今後いっぱい出てきますよー!


ステータス分かりづらいですが、強っ!ていう感覚だけ持ってもらったらあとは流し見で大丈夫です!


あぁーまた学園編書きたーい(泣)








 目が覚めると、そこはとてつもない広さと豪華さの部屋だった。

天井にはシャンデリアが何個もあり、寝室というにはあまりにも広いその部屋を抜けると、扉で区切られた隣の部屋には、応接用といった大きなテーブルに向かい合う形に置かれた二つの明らかに高級な革のソファ、壁際には大きな暖炉、また執務用のような机のセット。



 昨日聞いた話、父上(魔王)が俺が戻った時の為に用意していた部屋らしいが…



「なんだよ…凄すぎだよ…。スイートルームじゃん」

ソファに腰掛け、俺は苦笑した。




 しかし、ソファでその部屋を見つめながらすこし想いに耽る。

マリア達はどうしてるだろうか…

魔王の息子って分かったら、嫌われただろうなー。



 あと、メイドさん達…生きてるかな。

生きてるなら探してあげたいな。

けど、魔王の息子の給仕とか…うん、イメージだけ言えば良くないんだろうな。



 あ、それより…今日は母上に会う予定だった!!

昨日は慌ただしかったからご飯をみんなで食べてからすぐ寝たんだ。

だから会えてないんだった。





 ガチャッ

突如部屋の扉が開く。

ん?誰だ…



 部屋の扉の間からショートカットの透き通った白金の髪に翡翠の瞳の綺麗なお姉さんがこちらを見ている。



 いや…ん?



 そのお姉さんがスタスタスタと部屋の中に入ってきて、いやもはや全力で走ってきて途中でジャンプして飛び、俺に抱きついてきた。



「…アルス…アルス…やっと、やっと帰ってきたのね…グスッ…グスッ…」

そして抱きついた途端に泣き出す。


えっと…もしや…

「母上?」


「そうよ…私があなたの母。エリザベートよ」



 やっぱり母さんだったのか…髪色が俺と同じだったからそんな気はしたんだけど、でも魔族ってほんと年齢が分からないな。

母上、見た目普通にお姉ちゃんだよ?



「えっと…ただいま。母上」

「長い間…寂しい想いをさせて…ごめんなさい…」

「大丈夫ですよ…最初は森で一人だったので幼少期はまぁ大変でしたが…その後は育ての親に引き取られてあったかい家庭で育ちましたから…」



「幼少期…森に一人?」

キョトンと目を見開く母上。



「はい…なのでその頃は魔獣と戦ったりしてなんとか生き延びました。」

「幼少期に…魔獣に襲われていたの?」

「…はい。でも、大丈夫ですよ!なんとか倒しましたし」


「…ロス……ヒ……」

母上はいきなり黙り込み、何か小声でブツブツと言い出した。

そして、母上から膨大な魔力が膨れ上がる。



 その姿はまさに魔王妃。

え、母上なんかキレてる?



「え…母上どうしました?」

「ごめんね…アルス。私今からちょっと南大陸を沈めてくるわ…」

「え?」

「ん?」



 見つめ合う親子。



 ちょっと南大陸沈めてくる?

ちょっとコンビニ行ってくる…みたいに?



