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11話 波乱の入学式前編

こっからやっと学園です!!

ホッホッホッ


が、この学園編は長くは…




 あっという間に時は過ぎ、

アルスは9歳の誕生日を迎えた。




 執事達が煌びやかな飾り付けをし、

コックとマリーが腕によりを掛けて料理を作り、

メイドがそれを運び込む。



「アルス誕生日おめでとう!」

ケイレスからは訓練用ではなく、実戦用のこの日の為に王都の有名な鍛治師に特注で作らせた剣が送られた。


「おめでとう!アルス!!!」

マリーからは魔法を行使するのを補助する杖の代わりになる高価な指輪が送られた。


「お兄ちゃん!おめでとう!!!」

メルからは似顔絵である。


「あ、ありがとう!!みんな」

なんだか、とても気恥ずかしいアルス。

しかし顔には笑みが浮かんでいた。




「アルス!昔言った事覚えてる?9歳になったら…」


「学校に行ける?」


「そう!覚えていたのね」

母からこの話がある事はなんとなく理解していた。

ローゼン王国王立士官学校への入学。


「試験はいつなんですか?」


「もうあなたは受けてるわ」


「え?」



 受けているっていつ??受けてないよ?

え?受けたの??



「この前、家庭教師の先生達が最終試験に来たでしょ?あれが入学試験よ!貴族の子供は抜き打ちでそうやって試験を行うのが通例なのよ!黙っていてごめんなさいね。その中でもアルスが教えてもらっていた先生達は王立士官学校にも強力なパイプがある有名な先生達なの!だから、その正確さは学校側も十分に理解しているわ!本来なら学校側から先生が送られて来るのだけど、そういう訳でアルスの場合は家庭教師の先生達が試験をしてくれたのよ」


「で、合否はどうだったんだ?」

俺よりも先に父が母に尋ねる。


「そうね…あまり焦らしてもしょうがないから先に言うわ!おめでとう!アルス、あなたの入学が学校に認められたわ!」



 な、合格していたのか!!



「おぉーよかったな!アルス!王立士官学校といえば名門中の名門だぞ!国立や他の学校に比べてもレベルは格段に上だ!」


「あなた!ちょっとまって!まだ続きがあるの!」


「続き?」



 まだなんかあるのか??



「実はね、アルスの今回の試験の結果がとても凄かったみたいでね、あなたを学校に特待生として入学させる、さらに新入生代表として入学式にはスピーチをしてもらいたい!って連絡が来たのよ」


「な?アルスが新入生代表?それに特待生…!いや、まぁ確かにアルスはとても聡いしな、たしかにそうなってもおかしくはないか」



 特待生で新入生代表?え?俺ってもしや凄いやつなのか??



「新入生は毎年100名、その中で特待生は入学試験の点数で上位5名、さらにその年の入学試験の1位が新入生代表に選ばれるの!つまりあなたは入学試験を1位で通過したのよ!」


「えっと、やったー!っていう所だよね?」


「当たり前だろ!よくやったなアルス」

「母さんも鼻が高いわアルス!」

「お兄ちゃんやっぱりすごい!!」

「「「「おめでとうございますアルス様」」」」



 めっちゃ嬉しい…けど、なんかここにきてめっちゃ不安になってきた。



 そもそも俺はこの世界で家族と執事やメイド、あとは軍の関係者とモンスターくらいしか会ったことがない。

同世代にもちろん友達もいない。

大丈夫だろうか?



「案ずるな、アルス!お前なら大丈夫さ」

父がそう言って俺の肩を叩く。

さすがは父である。



 しかし、スピーチって何話せば良いんだ。








 そして、王立士官学校入学式。

俺は我が家の大きな馬車に乗り、父、母、妹と共に王都にある学校を目指していた。



「王都すげぇー!こんなに栄えてるのか」


「そりゃあそうだろ?世界三大国の王都だぞ?我が領も負けてはいないつもりだが、やはり格の違いを見せつけられる」


「全寮制だけど、休みの日は外にも出られるわ!あまり羽目を外さないようにね」


「ダメだよ!お兄ちゃんは休みの日はメルに会いにくるもん!!」


「わかったよ!そうだな、メルにも会いに帰らなきゃな」

7歳になって少し大人びたメルだがやはりまだ兄好きは変わっていない、俺としてはとても嬉しい。


「うん!メルも2年後には学校に入ってお兄ちゃんと勉強する!!」



 学年もクラスも違うだろ!とは言わない。

可愛い妹を悲しませるわけにはいかないのだ。



 王都の繁華街から少し離れた場所に広大な敷地と、厳重そうな塀に囲まれた大きな建物が姿をあらわす。



「アルス!ここが俺の母校でもある王立士官学校だ」



 感想は1つ。すげぇでかい。



「それでは、親御さんはこちらに来て書類を記入してください!」

馬車を止め、敷地に入るとローブ姿のおじさんが大きな声で案内をしていた。



 俺も一応父達と一緒に書類を書く場所に行く。



「これはこれは、お久しぶりですなレイナード伯爵!それにマリー夫人。という事はこちらの聡明そうな少年がアルス君かね…」

書類を書こうとした父と母の目の前に恰幅の良い小綺麗な老人が近づいてくる。


「お久しぶりです校長。そうですこれがうちの長男、アルスです」


この学校の校長?

