31話 戦争の終結
そこは最も戦争が激しい場所であった。
そのど真ん中に突如として王国の士官の格好をした少年と黒マントの人物が現れる。
そして、黒マントの人物の広範囲に映像と音声を伝える魔法によりその登場は大陸中に映像として流れる。
「…陛下の側近がなぜ」
「あの人族の少年はなんだ?」
魔族軍の者達がざわつく。
「ん?なぜ急に士官が…」
「どこの隊の者だ」
王国軍もざわつく。
他の国でもその映像に戦いをやめて皆がみやる。
この場合…なんて言えばいいのかな。
王族だもんな…しかも魔王族の。
はぁ…帝王学学んどいてよかった。
単直に、そして厳格に…
前世でもこんな演説した事ないぞ
「魔族の兵士、並びに中央大陸の兵達よ。我が名はゼス。ベルゼビュート陛下の腹心である。我が名の元に戦争をやめ、このお方の話を聞け!」
静かな静音であるのにゼスさんの声はまるで強力な攻撃魔法のように辺りに広がり、全ての者の注目を集めた。
ここからは俺の番か。
「…どこから話せばよいのか、わからないんだけど。この戦争は、前回の戦争の際に人族によって奪われた魔王の息子、つまり王子の奪還の為に行われている…」
俺のその言葉に人族だけでなく、魔族すら目を見開く。
「なっ!?王子の奪還?」
「人族に奪われていただと!!」
ひしひしと強まる魔族からの殺気。
「なに?魔王の息子を拐ったのか?」
「だから、宣戦布告してきたのか…」
どういう事なのか困惑する人族。
「だが、すでに目的は達された。魔王の息子であるアルス・シルバスタ=ベルゼビュート…俺はここにいる!!そしてこの後、父上とともに魔国に帰還する。べルゼビュート大魔王国の兵達よ。王太子、アルス・シルバスタ=ベルゼビュートの名の下に命じる。軍を引き、帰還せよ!!!」
静まり返る周囲。
「で、殿下!?」
「あの方が…殿下なのか」
ここで俺は、本当の名を知ってから使えるようになった新たな力を解放する。
ブワーーーッと背中から広がる漆黒。
それは、まさしく魔族の翼である。
しかし、その羽は片方が純白であり、片方が漆黒であった。
そして何よりも他の者を圧倒する程に大きく高貴な出立ちで羽ばたいていた。
そしてその羽の出現に合わせアルスのとてつもない魔力が辺りに広がる。
「正しく、陛下と同じ翼…」
「それに間違えない。この莫大な魔力をあの歳で…まさに殿下!!」
その莫大な雰囲気に魔族達はすぐにそれが魔王の嫡子だと理解した。
「聞いたか!おめぇら!!!殿下のご命令だ!帰還するぞ!!!」
「「「「「「おおおおおおおおお!!!!!!」」」」」」
大地を揺るがす歓声は他国でも広がり、そしてこの後に奪還戦争と呼ばれる戦争は終わりを告げる。
「ここが…魔国」
それからゼスと共に父上の所に戻り、魔王の莫大な魔力による転移魔法によって全員で魔国に赴いた。
魔国は想像とは全く違う。
戦々恐々とした雰囲気は無く、むしろ王国の王都よりも栄えた近代的な街並みが広がっていた。
魔族すげぇー!
そして、魔王城は…とてつもない大きさだった。
巨大な山そのものが城であるかのような要塞になっており、その頂上には漆黒の巨城が立っていた。
「アルスよ。あれが我が家だ」
父上…魔王の声を聞いたが、もう苦笑するしかない。
あれが家?いやいやいや…
「す、すごいな…これは」
父も目を見開き城を見ている。
「街も綺麗で栄えてるし、お城もあんなに大きいなんて…なんだか前よりも良い暮らしができそうね」
母さん…呑気だな。
「すごーーい!!!おっきい!!」
メル…はまぁしかたないか。
カイト達は目が点である。
そして、さらに転移魔法で移動し王城の門を潜ると、そこには犇めく魔族の兵…
数百はゆうに超える。
その魔族の兵が両サイドに整列している。
真ん中にある道の先、そこに数人の明らかに強者が立っていた。
ヴァンパイア、巨人、ダークエルフ、狼人…パッとステータスを見たが見た事のないレベルと戦闘力であった。
ちなみに魔王のステータスは見れなかった。
あれは明らかに幹部だなー。
その4人のなかのヴァンパイアが拡声魔法で声を出す。
「お帰りなさいませ。陛下…そして殿下。」
その言葉を聞き、幹部達も兵達も全員が頭を垂れる。
その中魔王である父上はツカツカと道を進んでいく、それにならって俺、そして他の人達もその後を追う。
そして、幹部の前まで行くと…
「良い働きであったぞお前ら。
しかし、ガゼフ…貴様は動くのが指示より早かったな…次はないぞ?」
幹部達にそう告げながら、魔王は巨人を一睨みする。
たったそれだけで周囲に死の気配が広がる。
父上……怒らせたらやばい。
「も、申し訳ございません。陛下
以後気をつけます故…」
「まぁわしは今日機嫌がよい。今日は許してやる。お、そうだお前ら見てたか?我が息子はここまで成長したぞ?」
魔王は俺の背中を押して幹部達の前に出す。
「殿下…長らく助けに行けず申し訳ございませんでした」
ロイドというヴァンパイアが頭を下げてくる。
大丈夫ですよ!と答えようとして、あ、そうか王族なのか俺…と頭を抱えそうになる。
慣れない、実に慣れない
「いや、大丈夫だロイド。一人で生き延びた幼少期以来はとくに苦労もなかったしな」
「な!?いつの間に名を…」
あ、ステータスで見たんだった。
なんとか…上手く…帝王学…
「ふっ。何を言っている。俺は魔王の嫡子だぞ?その者の素性くらい見ればわかる」
なんか…前世的にいうと…めちゃくちゃ厨二病…はっず
「さ、さすがは殿下。見ただけで分かるとは…」
よかったーなんとか乗り切れたー。
「殿下…その歳でその雰囲気…さすがは陛下の息子であらせられる…」
ダークエルフの綺麗な女性が次に話しかけてきた。
「ターナもなかなかに強いようだな。ダークエルフは初めて見たが、その力量…努力の結果であろうな」
喋り方これで合ってます?
「力量までお分かりになられるのですね。その眼力…素晴らしいですわ」
「わしはどうですか?殿下…」
力量を伝えたからか巨人も身を乗り出してきた。
「ガゼフ…実力は4人の中では1番だな。しかし、魔法は苦手か?覚えたらさらに強くなると思うぞ?」
「そこまで…分かるんですか?…魔法。覚えます。」
なんか少し落ち込んでます?
「殿下…ご帰還お待ちしておりました。」
狼人が次に前に来る。
「ダリフ、ありがとう。今度、闇魔法を教えてくれないか?」
ステータスを見た感じ、ダリフは隠密系であり闇魔法が得意なようだ。
「…そこまで分かるのですね。はい、ぜひお教えしましょう。」
そうして、幹部との会話を終え俺達はやっと王城に入った。
ちなみに、ステータスが見えるという隠していた才能を後々母にあれこれ聞かれたのは言うまでもない。
今日の事を最後に書くとしたら、
魔王城で与えられた俺の部屋。
いくら王太子とはいえ、ありえないくらいの大きさと豪華さであった。
それにキングサイズというのはこれか!と思わせるベッド。
うん、ふかふかすぎ
最高すぎ…
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