「ええ…久々にはらわたが煮え繰り返ってるわ…。我が愛しの息子を、乳児の頃から魔獣の森に捨てるなんて…人族…根絶やしにしないといけないわ…」

「…母上。えっと、大丈夫ですよほんと。ていうかやめてください。せっかく戦争が終わって、こうやって我が家にも帰って来れたんですから…」

「…なんて……良い子なの…さすが我が子…。うん…そうねそうよね…まずは久々に会った我が子とスキンシップよね…」



 母上はなにやら、うんうんと頷きながら納得し、またもや思いっきり抱きしめてきた。

あのー、その抱きしめ方だと…胸が…顔に…



「母上……息できないです」

「あら…ごめんなさい。」




 そうこうして母上と今までの俺の生活を色々と話した。

森時代は、母上は少しイラついていたが、その後の父さんと母さん、そしてメルとの生活ではとてもニコニコとしていた。



「育ててくれたその二人。人族にしておくのは勿体無いわ!!なんて良い人達なの!!うん…あの人が家族っていうのも納得よ!それに妹…ついに…私にも…娘が!!」

どうやら母上も、俺の第二の家族を好いてくれたらしい。



 それから学園、戦争、いろんな話をした。

また、母上も俺がいない間の魔国の内情や夫婦喧嘩、俺を思って泣いた日々など色々話してくれた。



 父上も母上も、俺が帰ってくるのをずっと待っていてくれてたようだ。



 いつの間にか父2人、母2人、にはなったけど…うん、幸せな家庭だ。








 そしてそれからメイドが呼びにきて食事の為、食堂に向かった。

そこは、50人はゆうに座れる縦に置かれた長いテーブル、凄まじく高い天井とそこから吊るされたシャンデリア、そして無駄に豪華な内装…、前世の映画で見たような食堂である。



 食堂にはすでに父上、父さん、母さん、メルが座っていた。

母上曰く、カイト達はさすがに他の部屋で食べるらしい。

まぁ確かに、魔王と魔王妃、その息子と、家族だからね。



「お兄ちゃん!!そのきれいな人は??」

「メル!おはよう!この人は俺の母上だよ」

「お兄ちゃんのお母さん?可愛いー!てことはメルのお母さんでもある?」


  

 可愛い妹が俺と母上を交互に見て、え?お母さん増えた?となぜか喜んでいる。

しかし、隣を見ればなぜか母上も喜んでいる。



「あなたがメルね。可愛い〜。そうよ!あなたのお母さんでもあるわ!!いつでも遊んであげるわよ!後お洋服をいっぱい買おうね。あと…」

母上…娘が欲しかったのは分かりますが甘やかしすぎです。



「遊んでくれるの??お洋服も??やったー!!お母さんだいすき!!」

「ズッキューーン……アルス…私はもう娘に心を射抜かれたわ……アルスもこれくらい甘えてきてね。甘えなさい。むしろ、抱きしめてきなさい。」

母上…コミカルな人だ。



 そんな茶番を終え、やっと席につく俺と母上。

向かって右側に、父上、母上、俺の順番に座り、左側に父さん、母さん、メルが座っている。



「本当に息子を…ありがとう。あなた達の話はアルスから聞いたわ。本当に愛を注いでくれていたって…あなた達はもう私達の家族よ!何か困ったら言ってきなさい!」

母上が向かいの父さん達にそう告げる。


それに答えたのは母さんだった。

「こちらこそ…ここに置いて頂いてありがとうございます。それに、アルスに愛を注ぐのは当たり前ですよ…だって可愛いですもん。朝寝坊すると寝癖がぴょんってなってる時とかもう…可愛すぎて…」

母さん…後半なんかおかしいよ?


「寝癖…」

それを聞いて母上が俺を見てくる。

「それは、絶対可愛いわ!!今度アルスのそういう話をぜひ聞かせて!!」


「はい!!ぜひ語り合いましょう!」



 ん?なんかおかしいよね?



「ケイレスは今後何かしたいことはあるか?もし、望むなら部隊指揮官辺りにでもなるか?一応爵位は渡すつもりだが…」

今度は父上が父さんにそう告げる。


 いつ間に名前呼び?それに爵位?


「…稽古は続けたいですが、少し戦争に嫌気がさしてしまって……今は指揮官とかはやりたくないですね。それと、爵位ですか?それは貰えませんよ…それに人族ですよ?」


「それは仕方ないな。アルスを育てたというだけで裏切られ仲間に刺され終いには国からも狙われたんだ…嫌気もさすだろう。

ん?何を言ってるんだ。人族だからなんだというんだ?ぬしはもう家族なんだぞ?わしの家族に誰が何を言えよう?何か言ってきてみろ…未来永劫そいつの存在を消し去る。だから爵位はまぁ貰っておけ。アルスと離れ離れになるのはあれだからな、領地は与えないが、爵位だけでもあれば何かあった時に助かるはずだ。」


「…何から何まで。ありがとうございます。」


「なーに、大したことはしてない。同じ最愛の息子の親なんだ。それくらいはさせてくれ」




 父上…いや、魔王様。ちょっと危険なオーラ出してたけど…うん…やっぱり良い人。










  

 それから食事は和やかに終わり、その後俺は父上に連れられ訓練場に来た。

そこには昨日いた幹部達や、強そうな兵達が居て…え?


