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122話 帰還





「待たせたな…すまん」




 天人族達の話し合いが終わり、皆がアルスの前に集まった。

代表してエリが詫びを入れる。




「問題ない。で、決まったか?」




 アルスの問いに天人族は覚悟の決まった顔をしている。

それだけ見てもアルスは皆の気持ちが固まったのだと理解した。





 先頭に立つエリが膝をついた。

それに合わせるように天人族の全員が膝をつく。





「我々天人族は以後アルスを主としていく」


「それでいいのか?」


「神々にも一泡吹かせられるのだろ?」


「皆の協力が必要だがな」


「で、あるなら……我々は主の歩む道を共に歩む。協力は惜しまん」





 エリの言葉を聞いてアルスはその前まで歩みを進めた。

そして、手を差し伸べる。





「そこまで肩肘張らなくてもいい。今まで人知れず暮らしてきたんだ。まずは、この世界を謳歌しろ。約束は必ず守ろう」


「………感謝する」




 エリの表情が少しだけ明るくなった気がした。

アルスはそれだけでも嬉しく思った。

必ずこの者らの未来を守ろう。










こうして四霊山での死闘は思わぬ形で幕を閉じた。











「なぁ、四霊山に戻ったら強い魔獣を狩って帰らないか?」



アルスの言葉に皆が絶句した。



「さすがに俺でも引くぞ?」


「いやいや、せっかく来たんだし」



「「「「ダメです」」」」


















「おかえり…アルスくん」



あれから、四霊山を抜け色々な報告などを対応しながら、新たな仲間を連れて帰還した。



のだが、待っていたのは今まで見たことのない程に顔を無表情に全身からピリピリと怒気を放つロクシュリアだった。



俺はゴクリと生唾を飲み込みロクシュリアと一緒に迎えに出てきた父上、母上、父さん、母さん、そして妹に援助を求める視線を向けるが、皆がそれは無理だと首をふる。





「アルスくん、結婚したばかりだよね?」


「は、はい」


「お義父様からアルスくんの報告は私も聞いたわ……。長い期間行方不明で、どれだけ私が心配したかわかる?」


「はい」


「……」




ロクシュリアが俺の胸を掴んでいたが、その手が震えていることに気付いていた。



「ごめん。心配かけて」



ロクシュリアはガバっと俺の身体を強く抱きしめた。

その力強さがどれほど心配していたのかを容易に理解させた。




「生きて、帰ってきてくれて、よかった」


「……うん」










それから数日間は妻の機嫌を取ることに集中したのは言うまでもない。

その内容については今回は控えさせてもらおう。









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