15話 魔法ってむずい
俺は今悩んでいる。
魔法取得の事でだ。
魔法の系統は7つ。
火、水、風、雷、闇、光、無。
その中で取得が困難なのは、後半の3つ。
この7系統の並びは右に行くにつれ難しいとされている。
それは俺が思うにあのルナの概念で説明がつけられる。
つまり右に行くにつれ概念に対する理解が難しいのだ。
そもそも、闇とは?とか光とは?とか言われても正直わかりづらい。
そして最難関はやはり無魔法。
概念すら無いに等しいのだ。
そんな無魔法を取得したい。
と俺は考えていた。
しかし固有魔法で無魔法に属される念動力を扱える分他の人より可能性があるのではないか。
と、思っていた頃が浅はかだったとすぐに思い知らされた。
無魔法…まったく意味わからん。
例えば無魔法には空間魔法というものがある。
空間魔法とは空間を創り出す魔法である。
と魔法書には書かれている。
が、空間を創る?どうやって?
まったくわからん。
しかもこの世界の魔法書は本当に雑だ。
魔法の取得の仕方が書かれているわけではなく、こういう魔法だよ!って説明しかない。
つまり概念を己で理解して取得するしかない。
なのに、難しい魔法の方が説明がざっくりしている。
例えば、
空間魔法/無の場所から空間を創り出す魔法。
重力魔法/星の上にある物体が星から受ける力を利用した魔法。
時間魔法/時の長さ、流れを操る魔法。
転移魔法/場所と場所を繋ぐ魔法。
・
・
・
は?え?それだけ?
わかるか!そんなんで!!
っていうわけでこの世界で魔法書による魔法取得は困難であり、殆どの場合がもともとその魔法を使える者から口頭で教えを請い取得する。
しかし、無魔法は使用できる者がすでに殆ど生きてはおらず失伝されている。
その為固有魔法以外で取得するのはほぼ不可能とされている。
魔法っていう便利すぎるものがあるならもっと分かりやすくせい!!
てなわけで、哲学者並みに色々考えているが未だに無魔法の原理は理解できていない。
くそーもっと前に気づいていれば初心者ガイドで聞いてやったのになー!
今考えるとものすごい勿体ない。
無魔法はとりあえず一旦置いといて。
なにか、有用な魔法はないだろうか。
俺は休みである今日一日を丸々使い、魔法書を読み漁っていた。
そして面白そうなモノには印をつけていく。
・中級 火魔法/龍の息吹
・中級 水魔法・雷魔法 複合/豪雨雷鳴
・中級 闇魔法/影武者
この3つは覚えられそうな上に有用である。
龍の息吹は、口から業火を周囲に吹き散らす魔法である。
この魔法の有用な点は、魔力量の込め方で威力と攻撃範囲を上げられる上に、構えなしでほぼノーアクションから一瞬で放つ事が出来る。
豪雨雷鳴は、文字通り大雨と雷を降らせる魔法だが、単純であるが故に効果はかなり大きい。
水で濡らしそこに雷を落とす、というのの有用性は言わずもなである。
そして影武者、これは攻撃を受ける際などに己の影から作った擬似体を身代わりに出来る魔法である。
デメリットとして、これを事前に用意していると本体から影が出ないので不自然という点はあるが、それでもかなり使える魔法だと思う。
俺はさっそく訓練場に向かった。
何個かある訓練場のうち人のいない所を選んだ。
下手に巻き込んで怪我をさせたら大変だからだ。
よーし、んじゃ龍の息吹から…
概念…んーそうだな…
まずは身体の中を火が通っても大丈夫なように体内を龍の身体に置き換えるイメージ。
そして、体内の魔力が炎に変わり身体を通って口から吐き出すイメージ…
ピロンッ 【攻撃魔法[龍の息吹]を手に入れました】
おー出た!あんまし上手く威力出せなかったけど、一応成功だな。
イメージがむずいからなーこれは研究していこう。
よし、次は豪雨雷鳴か。
雨の原理は分かる。
蒸発した水分が雲になり、質量に耐えきれなくて落ちてくる。
しかし、雷か。
雷ってなんだろう。
静電気。んー。
よーしよくわからないからすげーでかい布を摩擦してめちゃめちゃでかい静電気を作るつもりでやってみよー
雨雲よし!
ポツポツポツ
雨よし!
シャーーーッ
おー強くなってきた。
もっとだなこれじゃ通り雨だ。
もっと蒸発させるイメージ。
ザーーーーーーーーーッッッ!!!!
おーしいいぞ!大雨だ。
そしてここから、雷。
静電気を雲に溜めてっと
地面に降り注ぐイメージ
ズバーーーーンッ
ズバーーーーンッ
ズバーーーーンッ
ズバーーーーンッ!!!
ピロンッ 【攻撃魔法[豪雨雷鳴]を手に入れました】
おー、思いのほか威力あるなこれ
ってこれ、俺もやばくね?
それから数分意識を失っていたのは皆には隠す事にした。
恥ずかしい。全然考えていなかった。
実体験してわかったが、この魔法やべー!
まぁー何事も経験だな!!
うんうん!!??
で、影武者か。
影を身代わり…そー言われるよくわからんが、前世の記憶で影武者がどういうモノなのかは分かっている。
そのイメージを魔力に置き換え、影の形を…
な!!??
俺だ!俺がいる!!
目の前に俺が!!すげぇー
ピロンッ 【防御魔法[影武者]を手に入れました】
アルスの前に今アルスがいるという不可思議な現象が起きていた。
瓜二つというより、まさしく本物である。
これ、まじですげぇ魔法なんじゃないか?
魔力が持つ限り出し続けられる訳だろ?
いろいろ使えそうだなこれ。
そんなこんなで俺はなんとか3つの中級魔法を手に入れた。
が、無魔法については、まだまだ研究が必要だ。
ちなみにアルスの現在のステータスはこんな感じです。
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名前/アルス
家名/レイナード
年齢/9
種族/人族
職業/魔剣士、格闘家
称号/鉄壁
レベル/89
HP/23,000(23,000)
MP/58,000(58,000)
攻撃力/28,500
防御力/178,000
俊敏/9800
器用/5300
幸運/777
魔法適性/火、水、風、雷、闇、光、無
固有魔法/[念動力/LV.MAX]
攻撃魔法/[火弾/LV.3][水弾/LV.MAX][風斬/LV.3][雷撃/LV.3][火炎砲/LV.3][業水/LV.2][龍の息吹/LV.1][豪雨雷鳴/LV.1]
防御魔法/[身体強化/LV.MAX][影武者/LV.1][回復の息吹/LV.1]
固有スキル/[覇道/LV.2][鍛錬の道/LV.4][自動回復/LV.3][ステータス閲覧][気功/LV.MAX]
耐性スキル/[孤独耐性/LV.MAX][飢餓耐性/LV.MAX][物理攻撃耐性/LV.MAX][魔法攻撃耐性/LV.MAX]
神聖スキル/[世界神の加護][世界樹の加護]
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あっという間に15話です!
読んでくれるみなさんありがとうございます!
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