「あーーーー!!!!奇襲突撃第二部隊のローナ!!!」



 そこにはセミロングの金髪の少女がいた。

あの、飛竜のときに戦った隊長だ。



「えっ!!!!なんでここに?え、待って…貴方が…殿下??」


 目を見開くローナ。


「なんだ?知り合いか?アルス」

父上に聞かれ、戦争の時の事情を話す。

「ほう…確か何かの魔法でステータスがかなり低くなっていたのだろ?その状態であのローナを倒したか…」


 その話を聞いたローナの周りの者らが、「あ、あの血だらけで帰還魔法で帰ったっていうあれ…殿下と戦ってたのか?」とローナに詰め寄る。


「不敬罪…は勘弁してください」

少し泣きそうになりながら俺を見つめるローナ。


「いや、あの時はまだ互いに知らなかったんだ。それに戦争だ。まぁどっちも死んでないしな。あの件は不問にするから、気にするな」

俺の言葉で、救われたーという顔をモロにするローナ。

同じ金髪に青目だからか少し妹に似てる。

といっても俺より全然年上だけど。





「アルス…。魔族ってのはな強い者が偉いんだ。だから、お前の力を見せてやれ。本当の力が戻ってからまだ戦ってないんだろ?」

小声でそう言ってくる父上。


「はい。まだステータスを見ただけですね。」


「よし、じゃあちょっと力の確認がてらやってみろ……んーじゃあ!ローナ!!アルスと戦ってやれ」







 そして向き合う俺とローナ。

それを囲むように周りには兵達と父上、そして幹部達。



 しかし、たしかにステータスの上書きとやらで本来の力が戻ったわけだが…全部がありえないくらい上がっていた。


 どれほどの力なのか自分でも分からない。





 訓練用の刃のない剣を互いに持ち互いを見つめる。

先に動き出したのはローナだった。

凄まじい速度、あの時と同じはずだ。

しかし、あれ?え?



 遅い。すごく遅い。



 詰め寄ってくるローナ、そして剣を振り上げ袈裟斬りしてくるが、まるでスローモーションだ。

これが、本当の力?チートじゃん。

魔王の息子だからか?



 俺はその袈裟斬りを、かるく剣を持ち上げ受け止める。



 手に振動すら感じない。

軽く木で小突かれた程度に感じる。


「なっ!?え?」



ローナも目を見開く。



 俺はそのまま受け止めた剣を剣で弾く。

凄まじい勢いで、後方の兵すら巻き込み吹き飛ぶローナ。

えーーーー!!!!!嘘だろ?



 吹き飛んだローナが、目をパチクリしながら立ち上がりそして何やら魔法を唱えて身体強化をして先程より早い速度で向かってくる。



 やっぱり…遅い。


  

 勢いのまま突き刺すモーションのローナ。

それを俺は軽く躱して後方に回り、そのままローナの襟首を掴んで引き倒す。



 それだけで凄まじいクレーターができローナが地面にめり込む。



 その倒れたローナの首元に剣を当てる。



「そこまで!!フッ やはりアルス相手では、ローナじゃ弱いな」

父上の言葉で試合は終わる。


 いや、俺強くなりすぎじゃない?


「陛下…次は俺がやりたいのですが…」

巨人のガゼフである。

父から聞いた話ガゼフは軍長という階級であり、魔国軍のトップであるらしい。


「あぁ構わんぞ?しかし、子供だからと甘く見るなよ?我が息子だからな」


「はっ。もちろんです。先程の動きを見れば手加減などできません」



 

 うん。めちゃくちゃ強い。

今の俺のステータスの方が上だけど。

明らかに今まで戦った者達より数十倍は上の力量。

年齢が長命な巨人族の為124歳であるし、ステータスは上でも、経験は明らかに俺の方が下。

それに固有魔法…あれはどんな力なんだ。






 刃のついていない大きな斧を肩に担ぐガゼフ。

いやいや、あれ刃なくても死ぬぞ?



 そして、ゆっくりと歩いて近寄ってくるガゼフ。

真っ向勝負しろ!ってことか?



 うわー悪い癖でそう…

実験したい。

防御力100万を超えた己の鉄壁さを…実験したい。


 そのまま食らっても痛くないのかなー

最近怖くてやってないもんなー

いやーでもあの巨人のあの大斧.…痛いよなー

いや、でも自分を知る為には…


 俺は覚悟を決めて剣を地面に突き刺した。

さぁー来い!!


