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19話 迫り来る魔国

最近あまりアルスくんが出ていませんが、

安心してください!!

そろそろメインのアルスくんのストーリーに戻ります!!


でも、ここも後々繋がってきますので悪しからず。




 公爵殺害事件から数週間の月日が流れた頃…最悪、いや災厄とも呼べる出来事がついに始まりの鐘を鳴らす。






 三大国の一つ、大陸最強の武力を誇る国 タイラーン帝国。

その辺境に位置する山々に囲まれた要塞…



「な…おい!!あれなんだよ!?」



 常時警戒に励んでいた兵士の1人が空を見て目を見開く。



「あれは…」

「ド、ドラゴン!?何でこんなところに」

「しかも何だあの数は…」

「おい待て、人が乗ってるぞ!」

「な!!竜騎士だと!!!???」



 騒ぎでどんどん集まってきた兵士達が生唾を飲む。



 しかし、最初にそれを確認した兵士は一番に冷静になり敵襲を知らせる鐘を鳴らす為に走り出す…



「敵襲ー!!!敵襲ーーーっっ!!!」

カーーンカーーンカーーン



 響き渡る鐘の音、休んでいた兵士達も慌てて支度を済ませ城壁の上に登っていく。



 百をゆうに越す飛竜に乗った騎士…紅の瞳が光る黒い飛竜に跨る漆黒の甲冑を着たその姿は、目にした者達に瞬く間に恐怖の念を抱かせた。


 

 その竜騎士達の先頭を突き進む一際大きな飛竜に乗った竜騎士が凄まじいスピードで城壁の遥か上空まで移動し停止した。

他の竜騎士は一定の場所で留まり様子を見ているようだ。




 兵士達は目を凝らしその竜騎士を見る。

そして、唖然とした。

乗っているのはまだ子供に見えた。

しかも明らかに女の子であり、他の竜騎士とは違い頑丈そうな甲冑も着ていない。

飛竜の上でおもむろに立ち上がり、背中から頭まで器用に歩いていくその少女は童顔で華奢な見た目に似つかわしくないひらりひらりと揺らめく漆黒のドレスを身に纏っている。

しかし、ドレスの上には肩、胸、お腹、腕、足を守る鎧は付いており手には細剣が握られている。

一応軍人なのだろう。



 その少女が声が聞こえなくても分かるほどに、あれれーどこだろーといった様子で何かを身体のあちこちに触れながら探していた。



 ようやく見つけたのか巻物のような羊皮紙を取り出し、そして兵士達の方を向く。



 そして少女が何かを呟くと、少女の頭上に大きな魔法陣が現れる。



「んー、あ、あ、テストテスト…よしオーケー」



 相当な距離があるはずなのにその少女の声は兵士達によく聞こえた。

兵士の1人が呟く…「拡声魔法か?」



 そう、少女が使用したのは拡声魔法という無属性下級の魔法である。

効果は数百m離れた距離でも、声を届かせる事ができるというものだ。



「タイラーン帝国のみんな!はじめまして!私は魔国 第二奇襲突撃部隊の隊長、ローナだよ!

それではタイラーン帝国の皆さんに我が陛下より伝言!

えっと、これなんて読むんだっけ?

えーとえーと、あ、そうだ!

この度、我々魔国は人族の大陸全域に宣戦を布告する。

この戦争を収束したければ我が国から持ち出したモノを持ってこい。以上。

え?これだけ?まぁいいか!!

という事で皆さん、死んでください!」



 まるで悪意のない声色。

その為、兵士達は警戒の意識を少し乱してしまった。



 一瞬遅れて来る言葉の意味…



 それに気づいた時には既に待機していた竜騎士達は要塞の目前まで迫り、そして凄まじい数の魔法攻撃が兵士達に向けて飛んできていた。



「よーし、ここの一番偉い人はとりあえず生け捕りだったよね?じゃあ捕まえに行こっか」

少女はニコニコしながら飛竜に再度跨り、飛竜を撫でながら要塞の中に降りるように意思を伝える。



 止めどなく降り注ぐ火、雷などの遠距離攻撃の嵐、そしてそれを防いだと安堵しても竜騎士が迫り剣や槍で次々に首を刎ねられる兵士…



 誰からともなく兵士達は逃げ惑う。

が、追ってくる竜騎士達に1人また1人と命を奪われていく。



 その要塞の城主である男は、城内で宣戦布告を聞いて慌てて外に出た。

そこで、見た光景は何度となく戦争に出て功績を挙げてきた彼の心を一瞬で粉砕した。



「な…これが戦争だと!?これは、もはや…ただの蹂躙…」



 数では勝る要塞内の戦力、しかし各兵士の質の違いが目に見えた。

魔族しか扱えない飛竜、それに乗る精鋭である竜騎士。

格が違いすぎる。



 城主は血と屍と炎に包まれた目前の光景を呆然と見つめていた。



「みーっつけた!あなたがここの一番偉い人でしょ?」


  

 少女の声で我に帰る城主。

目の前には屈託のない笑顔を見せる少女が立っていた。



「さっきの声は貴様か」


「んー、あーそうだよ!!」


「つまり敵の長は貴様という事だな…。少女を斬るのは心苦しいが許せ!ここはもはや戦場だ!」

腰にかけた剣を抜き少女に斬りかかる…



 しかし確実に首を取りにいったその斬撃は少女が欠伸をしながら握る細剣によって簡単に止められてしまう。



「おじさん…もしかして弱い?」

 


 男爵家の三男であった男は、当主になる事が出来るわけでもなかったので、軍に入り出世する道を選んだ。

そして小規模なものから、血で血を洗うような大きな戦争まで多くの戦争に参加し、その剣術のみで将官にまで登りつめた。

それにより辺境ながら常に警戒が必要である重要な要塞を任されたのである。



 そんな、私が弱いだと?



 男は上から、斜めから、横から、下から、角度を変え、フェイントを入れ、力の限り少女にとてつもない数の斬撃を放っていく。



「な、なぜ。当たらない」



 少女はその全てを軽々剣で弾いていく。



「なぜって?だってーおじさん遅いんだもん」



 男は悟った。

この少女はとてつもない強者だ。



 そもそも、魔国の奇襲突撃部隊と言えば花形であると聞いた事がある…その部隊の隊長クラス。

ただの少女である訳がなかったのだ。



 舐めていた…これは俺のミスだ。



 少女がニヤッと笑い。

それに目を取られた瞬間、瞬き一つしたくらいの一瞬で、少女は忽然と姿を消した。



 そして、首筋に生暖かい液体が触れる感触がした。



 慌てて首を見ようとして、次の瞬間男は自分の身体を見つめていた。

首から上がない自分の身体である。



「ガハッ」

男は口から血を吐き絶命した。



「あーーーーーっ!!!つい、殺しちゃった!!うわーーやっちゃった!!生け捕りだったのに!!!怒られるー絶対怒られるー。どーしよー。はぁー。まっ、いっか」



 少女は膝をつき頭を抱え叫んでいたが、不意にケロッとして立ち上がると、スキップをしながら自身の相棒である飛竜の元へ駆けていった。




 この日、タイラーン帝国の辺境にある一つの要塞が壊滅した。

早馬に乗り王都に敵襲を伝えに行った兵士が耐えていてくれ!と祈りながら援軍と共に戻った時には既に誰一人として息をしている者はなく。

 







 そこには血溜まりと数千を超える死体、そして魔国の旗と宣戦布告の書かれた羊皮紙だけが残っていた。









後書き


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