「初めまして、アルスです」


「ほう!良い魔力をしている…。話によれば魔力も素晴らしいと聞いてます。普段ならここで適性検査もするのですが、別室で直接私が行いましょう。あらぬ騒ぎを起こさないように。

それから、実技テストですがそれも報告では問題なさそうなのでパパッと終わらせちゃいましょうか。

それから入学式です。いやはや、嬉しいですな有望な少年を迎えることが出来て!」

校長は温和そうな笑みを浮かべて俺を見る。



 記入後は校長に言われた通り、別室で適性検査が行われた。

家でやったのと同じ方法だが家のよりも格段に大きい水晶。

そこに手をかざす。



 辺りに凄まじい光が放たれる。



「ほう!!素晴らしいっ!!!己の目で見るまで半信半疑だったのじゃが、これは確かに7系統で間違いない!!ホッホッホッ 素晴らしい逸材じゃ!」



 校長はそれから楽しそうに父と話していた。



 俺は係の人に連れられ次に実技試験の会場に向かう。

どうやら試験官と訓練用の武器で一対一で戦うか、魔法を披露するのが方法らしい。

係の人には勝ち負けは関係ないと言われた。



「では、次…アルス・レイナード」

俺は呼ばれて試験官と向き合う。



 なんでだか分からないが他の試験官に比べて俺の相手は数段強そうである。



訓練用の剣を構え、出方を伺う。



 なにやら、実技試験を待つ少年少女達から囁きが聞こえてくる。



「あれがレイナード家の長男」

「現大将の息子か…」

「試験も主席で、新入生代表だって」

「大将と元筆頭宮廷魔導師の息子…これは凄いのが見れそうだな」

「あの子かっこいいよね!」



 注目されている。

気にするな!気にしてても仕方ない。

いつも通りでいい。


「魔法の使用も許可する。が、致命傷を与えうる強力な魔法攻撃に関しては使用不可とする。

さぁ、いつでも来ていい!」

目の前の試験官がそう言って構えを取る。



 中段の基本的な構え、だが隙は少ない。

手慣れているな…

が、多分まだ舐めてる。

相手が子供だという認識を逆手に取れれば勝てる。


  

俺は魔法を使わず、足に力を溜め、そのまま全速力で試験官の目前に迫る。

慌てて剣を握り直す試験官、しかしそのまま俺は跳躍して上段から打ち込む、試験官も寸前で剣を上げそれを待つ、が、そこに打ち込まれる衝撃はない。

父に昔使った手法だ。

上段から打ち込むモーションをしてから、剣を空中で落とし下段に持ち替えそのまま相手の側面を打つ構えに変えて脇腹を打つ。



 父には効かなかった技である。

決まってくれ!!!!



 メキメキッと骨が折れる音と、凄まじい轟音が鳴り響く。

そして、吹き飛ぶ試験官…呆然とする観衆…



 それからすぐに救護班が駆けつけ試験官は医務室に運ばれていった。



「あれ絶対折れてたよね?」

「あぁメキメキって聞こえたぞ」

「主席やべぇー」

「速すぎてなにが起こったのかよくわからなかった」

「まじかよ試験官ぶっ飛ばしたぞ…こえぇ」



 え?俺が悪いのか??



 そこに校長と父と母、妹が現れる。



「ホッホッホッ 凄いですな…まさか実技試験で試験官を医務室送りにするとは。いやはや素晴らしい」


「校長、すいません。アルス、やり過ぎだ!もう少し手加減しろ」


「アルスは真面目にやっただけよ!」


「お兄ちゃん凄い!!」



 悪気はなかったんだよ??まじで!!



 突如現れた父と母にさきほど俺の一件で騒いでいた観衆が静まりかえる。


「大将…ケイレス・レイナード伯爵…」

「幻惑の魔女…元筆頭宮廷魔導師マリー・レイナード夫人…」

「本物だ!すげえー」


 やっぱり父と母は人気なのだろう。


「アルスくん!通常は実技試験はどちらかなのじゃが、魔法の方も受けてみんか?」

校長が俺に向けて不敵な笑みを浮かべてくる。

この人絶対面白がってる…


「アルス…せっかくだから受けてみたら?」

母さんが嬉々として背中を押す。




 そんなこんなで、俺は魔法試験の会場に連れてこられた。

試験内容は簡単、自分の1番得意な魔法を対象の人型の木製人形に向かって放つだけである。



 加減…加減…



 んーでも派手なのをどうせならやりたいなー

でも、また変なことになるかな?



 

 派手でも威力減らせばいいか?

そうだよな?うん!そうしよう

よーしそう決まれば火炎砲だろ?

中級魔法だし、なにしろ派手だ。



 俺は木人形に両手を向ける。

身体を大砲本体に見立て、

砲身は風で形成、

砲弾は炎の塊を圧縮したもの、

そこに圧縮空気を燃焼材にして爆破を起こして…

 


 よーしかなり威力落としたぞ?

いつもの半分だ。



 爆音が止み、煙が消え、冷や汗をかいた。

煙だけでなく木人形、それも横一列に並んでいた他の木人形も全て爆散し消えていたのだ。



 俺は恐る恐る父と母の方を振り返る。




 頭を抱える父、胸を張りながら下を向いてニヤける母、妹はぴょんぴょんして俺を見ている。




「ホッホッホッ いやー魔法もここまでとは!素晴らしい!!!ただの火炎砲ではなかったですね!複合魔法ですか?風を圧縮して爆発で威力を増す…、火炎砲にそんな改良点があったとは!これは今後の成長がとても楽しみですな!!久々に教師心をくすぐられましたぞ!ホッホッホッ」



 ドカンと色めき立つ観衆をよそに、そそくさと父達の元へ戻って来た俺に校長はなぜか嬉しそうに高笑いしていた。


「加減しろって」


「加減したよ!」


「アルス…よかったわ!」


「お兄ちゃん凄い!!」



 俺と父と母は下を向き、妹は飛び跳ね、校長は高笑い。

なんてカオスな状況なんだ…。









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