「殿下…なにをしてるんですか?」

ガゼフも歩み寄りながら首を傾げる。


「ガゼフの実力を知った上で、その攻撃をもろに喰らったらどうなのかの実験をしようと思ってな…」


「なっ!?」

驚愕するガゼフ、多分俺でも驚愕するか、え?Mなの?って聞くよ、だが来い!


「本気で来てくれ…まぁ死にかけたら医務室にでも連れてってくれよ」

その可能性もあるからな…


「フッ フハハハハハ!!!!!!アルス…やはり俺の息子だ!!ガゼフの攻撃を何もせず体に受ける?面白いぞ!!!!」

なんか後方で父上が爆笑してる。


「止めてください!!陛下!!」

「流石にやばいと思いますわよ?」

「…いや、しかし。陛下の嫡子…あり得るかもしれん」

幹部達も驚愕してるようだ。



 周囲の兵士達もざわついている。



「殿下…本気でいきますよ?」

ガゼフ…顔怖いよ。


 近くまで来たガゼフが、頭上まで斧を持ち上げ振り下ろす構えを取る。

その際幾分か身体が大きくさらに筋肉が盛り上がる気配を感じる。



 あぁー本気だこの人。

え、まって…これで死ぬとかないよね?



 そして、その大斧が振り下ろされる。


 当たったのは左肩。

その攻撃の風圧であたりに砂煙が蔓延する程の一撃だった。



 しかし、痛みとしては…

うん…耐えられる。

というか、肩を強めに木の棒で小突かれた程度だ。

痛っ、ていう反射はあるけど、実際そうでもないし肩を見ても血は出てない。



 うわーまじで鉄壁じゃん。




「…嘘だろ」

砂煙が消え、普通に立つ俺を見てガゼフがそう呟いて少し震える。


周囲の者達も騒ぎ出す。

「なっ!?軍長の本気の一撃を…なんのガードもなしに…」

「あの一撃で無傷?」

「俺は今夢を見てるのか!?」



 しかし、俺の実験はまだ続く。

次の実験は身体強化をした打撃の威力。

それがどんなものか確かめておきたい。



「ガゼフ…次は俺の番ね」

「…え?あ…」



 戸惑うガゼフ。

だが、一応試合だ。

俺は身体強化をフルに使い、少し跳躍して巨人、ガゼフの身体に拳を叩き込む。



 先程よりも大きな爆音が響き、受けたガゼフがローナの時の数倍の勢いで吹き飛んでいく。



 ガゼフは遠くにあった何かの建物まで吹き飛んでぶつかりそれを粉砕する。



 え?いやいや…え?

あの巨人だよ?めちゃくちゃ強いよ?

あんな飛ぶ??




「勝負あったな…にしてもお前…もう少し手加減してやれ。あれじゃ多分肋骨とか折れてるぞ?」

呆然とする俺の側にいつの間にか現れた父上が肩に手を置きながら苦笑する。


「ここまで強くなってるとは。」


「それがアルスの本来の力だ。どうだ?俺の血は凄いだろ?」


父上…凄すぎるよ。

もうこれ…人族とかじゃ相手にもならないんじゃ?






 それから、ガゼフは医務室に運ばれ、俺は幹部達や兵達に思いの外讃えられ、え?ガゼフさん嫌われてる?

そして、父上からも「さすがは我が息子」と頭を撫でられ、俺はその後城に戻って上機嫌な父上と、母上、父さん、母さん、メルとお茶をしながらその日はグタグタとのんびり過ごした。



 どうやら、明日からは家庭教師が来て魔族関連の勉強や、さらには魔王としての帝王学を学ぶらしい。

そして、あとは訓練…というよりまぁ今回でやらかしてしまったから1人での実験をするのだろう。

あ、一回父上とも戦ってみたいけど…

でも、ステータス見えないのにわかるんだよなーあの人には勝てないってか勝てる見込みがない。



 はぁー今後どうなっていくのかなー。

学園…また通いたいなー

魔国にもあるらしいし。



 マリア達は元気かなー。









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とても励みになります、もはや泣きます。


それと皆さん…コロナに負けずに頑張りましょう!!




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